読者の皆様こんばんは。「最強寒波」におびえている雁木師でございます。今日は前半は「右玉浪漫飛行」の19回目。後半は将棋俱楽部24の近況報告を行いたいと思います。長文となりますが、最後までお付き合いいただけると幸いです。
まずは「右玉浪漫飛行」から。今回もDJ.ミギタマとアオテツと一緒に進めていきたいと思います。
2人についてはこちらから。
前回の内容をおさらいしたいという方は下記リブログ記事からご確認いただけます。
それでは「右玉浪漫飛行」の始まりです。
※なお、このストーリーに出てくる人物、出来事などは一部を除き架空のものです。実際の人物、出来事などとは一切関係ありません。
DJ.ミギタマ(以下ミ)「DJ.ミギタマの右玉浪漫飛行~!!」
~♪(オープニングBGM)
ミ「将棋ファンのみんな、寒いけど大丈夫かい?DJ.ミギタマだ」
アオテツ(以下ア)「こんばんは。アシスタントのアオテツです。よろしくお願いします」
ミ「いや~アオちゃん、寒いね」
ア「そうですね。でもミギタマさん、新潟の出身でしたら寒さ対策も心得ているのでは?」
ミ「ミギタマも新潟を出て20年近くこっち(東京)で生活しているから、本当の冬を知らない。とはいえ、『おばあちゃんの知恵袋』をいくつか学んだから。この冬はそれでしのいでいる」
ア「『おばあちゃんの知恵袋』…。どんな方法ですか?」
ミ「学生時代のことだ。ある冬の朝、ミギタマの家にストッキング、ハンカチ、カイロが届いた」
ア「意味深な届け物ですね。差出人はどなたですか?」
ミ「長岡に住む父方の祖母だった。こんな手紙も添えられていた」
ーこの冬は東京も寒いから、暖かくして過ごしてください。わずかながらですが、おばあちゃんの冬対策の道具を送ります。
ア「それで送られたのが、ストッキング、ハンカチ、カイロというわけですか」
ミ「ストッキングは祖母の使い捨て。切れ込みがあって、その中にカイロを入れておける仕組みになってたね」
ア「ハンカチは何に使いますか?」
ミ「外出の時に足元を冷やさないための工夫だよ。カイロをハンカチで包んで靴の中に入れておくというわけだね」
ア「そんなにおばあ様はミギタマさんを心配していたんですね」
ミ「ミギタマは子供の頃からやんちゃだったらしい。で、冬はよく長靴を濡らして泣きながら帰ったなんてマミーが言ってた」
ア「今回の寒波では各地で水道管が凍結、もしくは破損したという報道もありましたね」
ミ「ミギタマは水道をちょろちょろ出していたおかげで難を逃れた」
ア「よく聞きますね。保温材を巻いておくのも効果的と言います」
ミ「みんなも寒さに気を付けて将棋ライフを楽しもう!!」
第19回:「中飛車との戦い ゴキゲン中飛車編 part2」
ミ「というわけで今日も本題に入ろう。アオちゃん、今日のテーマは?」
ア「はい。前回に引き続き、右玉とゴキゲン中飛車の攻防を見ていきます。今回も、ラジオネーム『ponpoko』さんからいただいた棋譜を検証していきます」
ミ「前回は囲いが完成するまでの注意点を見てきたね。今回は完成後の戦いを見ていこう」
ア「では、前回の最後の局面を見ていきます」
(前回指了図)
前回指了図以下の指し手
☖5二金左 ☗7七桂
☖6三金 ☗9七角
(6図)
解説:後手は左金を6三まで上げ、高美濃囲いに。先手は左の桂馬を7七に跳ね、角を9筋に転回します。☗9七角は糸谷流右玉の常套の狙い。7七の地点に桂馬がいるので角道を変えて活用の道を図ります。
6図以下の指し手
☖7四歩 ☗7五歩
☖同歩 ☗同角
☖5一角
(7図)
解説:6図からの☖7四歩を見て先手は7筋の歩を交換しました。私がよくやる手順の1つで、一歩を持つことで仕掛けの幅を広げておきたい狙いがあります。しかし、☗7五同角の瞬間は角が浮き駒になるのが懸念材料。☖5一角は歩交換を咎める狙いの一手です。放っておけば、☖3五歩~☖5六歩が狙い筋となりますが、先手はどう防ぐべきか。
ミ「なんというか、ジリジリした戦いだね」
ア「『歩交換で悪くない』と『ponpoko』さんは話していました」
ミ「まあ、何もしないよりは歩を交換して形勢をよくしたいんだろうね」
ア「さて、7図の局面ですが手番は先手です。ミギタマさんなら何を指しますか?」
ミ「強行策なら☗6五歩を考えた。でも角を渡した時の反動がどこまで怖いのか分からない」
ア「☗6五歩☖同歩☗6四歩の変化ですか。で、☗6四歩に☖7四金とかわして角に当てる順を考えたのですね」
ミ「うん。でもこれは自信がない。だから7図では☗7六銀を有力と見たい。角に紐をつける格好で、かつ歩を節約して両狙いを防ぎたい」
ア「では実際の進行を見ていきましょう」
7図以下の指し手
☗8六角 ☖3五歩
☗同歩 ☖同飛
☗3六歩 ☖3四飛
☗7六銀 ☖4四歩
(8図)
解説:先手は7図から☗8六角と引いて、前述の後手の両狙いを防ぎます。☗7六銀を指した将棋も私の将棋にはありましたが、☗7六銀でも☖3五歩~☖5六歩を狙ってくる可能性があります。狙いは飛車を切って左桂の頭を狙ってくる筋です。
本譜は☗8六角でも☖3五歩。以下は歩を交換して☗3六歩に☖3四飛と引きました。☖3四飛と引いたのは後手の狙い筋の1つ。☗7六銀に対して☖4四歩と跳ねたことで、次に☖3三桂と跳ねて数の攻めで3筋の攻防を優位に進めたい意図があります。☖3三桂を許すと苦しいと判断した先手の私はここで踏み込みます。
ミ「後手が攻撃態勢を着実に整えてきたね」
ア「狙いは解説でも触れた通り☖3三桂~☖4五歩の仕掛けです。これをやられると右玉は苦しくなるでしょう」
ミ「だから先手はここで踏み込むというわけだけど、ミギタマ的には角を活用したいな」
ア「ミギタマさん、いい線いってますね」
ミ「やっぱり大駒を活用できなくて負けるのは悔しいじゃん。だから8図からは角を活用する☗6五歩をやってみたい」
ア「☗6五歩は確かにこの一手のように見えます。その後の進行も見ていきましょう」
8図以下の指し手
☗6五歩 ☖同歩
☗6四歩 ☖5三金
☗6五銀 ☖同銀
☗同桂 ☖5二金
☗6三歩成 ☖同金
☗5三桂成 ☖同金
☗同角成 ☖5六歩
☗同銀 ☖3六飛
(9図)
解説:8図から☗6五歩☖同歩と突き捨ててから☗6四歩が狙いの一手。しかし、☗6四歩では単に☗6五同桂や☗9五歩が有力との評価でした。☗6四歩には☖7四金とかわすのが最善との評価。対局中は☗6四歩に☖6二金引を読んでおり、☖7四金とかわすのは金がナナメに誘われた感覚で嫌に見えました。
しかし実際に指されてみたら、上部が手厚くなり歩成も空成りで済ませることができることから先手が嫌に見える格好になります。これでは右玉が攻め切れないと思いました。
本譜は☗6四歩に対して、後手は☖5三金とかわしましたがこの一手で形勢は先手有利に。以下☗6五銀からは駒アタリの展開で、結局駒割は先手の得。さらに馬もできて先手が優勢になりました。
ミ「だいぶ右玉がよくなってきたね」
ア「『ponpoko』さんによれば『踏み込みはもう少し精査すべきだった』と反省していたようです」
ミ「☗6五歩の仕掛けのところだね。☖7四金のかわしは、いかにもソフトらしい読み」
ア「本譜の進行は、後手の駒にアタリが続く展開となり先手がよくなりました」
ミ「で、反撃筋の☖3六飛か…。これは怖くないように見えるけど」
ア「では9図以下の進行を見ていきましょう」
9図以下の指し手
☗4七金 ☖3三飛
☗4四馬 ☖3六歩
☗4五桂
(10図)
解説:先手は9図から☗4七金と上がって飛車に当てましたが、☖4六飛の王手はそこまで恐れなくてもよかったとの評価でした。むしろ、後手から☖4六飛と王手をしてくれれば逆に☗4七金で今度は後手の飛車が助かりません。
☗4七金では☗5二金と踏み込んでいく手が優りました。以下は☖6二銀と受ければ☗6一金から駒得を狙う手順が一例。☖4六飛の王手はやはり☗4七銀打などで飛車が助かりません。
本譜は☗4七金に☖3三飛と逃げました。以下、先手は飛車をいじめる手順が続き、10図から後手は☖5五歩と飛車に見切りをつけて反撃します。以降は後手が攻めるも、先手は上部に逃げて安全地帯へ。そして迎えた最終盤の図がこちら。
(11図)
解説:局面は先手勝ちの評価。一見、後手の美濃囲いは崩しにくいように見えますが、実戦は11図から7手で後手が投了しました。持ち駒をうまく使って勝負を決めたいところです。
ミ「おお、玉の大脱走か」
ア「広さを生かしてのらりくらりとかわしましたね」
ミ「で、迎えたのがこの局面か。実戦はここから7手進んで先手の勝ちになったというわけだけど」
ア「美濃囲いは傷はあるものの、骨格は残っています」
ミ「でも☗7四桂と打たれたら厳しいんじゃないの?」
ア「実戦も☗7四桂と王手しました。そこからどうなったと思いますか?」
ミ「え?そこまで読まないとダメなの?」
ア「せっかく王手されたのですから、詰み筋まで読んでいただかなくては」
ミ「えっと…、☗7四桂に☖7三玉は☗8二銀から早詰み。粘るなら☖9二玉だけど…。そこで☗9三銀で退路を封鎖したい。とにかく王手が止まると、☖6六馬がキツイから王手王手で攻め続けたい。幸い後手玉は広くないから…」
ア「ミギタマさんが考えていますが、番組の尺の関係もありますので実際の進行を見ていきましょう」
ミ「ちょっと、アオちゃん。人が考えているのに進めちゃうの?それはあんまりだよ~」
ア「すみません、ミギタマさん。Dから巻きの指示が出ていますので…」
ミ「仕方ない。時間内に解けなかったミギタマが悪いんだ…」
11図以下の指し手
☗7四桂 ☖9二玉
☗9三銀 ☖同玉
☗8二銀 ☖9二玉
☗9三飛
まで107手で先手の勝ち
(投了図)
解説:11図から先手は☗7四桂と王手。そこからはストーリーで触れたとおりの進行をたどり、☗9三飛の王手で退路封鎖が実現して先手の勝ちとなりました。投了図以下は☖9三同桂と取るしかありませんが、以下☗9一銀成☖同玉☗8二金までの詰みとなります。
ミ「ああよかった。詰み筋は間違ってなかったか…」
ア「実はDはこの終盤からの詰み筋をミギタマさんが解けるか試していたんです」
ミ「ちょっと~、D~。プレッシャーかけないでくれるかな~」
ア「結構Dも将棋に関しては鬼ですからね」
ミ「ま、少しだけ強くなれたからいいか。というわけで、アオちゃん。このコーナーにいってみよう」
ア「はい。スリーポイントチェックのコーナーです」
ポイント①:端角ののぞき
ミ「☗9七角から端角をのぞかせて攻める手順だったね」
ア「☗7七桂を生かすなら☗9七角とのコンビネーションで攻めるのがこの形のポイントです」
ミ「☖9五歩からの筋が怖いけど」
ア「下段飛車があるのでそこまで恐れなくてもよいです。角を見捨てて、香車で後手陣の弱点を突く形になります」
ミ「端は角より香車か…」
ポイント②:左桂の活用を許さない
ミ「中飛車目線で見ると…、左桂の活用ができなかったのが悔やまれる棋譜だね」
ア「本譜は後手からの☖3三桂を許す前に先手が踏み込みました。本譜の仕掛け方の是非は別として、右玉からすればこのタイミングの踏み込みは妥当と言えるでしょう」
ミ「振り飛車は『左桂が命』と言われているけど、左桂の活用を許したら…」
ア「おそらく、右玉は苦戦を強いられたと思います」
ポイント③:優勢なら反撃筋を恐れない
ミ「本譜の進行は結局右玉優勢だったけど」
ア「『ponpoko』さん曰く『後手の反撃はそこまで恐れなくてもよかった』とのことでした」
ミ「9図の☖3六飛に対する応手だね。一見王手が怖いけど…」
ア「むしろ後手が王手すると逆に飛車が捕まるので、☖4六飛とは踏み込めなかったのですね」
ミ「だからこそ、踏み込む一着で優位を拡大すべきだったのか」
ア「ソフトの力に頼るのではなく、自力で形勢判断できる力をつけたいものです」
ーエンディング
ミ「というわけで今日も、右玉とゴキゲン中飛車の将棋を見てきたけど…」
ア「ミギタマさん、糸谷流右玉の戦い方はいかがでしたか?」
ミ「もちろん、面白かったね。でも最終盤の局面でのDのプレッシャーはきつかったけど」
ア「Dはミギタマさんに、少しでも棋力向上してほしい願いがあります」
ミ「うん。それは理解していた。でも、ミギタマの棋力は…」
ア「D曰く『ミギタマさんは着実に棋力向上している』と話してましたよ」
ミ「それはよかった。でも、もっと頑張らなくちゃね」
ア「さて、ゴキゲン中飛車の戦いはひとまず終わります」
ミ「ほお、では次回は何がテーマだい?」
ア「次回は先手中飛車と後手右玉の戦いを見ていきたいと思います」
ミ「たしかゴキゲン中飛車はプロで採用が減っていて、先手中飛車が課題と聞いたけど」
ア「はい。先手中飛車でも右玉は通用するのか、ぜひ楽しみにお待ちいただければと思います」
ミ「というわけで、次回もお楽しみに!!ここまでのお相手はDJ.ミギタマと」
ア「アシスタントのアオテツでした」
ミ「それじゃあみんな、また次回!!お・や・す・み!!」
~♪(エンディングBGM)
以上で「右玉浪漫飛行」を終わります。続いて、将棋倶楽部24の近況報告を行いたいと思います。ルール詳細は冒頭のリブログ記事をご参照ください。では報告に入ります。
総合成績:34勝46敗。勝率.425
現在レート:827点 最高レート:1,288点
手番別勝敗
手番別勝率:先手番勝率.418 後手番勝率.432
今月は負け越しで終えました。星の流れを見ると、先週は前半に3連勝。その後は勝ち負けを繰り返し後半に2連敗で最終盤に2連勝2連敗2連勝で勝ち越し。今週は、前半に3連勝も中終盤は6連敗3連勝4連敗で負け越しです。内容は、先週はまずまずでしたが、今週に入って淡白な将棋が目立ちました。戦法を変えてみたりしましたが、内容の雑さは直りませんでした。では戦型別の勝敗です。
自分から見た戦型
相手から見た戦型
今月は右玉を多く指しました。先週今週は勝ち越しも月全体では負け越しでした。振り飛車相手に勝てるようになってきたのはプラスに働くと思いますが、居飛車相手にも勝てるようになれば復活も近いでしょう。次いで多いのは角換わり。主に腰掛け銀で戦ってきましたが、成績はいまひとつでした。
今週伸びたのは三間飛車。これまでは後手番で藤井システムを軸に戦ってきましたが、先手番で初手☗7八飛戦法を採用。劇的に勝率が伸びたわけではありませんが、活用の幅は広げていきたいところです。
相手から見た戦型は居飛車は角換わり。振り飛車は中飛車が多かったです。角換わりは腰掛け銀が中心ですが、力戦調の将棋も多かったです。相腰掛け銀から自分の手待ち作戦のスキを突いて踏み込む将棋が多く、攻めか受けかの戦いが続きました。
中飛車はゴキゲン中飛車も多いですが、角道を止めた振り飛車も多かったです。また、分類上は角交換振り飛車としてカウントしていますが、角を交換してから中飛車に囲う戦法もありました。右玉を軸に対抗するも、囲う前の段階で踏み込まれて苦戦に陥りました。
雑記帳⑲「最強寒波」
今週火曜日から続く「最強寒波」。富山在住の私も対策に時間を費やす日が増え、将棋に関する活動も自主的に制限せざるを得ない状況が続いています。今朝も全国のニュースで、富山県の東部・魚津市では昨晩の3時間での20cmの降雪を観測されるなど厳しい冬を迎えています。
私の職場は県東部の山沿いにあります。雪がなければ車で3~40分あればたどり着ける距離ですが、道路状況によっては1時間かかるケースもあります。
問題は帰宅時で、まず駐車場で車の除雪から始めなくてはいけませんが、雪の状況によっては20分近くかかることもあります(職場の道路には融雪装置はなく、有志の職員が駐車場の除雪を担っています)。職場に通じる道は細く、冬場は車のすれ違いも一苦労。通勤路は国道8号線を使用していますが、追突やスリップの影響か、事故車両や車の部品を道で見かけることもあります。
今回の「右玉浪漫飛行」では、冬対策のエピソードを掲載しましたが、実はストッキングに切れ込みを入れてカイロを中に入れるというのは同居する祖母が実践しているもので、私にも古いストッキングをハンドメイドしてカイロを入れたものをくれました。
私はこれまで、冬場はユニクロで販売されているヒートテック1枚の下着と洋服1枚の2枚でしのいできましたが、祖母には
「それでは寒すぎる」
前述のストッキングを腹巻代わりに使用するように勧められました。また、ハンカチで包んだカイロを靴の中に入れておくというのも祖母が教えてくれたものでやってみたところ、足元が動きやすくなりました。
最後に、冬ならではの光景を1つ。この時期のニュース映像に寒冷地でタオルを凍らせるという実験が出てきます。暮らしている実家では、タオルではありませんが、あえて凍らせたものがあります。それがこちら。
やかんに水を入れたものを玄関の外に置いたものです。祖母に聞くと、うっかり忘れたのではなく、あえて玄関の外において中身が入っている発泡スチロール容器の蓋の重しにしているということです。
来週も厳しい寒さが続きます。どうか体調と道路状況などにはご注意しながらお過ごしください。