「傾国のラヴァーズ」

ボディーガードの翔真は訳有の美青年社長・聖名(せな)の警護をすることに…(閲覧者様の性別不問) 更新情報はX🐦にて

■小説「傾国のラヴァーズ」その51・センパイならいいかも

2023-05-19 21:52:44 | 傾国のラヴァーズその51~60
 聖名が無表情なのが怖かった。
 でも俺はどうにか、

「あ、グラノーラな。今用意するよ」
 すると、聖名はわずかな笑みをたたえて、
「先輩も一緒に食べない? 朝飯まだでしょ?」

 聖名の気遣いに甘えて、 俺も相伴することになった。しかし、いつもと違い 俺の横に聖名は座ったので 表情は横からしか見えない。

 聖名はそのまま正面を向いたままで、

「先輩 ごめんね。とっさのことで 先輩ってわからなくて。わかってたらあんなに騒がなかったんだけど」

そして 重い口を開き始めた。

「…実は大学生の頃 襲われかけた経験があって」

予想が当たって俺は黙り込むしかなかった。

 友達の知り合いの家で飲んで、酔ったみんなは潰れた聖名のことを忘れて帰ってしまい、その家の主と二人きりになったところを襲われたという。

「まあ、抵抗しきれるかなとは思ったんだけど、友達が偶然忘れ物を取りに来て、助けてくれて…」
 
 すると聖名はうつむいて、

「だからセンパイがずっといてくれる ここ最近がすごくありがたくて…」

 そう言われて俺は本当に嬉しかったが…

「でも センパイにならオレ、襲われてもいいかなぁ…」
 目をそらしてではあったけど、冗談にしてくれてよかった。
「そうだな、俺が心霊に変身できるようになったらな」
「何だよそれ~」
 ようやく聖名は俺の目を見て笑ってくれた。





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