古のロックが好きなものにとって、レコードジャケットは重要なもので、その中でも最重要と言えるアーチスト集団がヒプノシスです。
ヒプノシスの名前は知らなくても、例えば、ピンクフロイドの「原子心母」、「狂気」、「炎」といったジャケット、
或いは、レッドツェッペリンの「聖なる館」や「プレゼンス」、またはウィングスの「バンド・オン・ザ・ラン」、
Tレックスの「電気の武者」といった有名なジャケットは見た事があるはずです。それらは全て、ヒプノシスの仕事です。
この映画は、各アルバムの製作エピソードを交えたりしながら、アーチストのインタビューを通じてヒプノシスの歴史を振り返っています。
ヒプノシス結成のきっかけにピンクフロイドがある為に、話の中心はピンクフロイドとなっています。ピンクフロイドのジャケットは、
意味がわからないけれどインパクトが抜群だというものが多いので、その辺りの話は興味深いです。
特に「原子心母」の牛のジャケットは、何だかわからないけれど、人を引き付けるものがありますね。
深い意味があるのだと長年思っていましたが、単に牧場で牛の写真を撮って使っただけとの発言には、軽く眩暈を感じたほどです。
当時は、タイトルもグループ名も書かれていないジャケットに、レコード会社は流石に反発したようでした。
「狂気」に関しても、何故にピラミッドと光のプリズムなのか?わからないけれど、確実に印象に残ります。
そして「炎」は、実際に人に火をつけて撮影したとのエピソードには驚愕したりと。
また「アニマルズ」の撮影は、実際に豚の巨大な風船を飛ばしたけど、失敗して合成で済ますことになったとか。
レッドツェッペリンに関しては、やはり「聖なる館」に苦心したのだと。最初は、裸の女の子に色を塗って撮影していたのが上手くいかず、
結局、コラージュみたいな作品となりましたが、ジミー・ペイジには完全には満足してもらえなかったとか。
それでも以後の作品のデザインを頼んでいるので、それだけ評価しているんでしょうね。
余談ですが、ジャケのモデルとなった女の子の一人のサマンサ・ゲイツは、沢渡朔さんによる写真集「少女アリス」のモデルになっていたと
後から知りました。
他にも色々なジャケットの制作秘話が聞けるので、70年代のロックが好きな人には見てもらいたいなとは思っています。
ただ、往年のアーチストの現在のインタビューですので、こんなに年を取ってしまったのかと、別の意味でショックを受けるかもしれませんが。
ヒプノシスのジャケットを紹介しているものがあったので、載せておきます。本当に名盤が多いですね。