デスカンファレンスの価値を知る者が生き残る!目指せ看護師サバイバー!

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カンファレンス
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村上志歩美

緩和ケア認定看護師の村上志歩美です。
看護師としては15年目になり、これまで13,000人を超える患者さんと関わってきました。
緩和ケアの世界でキャリアを積み、順風満帆に思えた看護師人生でしたが、流産を経験して初めて我が子を亡くす痛みを知りました。そして支えてくれた家族や友人の優しさがどんなに人の心を癒やすのかを知りました。
こんな私だからこそ大切な家族を失う人の気持ちがわかりますし、緩和ケアの素晴らしさが伝えられます!
私が持っている知識を余すことなく発信するため、本の執筆や看護学校での講師など精力的に活動中。
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Last Updated on 2022年12月5日 by 村上志歩美

デスカンファレンスという言葉をご存じでしょうか?

言葉は知っていても、経験したことはないという看護師さんも多いかも知れません。

実際、私も自分が緩和ケア認定看護師になるまでは、デスカンファレンスに参加したことがありませんでした。

さらに言えば、私が入職した14年前の時点で、デスカンファレンス自体が所属部署では実施されていませんでした。

なので、デスカンファレンスという言葉は知っていても、目的や意義、進め方についてまったくわかりませんでしたし、教えてくれる人もいませんでした。

医療現場の現実/私の所属部署の傾向

今、急性期病院の医療現場がどんな状況なのかあまり知られていませんよね。

これから先は、あくまでも一例なので、日本の病院がすべてこうだということではありませんので、その点はご理解ください。

私の所属部署のスタッフの現状はコチラ▼

  • 看護師経験5年目以下の看護師が73%
  • 終末期のケアにネガティブな気持ち(後悔や反省など)が残っている看護師は96%
  • 後悔や反省をスタッフで共有できた看護師は16%
  • 気持ちの切り替えが苦手だと感じている看護師は42%
  • 気持ちの切り替えが上手だと感じている看護師は50%
  • 終末期のケアで気持ちがつらくなった経験がある看護師は100%
  • 終末期のケアでポジティブな気持ち(達成感や嬉しい経験など)を経験した看護師は42%

まず、大前提に私の所属部署は、平均年齢が非常に若く、5年目以下の看護師が7割を占めていました。中堅やベテラン勢が少なく、アットホームな環境というのがいい点ではありますが、いろんな修羅場をくぐり抜けてきた大先輩がかなり少ないんですよね。

以前、私は看護師10年目の時点で、副師長の次に経験年数が長いというポジションにいた時期がありました。先輩がいないって怖いですよね(>_<)

このデータは、もちろん私の所属部署のアンケート結果なので、極小データなのですが、何が伝えたいかというと、終末期のケアについて、ネガティブな気持ちを抱えたまま、誰にも相談できずに働き続けている看護師多いということです。

看護師の仕事は、頭脳労働、肉体労働、感情労働ですよね。

終末期の患者さんとの関わりでつらい気持ちになるのは、あなただけじゃないんです。特殊な感情ではないので、肯定的に捉えられるといいのですが、吐き出せる場がなければ、なかなかそうもいきませんよね。

そんなときこそ、デスカンファレンスが有効です!

デスカンファレンスとは?

デスカンファレンスとは、死別した患者さんのケアを振り返り、今後のケアの質の向上を目指すために実施します。

できていたことやできなかったことを振り返りますが、ただの反省会にしないように特に注意を払う必要があります。

死別した患者さんのケアを振り返ろうとすると、私たち真面目な看護師はどうしても「もっと○○すれば良かった」とか「あのとき△△しなければ、違う結果になったかも知れない」というネガティブな意見に引っ張られがちです。

ですが、絶対にできていることはあったはずなので、ポジティブフィードバックを心がけて、個人的にはできていたことをお互いに認め合うことに70%程度は力を注いでいただきたいところです。

看護師
看護師

デスカンファレンスなんて無意味でしょ!

患者さんが亡くなったあとに振り返るくらいなら、

ご存命の間にできることを話し合った方がよくない?

デスカンファレンスを開催するとなると、カンファレンスの中心となる患者さんはもう死別しているため、残念ながら、話し合ったあとの質の高いケアの提供を受ける立場にはありませんよね。

その患者さんとの経験で得られた反省点を活かして、パワーアップしたチームとして次出会う患者さんに質の高いケアを提供できるようになるというのが利点です。

ですが、もう一点覚えておいていただきたいのが、デスカンファレンスには、『看護師の悲嘆や喪失感を軽くする』効果もあるということです。

看護師は、患者さんとの出会いや別れを繰り返す中で、誰かに認めてもらう機会は少なく、自分の気持ちをチームで話したり、共感してもらったりする場をなかなか作れませんよね。

自分の看護に意味があったのかわからないまま日々を流していると、成功体験が得られずに、看護師という仕事を続けるべきか疑問を持つことがあるかもしれません。私がそうだったように。

元気になって退院される患者さんがすべてなら、何かしらの達成感はあるかもしれません。

ですが、死別を繰り返しているうちに自分が看護師でいる意味を考えてしまうこともありますよね。

自分1人で抱えずに、是非チームで話し合う場を持ってほしいと思います。

パワーアップする方法も見つかりますし、今まで当たり前にできていたことにも気づけます。なにより、尊い経験を与えてくれた患者さんへの供養になると思いますし、それこそが私たちが看護師で居続ける意味を教えてくれると思います。

デスカンファレンスの進め方

いくつか事前準備が必要になります。

  • 受け持ち看護師(可能なら主治医も)やよく関わった看護師が参加できる日程を選択します
  • 受け持ち看護師には、事例紹介をしてもらうよう事前に打ち合わせをしておきましょう
  • 開催日は記憶が新しいうちがいいため、遅くとも死別後1ヶ月以内が理想です
  • 司会と書記を決めておきましょう
  • 参加できないスタッフからも事前に話を聞いておくとなおいいです
  • 論点を絞っておくといいでしょう

例えば・・・

司会者
司会者

論点1:患者の意思を尊重できたか?

論点2:家族へのケアは適切だったか?

当日の流れは司会者が十分に理解しておく必要があります。

  • まず、デスカンファレンスを開催する目的を全員で押さえましょう
  • ルールを決めておくといいでしょう(他者の意見を否定しない、できていたことを認め合う、ただの反省会で終わらせない、気持ちがつらくなったら途中退出可など)
  • 事例紹介をしてもらいます(可能なら受け持ち看護師)
  • 事前に決めていた論点をスタッフに提示して、まずはその論点について話し合います
  • 全員が発言できるように配慮しましょう
  • 参加できないスタッフの意見を代弁します(知らない情報がある場合もあるため、多くの情報があるとさらに患者さんの全体像をつかんで振り返ることができます)
  • 患者さんやご家族だけではなく、看護師にとってもグリーフケアが必要だと気づくことができる(看護師もつらいし悲しいんだということにも気づける)ように感情も丁寧に扱いましょう
  • 経験が浅い看護師は意見が出せないかもしれませんが、先輩の考えや看護の根拠を聞くことだけでも貴重な経験になるので、無理に意見を引き出す必要はありません
  • 患者さんとの関わりで難しかった点や困った点などの意見が出た場合は、うまく対応していたスタッフにどのように関わっていたか発言してもらいましょう
司会者
司会者

振り返ってみると個人的な反省点はもちろんありますが、チームとしてはできていたこともたくさんあったと思います。大切な患者さんが亡くなったのは悲しいことですが、つらいのは自分だけじゃなくて、みんな同じ葛藤があったんだと気づきましたね。

他の看護師の関わり方を知れたのは、自分にとってプラスになりましたし、今後はパワーアップしたこのチームで患者さんのケアに活かしていきましょう。

デスカンファレンスを経験した看護師の反応

私の所属部署のスタッフは、私と同様デスカンファレンスに参加したことがありませんでした。

実際に参加したスタッフにアンケートをとった結果をこちらでシェアしておきます。

  • デスカンファレンスの事例の患者さんの死別後に後悔したりつらい気持ちになったことがある:100%
  • デスカンファレンスに参加して気持ちのつらさが和らいだ:100%
  • 今後のケアに活かせそうだと思う:100%
  • 定期的にデスカンファレンスを開催してほしいと思う:100%
看護師
看護師

交替勤務で時間に制約はありますが、自分たちの看護を振り返ったり、

できていたことを認め合ったりする機会はなかったので、今後は定期開催にしてほしい。

今回参加できなかった人とも話し合いたいし、自分たちの気持ちも大切にしたい。

デスカンファレンス初心者での開催であっても、得るものは大きく、失うものはありませんでした。

まとめ

お互いの看護を認め合うことで、自分たちが患者さんに与えられたことがあることに気づき、自分が看護師をしている意味を見いだせると思います。

患者さんを失った悲しみを表立って悲しむと仕事にならないため、どんなに悲しくても自分の感情を抑えてせっせと働いていますよね。

そうやって、自分の感情をコントロールすることはプロとして大切なことなのですが、自分の感情に無頓着になりすぎるといつか燃え尽きてしまうときが来るかもしれません。

なりたくてなった看護師のお仕事。燃え尽きて辞めてしまうなんてもったいないですよね。

看護師として生き残るためにも、自分の感情も患者さんやご家族の感情と同じように大切に扱いましょう

同じつらさを同じ場所で経験しているチームだからこそ理解出来るのです。

看護の振り返りは大事ですが、私たち自身のグリーフケアも大切にしていきましょう。

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