西国お遍路“行雲流水”

西国三十三所や四国八十八ヶ所を雲のごとく水のごとく巡礼した記録

お遍路テレビ鑑賞④ NHK「前園真聖 自転車へんろ旅「愛媛編」」を観ました!

「前園真聖 自転車へんろ旅「愛媛編」」タイトルシーン ※スマホで撮影

「徳島編」「高知編」と見てきました「前園真聖 自転車へんろ旅」シリーズですが、今回は「愛媛編」です。見所が盛りだくさんで、シリーズ中の最高傑作かもしれませんよ! というわけで、「前園真聖 自転車へんろ旅「愛媛編」」のレポートです。

NHK「前園真聖 自転車へんろ旅「愛媛編」」鑑賞レポート

札所の数が最も多い愛媛県ということもあり、見所が盛りだくさんな内容となっています。そればかりか、前園さんと旧縁のある、あの名監督も登場ということで、お遍路以外の見所も豊富です。それでは、「愛媛編」のレポートです!

番組について

番組情報

制作国:日本

制作 :NHK松山

制作年:2018年

公開日:2018年6月

データ:カラー/43分

出演

前園真聖

スタッフ

ナレーション:首藤奈知子

技 術 :岡田淳

撮 影 :増田泰伸・中村健司

音 声 :浅野喜彦

映像技術:鈴木達也

美 術 :南屋武広

音響効果:森原健晃

編 集 :松浦信善

ディレクター:寺岡三智子

プロデューサー:三木章弘

制作統括:山本隆之

内容紹介

かんきつ王国・愛媛の旅は瀬戸内海に石鎚山にと絶景の連続。今治では岡田武史さんに感激の再会!前園さんがついにピッチに立つ!?大学生との俳句対決など愛媛の魅力満載!

※NHKホームページより引用*1

番組を見て

番組を見て、思ったところを書いていきます。

純粋な感想(ネタバレもあるかも)

いやあ、今回も面白かったですね。もしかするとテレビ番組としては今回が一番面白かったかもしれません。

まずは番組が愛媛県の方にすでに浸透しているということで、それによる出会いも多々ありました。

イケウチオーガニックという今治タオルの会社があるのですが、そこの広報の方が前園さんのTwitter(現X)に「今治54番札所延命寺に行く道中 是非に イケウチオーガニックに お立ち寄りくださいマセ」というメッセージを載せておられたんですね。

すると、前園さん、アポなしで突撃されました。どうやら広報の近藤恵美子さんが社長に断りなくツイートされていたようですが、もちろん社長も快く迎え入れてくださいました。前園さんは近藤さんからも握手を求められていましたが、工場に入ると女性工員の方々から、次々と握手を求められていました。モテますね~。みなさん、めちゃくちゃ喜んでおられましたよ。

また、今治でもう1軒立ち寄ったのが、サッカーのFC今治の事務所です。町中のビルのようなところにあるのかと思いきや、田舎の農村のようなところの、立派な一軒家が事務所になっていました。外の看板には「お気軽にどうぞ」と書いてありますが、前園さんもおっしゃっていたように、なかなか入りにくい雰囲気です。

玄関を開けて中に入ると、出迎えてくれたのは……。

FC今治オーナー、岡田武史さん!

第一声は「よく来たな、本当に来たな」で、どうやら本当にわざわざ訪ねてきてくれるとは、思っておられなかったようです。

前園真聖さんがサッカーの元日本代表メンバーだった時、岡田武史さんはコーチを務めておられたそうです。いわば師弟関係にあるというお二人ですね。

またこの一軒家がスゴイ! 岡田さんいわく、「大金持ちの人が年とって、使ってくれるんなら、5万円ぐらいでいいって言うから借りた」だそうで、広さ、設備ともにものすごく充実しています。「おまえ、汗流したかったらでかい風呂があるから、民宿並の風呂だ」との案内どおり、立派なお風呂までついています。しかも、お風呂は3つあるとか! もうFC今治の選手の合宿ができるんじゃないかと思いますね。

この後、サッカースクールに移動する前に、玄関の外でカメラの前でお二人で談笑されました。今までのイメージと違い、カメラ前でも明るく楽しくお話になる岡田さんに対し、前園さんが、「昔、岡田さん、監督やられていたんで。こういうカメラの前とかでも、どっかで線引きしていると思っていたから。今みたいにこんなにしゃべるほうじゃなかったんですよ」と投げかけます。すると岡田さんは「俺、昔は、おもしろいサッカーして強けりゃ文句ねえだろと思ってたから、本当に、来てるお客様にありがとうなんて思ったことなかった」とまさかの回答が。しかしすぐに、「今はもう、お客様あってのサッカーなんだ、おまえ、強くておもしろいだけじゃダメだろ、ちゃんとサービスしろ」と、コロッと変わったということを述懐しておられました。

確かに、岡田監督が笑顔で話しているイメージって私もあまりなかったです。しかし、この番組では懐かしさもあるでしょうが、終始楽しそうに談笑しておられました。

小学生対象のサッカースクールでは、前園さんは6分3本のミニゲームに挑戦され、お遍路より汗をかいておられました。最後に小学生におっしゃっていた言葉が、なかなか深い言葉でした。

うまくいかないことが多いと思うんだけど、相手が強かったり、監督に怒られたりとか、やめるのは誰でもいつでもすぐできるんで、続けるほうが難しいんで。すぐ成長するかは分からないけれども、1年後2年後に成長していくと思うので、ぜひみなさん頑張ってください。

一芸を極めた人間の言葉には、やはり重みがありますね。

興味深かった出会いとしては、同じ自転車遍路の大学生武田竜之助さんとの出会いですね。第49番札所浄土寺で出会い、第50番札所繁多寺まで一緒にツーリングを楽しみました。繁多寺では見事なしだれ梅が咲いていて、また俳句ポストがあったことから、二人で俳句を競作することになりました。

武田さんの俳句は次のとおりです。

梅の花 人の温もり 同じ色

次に、前園さんの俳句です。

春の風 出会いと共に 四国の旅

NHKでも俳句に関する番組に出演しておられる夏井いつき先生なら何点をおつけになるでしょうかね。

私も素人ですが、一番強調したい言葉は最後に持って来る方がいいと思うんですよね。そこで武田さんの俳句を添削するとすると、こんな感じでしょうか。

お接待 温もり感ず 梅の花

最初は「人の恩」にしようかと思ったのですが、「お接待」の方が四国らしいですよね。

前園さんのも添削してみました。

出会いありて 四国を走る 春の風

自転車遍路ですし、走るという言葉で疾走感を表してみました。

グルメに関しては、やはり鯛めしですね。実は愛媛の鯛めしですが、南予地方の鯛めしと北予地域の鯛めしはまったく別物なんです。南予の鯛めしは、今回前園さんが食べておられたもので、鯛のさしみに甘辛いタレをかけてご飯に乗せて食べます。もとは漁師めしか何かなんでしょうかね。

一方の松山など、北予で見られる鯛めしは、普通に鯛を入れた炊き込みご飯になっています。食べる際は、骨に気をつけなければいけませんね。

あと、お接待で言えばとにかく柑橘系のお接待がやたらと多かったですね。今回は特別編集なので、本編ではカットされており、最後にちらっと映っている場面が多かったでしたが、全部で20個以上はお接待してもらってるんじゃないでしょうか。

さらに言えば、アバンタイトルでは訪れているシーンがあった松山城も、本編ではカットされていました。要するに、それだけ内容が盛りだくさんだった、ということですね。

巡礼者目線の感想(ネタバレあり)

まず最初に私も知らなかった情報を上げておきます。

第45番札所岩屋寺で、麓からではなく山の方、歩き遍路道を通ってきた場合にくぐることになる仁王門の方から、本堂上の岩の方を見ると、何と阿弥陀如来さまが岩の中にいらっしゃるというのです。1メートルほどの大きさだといいますから、なかなか立派な仏像です。教えてくれた方は、すぐには見つからないと思っておられたようですが、さすが前園さん、目がいいですね。すぐに見つけておられたので、教えた方もびっくりしておられました。

あとは、前園さんのお寺での参拝の様子が堂に入ってきたなと思います。最初はやり方をお寺の方に教えてもらうなどしていましたが、もう堂々と参拝しておられます。

ちなみに、上で述べた自転車遍路の武田さんですが、お遍路を始めた理由をこう答えておられました。「僕自転車好きだったんで、それでお寺さんも回って、やっぱ人として成長できたらいいなと思って」という理由でした。

本当は、お遍路を回っている理由を聞いてはいけないとされているんですけどね。大切な方の供養だったり、病気の平癒を祈願したり、なかなか人には話しにくいデリケートな理由で回っている方も多いわけです。それゆえ、本来はお遍路間で回っている理由を聞くのはタブーとされています。

ただし、テレビ的には聞きたいところですよね。

ちなみに前園さんが回っている理由はこうです。

「俺はオファーをいただいたからまわっているっていう……」

いや、続けているだけでも立派ですよ!

愛媛県最大の難所である、第60番札所横峰寺に至る坂道では、やはり足を着かずに漕ぎ切っておられましたしね。

ちなみに横峰寺に郵便物を届けに来られた山本篤幸さんは、ここを専属で回っておられるのか、バイクもスクーターではなくオフロードバイクに乗っておられました。さらに、お遍路の方たちを勇気づける意味があるのか、法螺貝を吹かれます。法螺貝には「石鎚立螺先達」と書いてありますので、きちんと修行をした方なのでしょう。

さて、前園さんは今回のVTRの最後に、お遍路経験者ならばみなさんうなずかれるだろうことをおっしゃっていました。

「3県終わったでしょう、もう。だからあと1県ですから、もうちょっと……。イヤだなと思っていますよ、正直。終わっちゃうからね。もう行くと」

これって本当にあるあるで、私も歩き遍路で回っていた際、香川県に入るともう終わるのか~と思っていました。もっともっと、何なら永遠に歩きつづけていたい!と思ったんですよね。

それだけの魅力が、お遍路にはあるということです。

最後に

本当に今回は盛りだくさんの内容で、前編・後編に分けても成立するぐらいの撮れ高があったように思います。

また、冬から春に向かっていく季節でしたので、何となく絵面も温かみがあって良かったですね。高知では、寒さで死にかけていましたから。

残るはあと2編、頑張ります!

「前園真聖 自転車へんろ旅「愛媛編」」

※NHKプラスでの配信は2025年1月22日(水)2:56まで。下記リンクからNHKプラスに飛べます。

www.nhk.or.jp(2025.1.18閲覧)

オススメ度:☆☆☆☆☆