うずまきは1998~1999年にかけて連載されていたホラー漫画です。
タイトル通り「うずまき」を題材にした斬新な作品です。
作者は『富江』シリーズなど、ホラー作品で有名な伊藤潤二さんで、2000年に映画化もされています。

概要

  • 作者:伊藤 潤二(いとう じゅんじ)
  • 掲載:ビッグコミックスピリッツ(小学館)
  • 期間:1998年~1999年にかけて連載
  • 巻数:全3巻(完結)
  • 備考:2000年に実写映画化

あらすじ

物語の舞台となる、黒渦町では「うずまき」にまつわる数々の奇妙な出来事が起こり始めていた。

黒渦高校に通う五島桐絵(ごしま きりえ) は、隣町の高校に通う交際相手の斉藤秀一(さいとう しゅういち)の帰りをいつも駅で待っていた。

ある日、秀一の父親を街中で見かけ声をかけた桐絵だったが、父親は一向に気付いていない。

そのとき、秀一の父親は、カタツムリの殻をじーっと見つめていた

このことを秀一に話すと、父親が最近変だと聞かされる。

うずまき状の物をコレクションし、一日中眺めている。

うずまきに関するものに異常に固執し、人格まで変わってしまったと言う。

秀一は、そんなことになってしまったのは、この町の環境のせいだと言い出す。

黒渦町はうずまきに汚染されている。

川の流れ、風までも、あらゆるものがうずまき模様になってしまう。

こんなことが起きるのはこの町だけだと主張するのである。

桐絵は秀一の話が信じきれずにいたが、次から次へと、うずまきに関する奇妙な出来事が続いていくのである。

そしてついに、うずまきは人間の体にも影響を与え始める。

髪、顔、皮膚、体全体うずまきに支配されていく町の人々。

呪われた町での奇怪な出来事に影響され、人間達も次第に狂っていく

登場人物紹介

五島 桐絵(ごしま きりえ)
黒渦町に住む女子高生。父、母、弟と暮らしており、斉藤秀一という交際相手がいる。町中にうずまきが蔓延していき、自身も家族、秀一ともに巻き込まれていく。もともとロングヘアーだったが、髪の毛の先がうずまき状に伸びてしまった影響で、それ以後はショートカットに変わっている。

斉藤 秀一(さいとう しゅういち)
桐絵の交際相手。隣町の緑山市の高校に通う。町の異変にいち早く気付いた。うずまきが町に蔓延してからはずっと塞ぎこんでいるが、桐絵のピンチにはさりげなく駆けつけ、彼女の命を幾度となく救う。

丸山 千恵(まるやま ちえ)
テレビレポーター。台風被害のあった黒渦町に取材に訪れたが、町の呪いにより出られなくなってしまった。狂っている人々が多い中、冷静を保ちつつ、桐絵と町からの脱出を試みる。

谷崎(たにざき)
ボランティアで黒渦町に訪れ、出れらなくなってしまった男。人々の住むところがなくなってしまう中、懸命に長屋を増築し、自身の力で生きていこうとする人格者。

ヒトマイマイ
人間がカタツムリに変化してしまったもの。背中にうずまき模様のあざができ、徐々に膨らんでいく。動きがトロイと呪いにつけこまれてしまいこの姿となる?オスメスの区別はない。

蝶族(バタフライ族)
発生する竜巻に乗る荒くれ集団。桐絵や千恵を強引に誘おうとしたり、ヒトマイマイを食べたりとやりたい放題な人間達。

見どころ・おすすめポイント

うずまきに注目した発想が斬新すぎる

うずまき状の形をしたものは日常の中にも結構あります。

確かにじっくり見てみると不気味な形に思えてきます。

でも、うずまきをホラー漫画の題材にして、人間の体に影響を及ばしていくアイデアは常人では考えつきません。

もし、私が「うずまきってどんな漫画?」って咄嗟に聞かれたら、「うずまきが人をおかしくさせる話…かな」しか答えられないと思います(笑)

「ん?」ってなると思うので、「まあ、一回読んでみて」ってなるでしょう(実は、あらすじを書くのも結構苦労しました笑)。

インパクトのある絵タッチ

作者の伊藤潤二が描く独特の描写がたまらなく不気味です。

特に狂った人病んでいる人死人の顔などがインパクトありすぎです。

生気のない顔というものをこれほど巧みに書ける漫画家はそうそういないと思います。

物語の不気味さにプラスして、より一層恐怖感を味わえることができます。

「うずまき」の感想まとめ

内容は、1巻の最初から3巻の終わりまで、ずっと不気味な空気感が漂い続けています。

人々も町の景色も、ずっと重たい何かに支配されている印象です。

ジャンルとしては、間違いなくホラー、サスペンスの要素を大いに含んでいると思うのですが、発想の斬新さに思わず吹き出してしまう場面もあります。

カタツムリになってしまった生徒を見て、教師が私はこれをヒトマイマイと名づけようと思う」…いやいや、もっと突っ込むところがあるような…

私は20年くらい前に初めて読んだのですが、中毒性があるんですよね。たまに無性に読み返したくなるのです。

読んだ後は、うずまき状のものに少し敏感になりました。

洗濯機が回っているのを上からじーっと見て、ぐるぐる回っているなー、これもうずまきっぽいなぁと思ったりしていました(あまり感想に関係なくてすみません)。

ホラー好きには王道の作品ですので、もし読まれていない方は、一度は読んでいただきたいなと思います。