介護事業所BCP義務化について

 令和6年3月までに全介護事業所でBCP義務化!!

こんにちは 防災職人_中やんです。

少し間が開いてしまいました。(反省)


木蓮の蕾み(純白の花が楽しみ)
生温かい雨が降ったかと思うと、急に冷え込んだり、天候の変化が激しいですね。体調崩さないように気をつけましょう。新型コロナの第8波も、やや減りつつも、まだまだかなりの人数の感染が続いてますし、第7波に比べて第8波の方が亡くなられる人の数が多いようですから、初心に返って感染対策することで、お年寄りや持病を持つ身近な人に感染しないようにしていきましょう。(うぅっ!! 私は喫煙者でメタボという称号を持つ身なので、感染した場合が怖い!!)





それでは、今日は介護事業所のBCP義務化について、厚生労働省が示している中身を少し紹介します。

令和3年度介護報酬改定

介護事業に関係されている方々であれば既にご存知の方が多いと思いますが、令和3年1月25日に厚生労働省から出された『厚生労働省令第9号』により、介護保険法、老人福祉法、社会福祉法に基づく介護支援事業に関する人員、設備及び運営に関する基準等の一部が改正されました。(詳しくは、厚労省ホームページで確認をお願いします)


BCPの義務化

主な改正点の概要は次のような内容です。

感染症や災害への対応力強化
 感染症災害が発生した場合であっても、利用者に必要なサービスが安定的・継続的に提供される体制を構築
②地域包括ケアシステムの推進
 住み慣れた地域において、利用者の尊厳を保持しつつ、必要なサービスが切れ目なく提供されるよう取組を推進 
③自立支援・重度化防止の取組の推進
 制度の目的に沿って、質の評価やデータ活用を行いながら、科学的に効果が裏付けられた質の高いサービスの提供を推進 
④介護人材の確保・介護現場の革新
 喫緊・重要な課題として、介護人材の確保・介護現場の革新に対応 
⑤制度の安定性・持続可能性の確保
 必要なサービスを確保しつつ、適正化・重点化を図る 

大きく5項目が改正されているようです。この中の「①感染症や災害への対応力強化」がBCPの策定とBCM体制の構築の部分です。厚労省が発表している「令和3年度介護報酬改定の概要」には、

○日頃からの備えと業務継続に向けた取組の推進
・感染症対策の強化 ・業務継続に向けた取組の強化 ・災害への地域と連携した対応の強化 ・通所介護等の事業所規模別の報酬等に関する対応

と書かれています。具体的に何が求められているかについては、省令の中に介護事業の種別ごとに記されています。こちらも中身を見てみましょう。

省令第1条を例にして見ると、第1条は『居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第37号)』の一部改正です。この基準の該当条項は次のとおりです。

(業務継続計画の策定等)
第30条の2 指定訪問介護事業者は、感染症非常災害の発生時において、利用者に対する指定訪問介護の提供を継続的に実施するための、及び非常時の体制で早期の業務再開を図るための計画(以下「業務継続計画」という。)を策定し、当該業務継続計画に従い必要な措置を講じなければならない
2 指定訪問介護事業者は、訪問介護員等に対し、業務継続計画について周知するとともに、必要な研修及び訓練定期的に実施しなければならない
3 指定訪問介護事業者は、定期的に業務継続計画の見直しを行い、必要に応じて業務継続計画の変更を行うものとする。

(衛生管理等)
第31条 (略)
2 (略)
3 指定訪問介護事業者は、当該指定訪問介護事業所において感染症発生し、又はまん延しないように、次の各号に掲げる措置を講じなければならない
 一 当該指定訪問介護事業所における感染症の予防及びまん延の防止のための対策を検討する委員会(テレビ電話装置その他の情報通信機器(以下「テレビ電話装置等」という。)を活用して行うことができるものとする。)をおおむね六月に一回以上開催するとともに、その結果について、訪問介護員等に周知徹底をはかること。
 二 当該指定訪問介護事業所における感染症の予防及びまん延の防止のための指針を整備すること。
 三 当該指定訪問介護事業所において、訪問介護員等に対し、感染症の予防及びまん延の防止のための研修及び訓練定期的に実施すること。 

と書かれています。これが感染症非常災害に対するBCP(業務継続計画)の策定と、BCM(周知・訓練・見直し等)体制の構築義務化する条文です。


義務化の対象は、どの介護サービス業種?

先ほどの第30条の2及び第31条第3項は、『訪問介護事業所』についての条項ですが、『訪問系』、『通所系』、『入所系』の介護及び看護事業、そして『介護福祉用具貸出し・販売』のすべての事業所について、同じ内容の条項が新設されています。

省令9号は、次のように構成されています。

第1条 居宅サービス等
第2条 指定居宅介護支援等
第3条 指定地域密着型サービス等
第4条 介護予防サービス等
第5条 指定介護予防支援等
第6条 地域密着型介護予防サービス等
第7条 養護老人ホーム等
第8条 指定介護唐人福祉施設等
第9条 介護老人保健施設等
第10条 指定介護療養型医療施設等
第11条 特別養護老人ホーム等
第12条 軽費老人ホーム等
第13条 介護医療員等

いつから義務化! 経過措置!!

そして、省令の附則経過措置について書かれています。

附則第3条(業務継続計画の策定等に係る経過措置)
この省令の施行の日から令和6年3月31日までの間、新居宅サービス等基準第30条の2~~~(新介護医療院基準第54条において準用する場合を含む。)の規定の適用については、これらの規定中「講じなければ」とあるのは「講じるよう努めなければ」と、「実施しなければ」とあるのは「実施するよう努めなければ」と、「行うものとする」とあるのは「行うよう努めるものとする」とする。

附則第4条(居宅サービス事業者等における感染症の予防及びまん延の防止のための措置に係る経過措置)
この省令の施行の日から令和6年3月31日までの間、新居宅サービス等基準第31条第3項~~~第85条において準用する場合を含む。)の規定の適用については、これらの規定中「講じなければ」とあるのは「講じるよう努めなければ」とする。

附則第11条(介護保険施設等における感染症の予防及びまん延の防止のための訓練に係る経過措置)
この省令の施行の日から令和6年3月31日までの間、新地域密着型サービス基準第151条第2項第3号~~~及び介護医療院は、その従業者又は職員に対し、感染症及び食中毒の予防及びまん延の防止のための研修を定期的に実施するとともに、感染症の予防及びまん延の防止のための訓練を定期的に実施するよう努めるものとする

この附則があるので、本来令和3年から義務化されるところを、令和6年3月31日までは努力義務になるわけです。

『努力義務』は、規定どおりにするように努力することで、結果的に規定どおりにならなくてもいいものです。これが『義務』とされた場合は、規定どおりにしなくてはならないということです。ただし、これは省令による義務化ですので、罰則はありません。できなければ即“義務違反=罰金・営業停止云々”とはなりません。

しかしながら、当然、厚労省としては義務化してでも介護事業者BCPの策定とBCM体制の構築(周知・訓練・見直し等)をさせたいわけですから、罰則はないにしろ何らかのペナルティー的な指導(行政指導、許認可の変更、交付金等の制限・・・)がなされることが容易に想像できます。

地方自治体で勤務した経験から言えるのは、国が何らかの施策の実行を求めるとき、最初は「今度、義務になりますのでよろしくお願いします~。」とヤンワリ言ってきますが、いざ法令が施行になって、まだやっていない自治体へは、ものすごい勢いで畳みかけてきます。「交付金カットしますよ。全国に公表しますよ。それでもいいんですかぁ」みたいな感じです。(おっと! ちょっと言い過ぎたかな・・・反省)

令和6年3月31日までにBCP作ればいいの!? No!!です

BCP(業務継続計画)とは、感染症災害が発生した時のための対応や業務の継続・再開のための計画書です。ようするに文書を作ることです。厚労省や色々な団体等から『雛形』やガイドラインが公開されていますので、それらを使って作ればそれなりに形は整うでしょう。

しかし、この計画書は、感染症の発生や災害の発生という非常時に機能するものでなければなりません。

そのためには、どんなリスクがあり、事業にどんな影響があるのか、事業所としてどこまで対応し、どの事業をどのように継続又は早期再開させるかの方針を定め、その方針に従った対応行動をどうとるか等々を計画し文書化することが必要なのです。

防災・災害等の一定の知識があり、BCPを理解している人が取り組んだとしても、数ヶ月かかる作業なのです。(私は、自治体のBCPを策定するのに1年半を要しました・・・)

それと、勘違いされがちなのが、『令和6年3月までにBCPを作ればいい』と思い込まれることです。もう一度、省令に示されている改正条文を読んでみてください。

令和6年3月31日までに介護事業者がやらなければいけないことは・・・

① BCP(業務継続計画)を策定
② BCPに従った措置をすること(施設整備や備蓄等)
③ BCPの内容を介護員等の職員に対し、周知・研修・訓練を定期的に実施すること
④ BCPを見直し改正すること

この4つを最低1サイクルやっておかなければいけないということです。本当なら、軽く1年はかかります。最短でも

どうでしょうか、多分、皆さんのお住まいの自治体からは、ここまでを念頭に置いて「BCP作ってくださいね」と言っては来てないのではないでしょうか?

期限が近づいてから「早く作りなさい!早く訓練しなさい!! じゃないと、私たちが国から怒られるじゃないですか!!!」なんて詰め寄られるかもですよ(怖っ)


以上、令和3年度介護報酬改定について厚労省が出した内容の中のBCP/BCMに関係する部分を紹介しました。

次回は、BCPを策定するには、どんなことをしなければならないのかについて紹介したいと思います。

今回も、読んでいただきありがとうごあいました。関心がある興味があると思っていただいたらフォローお願いします。




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