血液

DダイマーとFDPの違い〜乖離は線溶亢進型DICの可能性

DダイマーとFDPを測定する意味を知りたい。

「DICを疑う時、なんとなくFDPやDダイマーを測定するけど、違いがよくわからない。

要は増えてたらDICでしょ?」

と思ってる人結構いませんか?

実は、FDPやDダイマーの数字をみることでDICの鑑別ができるんです!

「DICを疑う時、なんとなくFDPやDダイマーを測定するけど、違いがよくわからない。

要は増えてたらDICでしょ?」

と思ってる人結構いませんか?

実は、FDPやDダイマーの数字をみることでDICの鑑別ができるんです!

この記事では、FDPやDダイマー、フィブリノゲン・フィブリンなどの関係について説明して、それらの値からDICの鑑別をどう行うかについて解説します。

さぁ、もっと血液検査について詳しくなりましょう!

【目次】
1.FDPはフィブリン分解産物とフィブリノゲン分解産物の合計
 1−1.フィブリノゲンが活性化してフィブリンになることで止血・凝固
 1−2.フィブリン分解産物が増える→凝固が強い
 1−3.フィブリノゲン分解産物が増える→線溶が強い
2.Dダイマーはフィブリノゲン分解産物の一部
 2−1.Dダイマーが増える=フィブリン分解産物が増える=凝固が強い
3.DダイマーとFDPが乖離
 3−1.普通はDダイマーが増えると FDPも増える
 3−2.線溶亢進型DICではフィブリノゲン分解産物が多い
 3−3.FDPとDダイマーが乖離する疾患
4.DダイマーとFDPの違い:まとめ

FDPはフィブリン分解産物とフィブリノゲン分解産物の合計

フィブリノゲンが活性化してフィブリンになることで止血・凝固

まず用語の解説をします。

フィブリンは血栓や血餅を作るときにできるもので、
フィブリノゲンはフィブリンの材料です。

フィブリノゲンが活性化されることでフィブリンになり、凝固や止血をおこなっています。

Try iTのHPより画像引用
https://www.try-it.jp/chapters-10519/sections-10520/lessons-10536/point-2/

フィブリン分解産物が増える→凝固が強い

フィブリン分解産物が増える=フィブリンが多い=凝固が強い

ということになります。

フィブリノゲン分解産物が増える→線溶が強い

逆に、フィブリノゲン分解産物が多いということは、止血の大本であるフィブリノゲンが少ないので、線溶が強い

ということになります。

Dダイマーはフィブリノゲン分解産物の一部

Dダイマーが増える=フィブリン分解産物が増える=凝固が強い

では、Dダイマーはなんなのか?

Dダイマーはフィブリン分解産物の一部です。

FDPとDダイマーの関係図

なので、

Dダイマーが増える≒フィブリン分解産物が増える=凝固が強い

ということになります。

Dダイマーが増加しFDPも増加(線溶抑制型DIC)

DダイマーとFDPが乖離

普通はDダイマーが増えると FDPも増える

ここで、今までのまとめをします。

FDP=フィブリノゲン分解産物+フィブリン分解産物≒フィブリノゲン分解産物+Dダイマー

という関係式が成り立ちます。

よって、

Dダイマーが増える→FDPが増える

も成り立ちます。

じゃあDダイマーだけはかっておけばいいかといえば、そうとは言えません。

線溶亢進型DICではフィブリノゲン分解産物が多い

FDP≒フィブリノゲン分解産物+Dダイマー

なので、フィブリノゲン分解産物が増えてもFDPが増加します。

つまり、FDP↑、フィブリノゲン分解産物↑、Dダイマー→となり、FDPとDダイマーが乖離します。

これはどういったときに起きるのでしょうか?

フィブリノゲン分解産物がふえる、ということは線溶系の亢進のときでしたね。

ということは、FDPとDダイマーが乖離している時は線溶亢進型DICが起きているということになります。

FDPとDダイマーが乖離(線溶亢進型DIC)の図
線溶亢進型DIC

逆に、乖離していない時は、線溶抑制型DICがおきています。

DダイマーとFDP(凝固亢進型DIC)
線溶抑制型DIC

※どちらも起きてる中間型もあります。

FDPとDダイマーが乖離する疾患

線溶抑制型DICは敗血症などでおきます。

線溶亢進型DICを起こす疾患が特殊なのでそちらを知っておけば役に立ちます。

線溶亢進型 DICをおこす疾患

  • 急性前骨髄球性白血病
  • 前立腺癌
  • 腹部大動脈瘤 など

DダイマーとFDPの違い:まとめ

今回の内容をまとめます。

  • FDP=フィブリノゲン分解産物+フィブリン分解産物≒フィブリノゲン分解産物+Dダイマー
  • FDPとDダイマー両方増加→線溶抑制型DIC
  • FDPとDダイマーが乖離→線溶亢進型DIC
  • 線溶亢進型DICの疾患を覚える

DICの診断基準なのでDダイマーとFDPは同時測定すると思いますが、深読みできるともっと診断にせまれます。

ぜひ今後の臨床で活用してみてください♪

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