参院本会議で改正NTT法が可決、成立し、一礼する松本総務相(17日)
研究成果の開示義務を撤廃する改正NTT法が17日の参院本会議で与党などの賛成多数で可決・成立した。NTTの国際競争力を高める第一歩となる。今後はNTT法の廃止を含めて新たな規制のあり方を検討する。
これまで禁じていた外国人役員も取締役全体の3分の1未満まで認めるよう緩和する。NTT、NTT東日本、NTT西日本の社名変更も認める。
NTT法は日本電信電話公社の民営化に伴い1984年に制定された。NTT法は同社に責務としてアナログ電話の「あまねく提供」と「研究の推進及び成果の普及」を課していた。
スマートフォンが普及し、大量のデータが行き交う時代となり、法律が実態に合わなくなっている。NTT法に類する法規制は米欧の主要国では既に廃止されている。NTTは法律の廃止を求めていた。
改正法の成立を受け、NTTは「パートナーと連携しながら、引き続き研究開発に取り組む」とコメントを出した。
外国人役員の登用に関する規制緩和については、他の通信3社を念頭に「外資規制と同様、経済安全保障の観点から主要通信事業者全体を対象に議論が必要」と主張した。
KDDI、ソフトバンク、楽天モバイルも連名のコメントを出した。
ユニバーサルサービスのあり方など国民生活への影響は大きいとし「NTT法の廃止には反対するとともに、より慎重な政策議論が行われることを強く要望する」と訴えた。
競合事業者は日本電信電話公社時代に築いた資産の多くを引き継いでいる点などを挙げ、NTTに対する規制の必要性を強調する。
今後の焦点はNTT法の廃止を含めた規制のあり方だ。改正法では付則に「廃止を含めて検討」と盛り込んだ。
さらに「25年の通常国会をめどに、NTTへの規制の見直しを含む電気通信事業法の改正など必要な法案を提出する」と明記した。
当初、総務省が示した付則は「2025年の通常国会をめどに、電気通信事業法の改正、NTT法の改正または廃止に必要な法案を提出する」だったが、自民党が修正を求めた。
自民党の中でもNTT法の廃止に慎重な意見は多い。
中身については、外資規制、公正な競争環境、通信のユニバーサルサービスの確保といった3つが大きなテーマになる。
NTT法を巡っては、通信のユニバーサルサービスや外資規制についても総務省が有識者でつくる審議会で議論を進めている。総務省は今夏にも答申を出す方針だ。
通信行政の最大の役割は独占や寡占に歯止めをかけることだ。そのうえで、事業者間の活発な競争を実現するためのルールづくりが重要になる。
日経記事024.04.17より引用
技術開発ではNTTなどの巨大キャリアが主導する時代は終わり、今回の改正法で一つのメドがついた。日本の通信会社が米アップルなど世界のテック企業と伍していくには技術革新を後押しする制度改革が重要になる。