米スターラブ社が開発する宇宙関連設備のイメージ
三菱商事が宇宙ステーションの開発事業に参画する。
米宇宙関連企業ボイジャー・スペースと欧州エアバスの共同出資会社、米スターラブスペースと資本提携した。
現在の国際宇宙ステーション(ISS)は2030年に退役する見通しで、スターラブは後継基地の開発で有力企業。三菱商事は関連する日本企業の仲介などで商機を見込む。
スターラブが5日、三菱商事から出資を受け入れたと発表した。
三菱商事はスターラブに取締役と常駐の駐在員を1人ずつ派遣し、事業に参画する。出資比率や投資額は開示していない。
宇宙関連設備のメーカーや宇宙基地を使いたい日本や各国・地域企業の仲介事業を想定する。「基地内はほぼ無重力で、薬や新素材の開発需要も見込む」(三菱商事の事業担当者)
米欧日など15カ国が参画するISSの退役に伴い、米航空宇宙局(NASA)は民間企業が開発する後継基地候補として3陣営を選んだ。スターラブはその1つだ。
NASAは26年ごろに1陣営以上を選定し、29年ごろに新基地の運用開始を見込んでおり、3陣営に4億ドル(約600億円)規模の支援を決めた。一般的に宇宙基地の開発は数千億円の投資が必要とされる。
三菱商事はロケットや人工衛星など宇宙関連の仲介事業を古くから手がける。
23年に宇宙ごみ(デブリ)を除去するサービスのアストロスケールホールディングス(東京・墨田)に出資するなど、宇宙事業の強化を模索している。
宇宙基地事業をめぐり、日本の商社の動きは活発だ。
後継候補で他の2陣営のうち、米アクシオム・スペースとは三井物産が資本提携した。そのほか、米ブルーオリジンなどの計画に参画する米シエラ・スペースには兼松などが出資している。
日経記事2024.04.06より引用