2025年2月3日に登場した三菱鉛筆のZENTO(ゼント)という水性ボールペンに使われているインクとリフィルに焦点をあてて紹介します。
ZENTOインクは水性インクでサラサラとした気持ちのいい書き味、顔料を使っているので耐水性、耐光性にも優れているという特徴があります。
それでは詳しく紹介します。
この記事をおすすめする人
サラサラな書き心地のインクが使いたい
発色が良くにじみにくいインクが好き
汎用性の高いC300系リフィルを探している
ZENTO(ゼント)の特徴
ZENTOはにじみにくく速乾性にすぐれた水性インク

三菱鉛筆といえは低粘度油性インクの代名詞ともいえる「ジェットストリーム」が一番に思い浮かぶと思います。
今年(2025年1月)には「ラミー サファリ ジェットストリームインサイド」を発売するなど世界レベルでの人気を誇っています。
このZENTOインクはその三菱鉛筆が6年もの期間を費やして開発されたこれまでにない水性インクです。
水性インクにはにじみやすく乾きにくいという欠点がありました。
その欠点を改良して作られたZENTOインクは、サラサラで書きやすい水性インクの特性に加え、にじみにくく速乾性に優れているという特徴があります。
界面活性剤とインクの広がりを抑える粒子を配合
詳しくは三菱鉛筆のホームページに掲載されているので簡単に説明します。
まずは界面活性剤の使用。
これによって筆記時の摩擦抵抗を和らげられるという事です。
もうひとつはインクを引き寄せる粒子の配合。
これによりインクの広がりを抑え、速乾性にも優れているため、にじみにくく裏うつりしにくくなっているそうです。
また顔料が使用されているため、耐水性、耐光性にも優れているので、公文書などの長期保存にも適している、まさに最強の水性インクですね。
ボールサイズは2種類でインクカラーは3種類

前述したようにこれまでにない画期的なインクが装填されているリフィル。
ボールサイズは0.38mmと0.5mmの2種類。
またインクカラーは黒、赤、青の3種類です。
リフィルの品番はボールサイズ0.38mmが「UBR-Z-38」、0.5mmが「UBR-Z-05」です。
ZENTOインク採用のリフィルは「C300系」

このZENTOに採用されたリフィルは「C300系」として流用できそうです。
写真上がOHTOの「C-305」、下がZENTOリフィルです。
長さなどそっくりですよね。
実際にZENTOリフィルのサイズを測定してみました。


全長が111.63mm、外径が61.2mm。

ペン先径が2.3mmでした。
「C300系」と言われる水性「A」型、ゲル「J」型、ゲル「K」型と比較してみました。
全長(mm) | 外径(mm) | 尾栓外径(mm) | ペン先径(mm) | |
---|---|---|---|---|
ZENTO | 111.63 | 6.12 | 2.30 | |
水性「A」型 | 111(±2) | 6.2(±0.1) | 6.3(±0.3) | 2.3(±0.1) |
ゲル「J」型 | 111(±1.0) | 5.5(±0.15) | 2.3(±0.05) | |
ゲル「K」型 | 111(±1.0) | 6.1(±0.15) | 2.3(±0.05) |
一覧を見ても分かるとおり、ZENTOリフィルは全長やペン先径は比較した3種のどれとも規格の範囲内ですね。
外径を見ると水性「A」型より若干細身で、ゲル「K」型の規格に準じているようです。

三菱鉛筆のゲルインクボールペン「ユニボール」のリフィルがゲル「K」型なので、並べて比べてみました。
ユニボールに使われているリフィルの品番は「UMR-05S」。


肉眼的には外径、ペン先の形状などもほぼ同じに見えます。
汎用性の高い規格をZENTOのリフィルにも採用したようですね。
サイズ、形状などから「C300系」と言えそうですね。
「C300系」についてはこちらの記事で詳しく紹介しています。
よかったら参考にしてください。
三菱鉛筆の互換表にもZENTOのリフィルが追加されていました。
下にリンクを貼っておきますので、そちらも参考にしてください。
水性リフィルの規格としては「D」型に分類
サイズはゲル「K」型の規格とほぼ同じという事が分かりました。
ちょっとマニアックな話ですが、ボールペンリフィルの規格はインク別に定められています。
水性インク、油性インク、ゲルインクそれぞれに規格があります。
ZENTOインクは水性なので、水性リフィルの規格となります。
先に見てもらったようにZENTOリフィルは水性リフィルの規格としては「A」に近い規格にはなります。
ですが、「A」「B」「C」のどれにも当てはまりません。
どれにも当てはまらないのでその他の規格に分類され、形式記号としては「D」型に分類されます。
ボールペンに使われているリフィルの規格についてはこちらの記事で詳しく紹介しています。
よかったらこちらの記事も参考にしてください。
ZENTOインクの書き味

公式ページの情報を見るだけでもすごいインクが開発されたんだということがすごく伝わってきます。
そのZENTOインクの実力を他メーカーの水性インクと比較してみたいと思います。
比較に使用する水性インク採用リフィルはこちら。
メーカー | リフィル | ボールサイズ | 軸 |
---|---|---|---|
OHTO | C-305 クロ | 0.5mm | CR01 |
トンボ鉛筆 | BK-L5P33 | 0.5mm | ZOOM 505 |
ペリカン | 338 | F(0.8mm) | スーベレーン R405 |
LAMY | M63 | M(0.7mm) | サファリ ローラーボール |
「発色」、「にじみ、裏抜け」、「速乾性」、「耐水性」それぞれに焦点を当てて比較してみます。
「耐光性」についてはかなり時間を要するので、また別の機会に比較できればと思います。
発色比較

上から、ZENTO、OHTO、トンボ鉛筆、ペリカン、LAMYの順です。
色調としては、ZENTOインクとトンボ鉛筆は若干濃いめの墨汁を思わせる黒ですね。
OHTOとペリカンの発色具合はよく似ていて、青みを感じる黒ですね。
LAMYはZENTOインクより黒みが強い感じがしますね。
色調によって好みは分かれるところかと思いますが、どれもさすが水性インクという感じですね。
それぞれに特徴があり、どれも発色はいいですね。
にじみ比較

ボールサイズが違うので、比較しにくいかと思いますがご了承ください。
ZENTOインクは線がシャープな印象ですね。
筆記していてもほぼにじみを感じません。
一番にじみやすいと思ったのがトンボ鉛筆で、次いでOHTOがにじみやすいかなという印象です。
裏抜け比較
裏抜けを確認してみると、その差がかなり出ました。

まずはブロックロディア(ホワイト)の裏側です。
ブロックロディアは紙が厚いので裏抜けしにくいですが、ZENTOインクが全く抜けていないのが比較してみるとよくわかります。
次にキャンパスのノートをを使って比較してみました。

一通り筆記して紙の裏を確認してビックリしました。
OHTO、トンボ鉛筆、ペリカン、ラミーのどれもが裏抜けしてしまっている中、ZENTOインクだけほぼ、というか全く裏に抜けていないですね。
本当に水性インクかと疑うレベルですね。
速乾性

筆記直後にティッシュでサッと文字部分をこすってみました。
上から、ZENTO、OHTO、トンボ鉛筆、ペリカン、LAMYの順です。
さすがに筆記直後ではどのインクも擦れてしまいますね。
続いて筆記5秒後にティッシュでサッとこすってみました。

5秒ではZENTOインクは擦れてしまいました(汗)
この5種で一番速乾性に優れていたのはラミー、次いでトンボ鉛筆でした。
10秒以上経過した時点ではどのインクも擦れなかったです。
耐水性
筆記し、しっかりと乾燥した状態で水で濡らした綿棒で左から右に一度なでるように水をつけてみました。

結果は写真のようになりました。

ZENTOインクは色素が流れ出していますが、筆記線はにじんでいませんね。
トンボ鉛筆が一番にじまず、次いでZENTOインクという結果でした。
この両者は完全に乾くと、綿棒でつけた水程度ではにじみにくく耐水性があるといっていいと思います。

写真はOHTOですが、かなりにじんでしまっていますね。
ペリカン、LAMYも筆記線が崩れてしまうほどにじんでしまっています。
筆記感
正直どれもとてもサラサラとした書き味で優劣をつけるのが難しいです。
違いがあるなと感じた点としては、書き出した時です。
ZENTOインクはインクフローが非常に安定していて、スタートダッシュが効いてるなという感じですね。
そして書き出しのいい感じが最後まで持続しているなという印象です。
「C300系」軸と互換性を検証
「C300系」と呼ばれるボールペン軸との互換性をいくつか試してみました。
ZEBRA サラサグランド


サラサグランドに採用されている「JF芯」はゲル「K」型に分類されます。
ZENTOのリフィルを入れてみました。
軸内の収まりは特に問題ないですね。
リフィルが中でカタカタと動くことはありません。
ノックもスムーズにできました。
ペン先と口金との固定もほぼ隙間はなく、カタカタすることはありません。
無印良品 ノック式アルミ


こちらはゲル「K」型を採用しています。
こちらでも軸内でのリフィルはきちんと収まりました。
ノック感も特に問題はなさそうです。
口金の固定もカタカタせず、特に問題なく使えそうですね。
ぺんてる エナージェルフィログラフィ


エナージェルフィログラフィはゲル「K」型を採用している軸になります。
軸内の固定、収まりはいいですね。
回転で繰り出すのも特に問題なく行えました。
OHTO CR01


CR02は水性「A」型を採用している軸です。
軸内での固定はしっかりしています。
口金とリフィルとの隙間は肉眼ではほぼありませんね。
筆記時にカタカタと動くことはありませんでした。
ゲル「K」型が使える軸にはZENTOリフィルが使えそう
いくつか試した結果ゲル「K」型を採用してる軸にZENTOリフィルはほぼ問題なく使用できそうですね。
ZENTOの軸も魅力的ですが、他のいろんな軸に入れて楽しむのもよさそうです。
こちらの記事でいろんな「C300系」軸を紹介しています。
この中でゲル「K」型と互換がある軸であれば使用できるかと思います。
よかったらこちらの記事も参考にしてください。
ZENTOインク・リフィルをおすすめする理由
水性インクながら裏抜けしにくい
インクフローが安定していて、書き始めから書きやすい
サラサラとした書き味が気持ちいい
「C300系」軸に流用が可能
というところかと思います。
公式ページのZENTOの開発背景で
「uniball ZENTO」は、2019年から6年かけ開発チームが本気で挑戦した、新感覚の次世代水性ボールペンです。日本では売り場で存在感を失いつつある水性ボールペンの復活ともいえるような、革命的なペンとなっています。
とあるように、低粘度油性インクやゲルインクが主流のボールペンにおいて、水性ボールペンを盛り上げようという三菱鉛筆の本気が伺えます。
実際ZENTOのシグニチャーモデルは発表後あっという間に売り切れ、フローモデルも店舗によっては早々に売り切れ、入荷待ちとなるほどの人気ぶりです。
この書き心地、使い心地の良さ、話題性などこれまでの水性ボールペンというカテゴリーの枠を飛び出したZENTO。
文具好きはもちろん、そうでなくても興味がでるのも納得の仕様かなと思います。
まだZENTOを使ったことがないという人にはぜひこの書き心地を体験してみてください。
最後に

今回はZENTOインク、リフィルに焦点を当てて紹介しました。
また写真にある3種類の軸についてもレビューしたいと思います。
この記事が皆さんのリフィル選びの一助になれば幸いです。
最後まで読んでくれてありがとうございました。
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