自分

エッセイ

半世紀生きたので途中経過をまとめたら

2023/5/26

自己紹介文になりました。 熊本を中心にテレビディレクターとして30有余年。 学生時代には哲学を専攻。今も人間とは…」「生命とは…」といった空恐ろしいことを問い続けながら、幅広いジャンルの番組制作に携わっています。 民放の報道記者を卒業し、「映像作りは独立系であるべきだ」との強い思い込みから制作プロダクションを立ち上げる。リサーチ、企画、仕上げの編集まで一人で手がけなければならないローカル放送の演出構成を行うディレクターとして、バラエティー番組から社会派ドキュメンタリーまでを手がけています。 最近の個人的な ...

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ふく

エッセイ

キンカチョウのふくがちょっと先に逝く

2023/4/27

 キンカチョウのふくが天国に旅立ちました。我が家に福が訪れるように、ふくと名付けて初めて飼育した小鳥でした。 キンカチョウはスズメよりも小さい鳥なのでよく見なければわからないのですが、ビーズ玉のような、ちっちゃな瞳はとても穏やかで、どこかおっとりとした雰囲気を漂わせている小鳥でした。 ふくは同種の小鳥の中では体格が良い方で、5羽の元気な子供達も産み育て、どこか肝っ玉母さんのような安心感を与えてくれる子でした。ゆっくりと生と死のグラデーションを描くように弱っていき、最期は穏やかに息を引き取ったように見えまし ...

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フラ仲間と

エッセイ

半分の愛情

2023/4/10

フラを踊ります。男のことをハワイ語で「カネ」といいます。だからカネフラのダンサーです。かれこれ10年程度のキャリアになります。 昨日、約3年ぶりにフライベントに参加して踊りました。 場所は熊本県の水俣市です。公害で世界的にも知られている水俣市ですが、実はその名が示すように、山から流れてきた2本の清流が交わる位置にあり、自然豊かでとくに水が美しい場所です。 青天にめぐまれ、緑の芝生が美しくひろがるエコパーク水俣の野外ステージ。とにかく気持ちがよい舞台です。 踊りのできはともかく、会場のみなさんにできるだけの ...

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エッセイ

本当の女とは

2023/4/3

桜の名所を散歩 熊本市西区の名刹、本妙寺の参道を連れと歩きました。桜吹雪が舞う中、陽気をふくんだ心地よい風が頬をなでていきます。 ひらひらと散る桜の花びらを見ていて、連れと以前話したことを思い出しました。 映画『秒速5センチメートル』(2007年・新海誠監督)の感想です。この映画はものすごくおおざっぱに言えば、男女のじれったいすれちがいの物語です。 離れて暮らさざるを得ない幼い男の子と女の子が、周囲にだまって北関東の田舎の駅で待ち合わせをするところが物語の一つの山場になっています。 積雪のため電車は遅れ、 ...

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ドラえもん

エッセイ

とっても大好き土左衛門

2023/3/31

どざえもん【土左衛門】(享保頃の江戸の力士、成瀬川土左衛門の身体が肥大であったので、世人が溺死人の膨れあがった死体を土左衛門のようだと戯れたのに起こるという)溺死者の遺体。 広辞苑 なんという由来だろうかと思いますが、別に警察の鑑識課職員の話ではありません。 先日なにげなく「あんあんあん、とっても大好き…」と歌っていたら何度挑戦してもタイトルのように「土左衛門」になってしまうのです。 ファンからすると作品への冒涜だと言われそうですが、そうとしか歌えなかったのでご容赦いただきたいと思います。 先日の「ほら貝 ...

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Memento_mori

エッセイ

傷を愛して生きる

2023/3/30

memento mori いつもアホみたいなことを書いているので今回はちょっとまじめに考えてみました。 がんの状態をあらわすカテゴリーにステージというものがあります。 わたしのがんはステージ4Cというもので、分類としては最も厳しいところに位置しています。 そんな自分の病気の状況を伝えられ、もうすぐ死ぬかもしれないという現実に直面したというわけです。 かつてがんで亡くなった友人が、死ぬ前に話してくれたことを思い出ししました。 「不思議なことに元気な頃は目にもとめなかった道端の草花の一輪がどうしようもなく美し ...

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エッセイ

こころあたたまる朝のルーティンとセイウチの思い出

2023/3/28

頭頸部がんあるある? もともと猫舌ではあったのですが、がんになってから熱いものと辛いものが苦手になりました。 炊き立てのご飯をあやまってほおばってしまうと、とんでもないことになります。しょっちゅうもだえ苦しんでいる私を見て不憫に思ったのか、連れは、炊き立てのご飯や温め直した梅ヶ枝餅を食べる時に「ふうふう」をしてくれます。 「ふうふう」をしてもらい喜ぶ中高年男性。人さまに見せるられるようなシーンではありませんが、なんとなくこころあたたまるシーンではないかと思います。 放射線治療を行うと、照射範囲が炎症を起こ ...

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drum

エッセイ

ホラを吹くと前歯がとれる

2023/3/27

イベントなどで和太鼓を演奏するグループに所属しています。 私は太鼓の他に、笛などの鳴り物を担当しています。だから、うわ顎をとっぱらった時点でもう二度とイベントには参加できないだろうと覚悟をしていたのですが、退院から半年ほど、笛に息を吹きかけて音のようなものを出す練習を続けていたところ、意外と鳴るようになったのです。 3本ある三叉神経のうち、真ん中の神経が切断されているので唇右半分の感覚はないのですが、このあたりかなという場所に笛を持ってくると、6割から7割の確率で音が鳴ります。 ほら貝も私の担当です。感覚 ...

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sun

エッセイ

ブリヤリジョ

2021/11/10

 今日は、病気とは関係ありません。  「ブリヤリジョ」とは、市場直送の新鮮なブリを配る活気のある場所でも、脂の乗ったブリを配ってまわる親切な女性のことでもありません。私の造語です。こんな言葉がぽろっと出てしまうなんて、なんてクリエイティブなんだと我ながら感心してしまいます。私にとってはここ数年心の中で使わない日はないくらい、とても意味のある言葉です。  「ブリヤリ」とは、「放り出す」の熊本弁「ぶりやる」の変化で、「ジョ」はそのまま「所」。つまり「ブリヤリジョ」とは「放り出す場所」という意味になります。   ...

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seaside

エッセイ

シーズン2

2021/11/9

 ブランクがかなり空いてしまいましたが、眺めの良い部屋に引っ越したこと以外、何か出来事があったわけではありません。おそらく、明日できることは明日しよう、という私の揺るぎない信念がそうさせたのでしょう。がんの治療もうまくいっているのかいないのか、特に代わり映えのない治療が続いています。問題は倦怠感くらいです。この倦怠感はオプジーボにはつきものなのでしょうか。お分かりになる方がいらっしゃったらぜひ教えてください。同じ治療をされている方のお話も聞いてみたいです。  今気づいたのですが、がんを告知された時に、全く ...

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