ソマリア内戦への米軍への介入を舞台にしたブラックフォークダウンという戦争映画。
ゲリラのRPGが兵士のお腹に刺さっているのがとてもえぐかったです。英語はあまりわかりませんが、米兵がRPGを構えたゲリラを見て「RPG~」と悲鳴のような声を上げているのだけ聞き取れたのを覚えています。
大学の経営学か組織論の授業で教授が、米軍の官僚組織(ピラミッド型の中央集権)が、このソマリアの戦闘以来見直されたという話をしていました。
秒単位で状況が変わっていく市街戦において情報を中央にあげ、中央から指令がいくという組織では、ゲリラに対応できず、結果戦闘ヘリが自由に身動きできず撃墜されてしまう。
現在の官僚組織も会社組織も、元をたどれば軍事組織、もっというとドイツの参謀本部が由来とも聞きました。それまでは、それぞれ諸侯・王の私兵に近く、指揮官が自由きままに勘で戦う軍を、ナポレオンにぼろ負けした当時のドイツ(プロイセン)が改革・組織変更してできたのが参謀本部のようです。シャルルホンストやグナイゼナウという軍人が改革したとのこと。
ナポレオン軍も天才的なナポレオンが指揮する戦線は常勝だったようですが、その他の戦線で負けが多かったようです。誰もがナポレオンになれるわけでもないのであれば、天才ではないが専門知識を持った秀才が情報を集め、司令官に適宜進言する中央集権型の参謀本部が当時は画期的だったのだと思います。
誰もが経営の天才になれるわけではなく、それならば権限と責任を明確化する官僚組織が有効なのはサラリーマンならなんとかわかる一方、現代の情報社会の中で会社組織・官僚組織が硬直化して対応できないのもすごい実感としてあります。
そういえば、2011年にNHKで特集していた「なぜ日本人は戦争に向かったか」というドキュメンタリーの二部で当時最大の官僚組織であった陸軍の特集をしています。一部や三部は外交面やマスコミ等のいわばよくある内容?でしたが、二部の組織論から見た特集はとても印象的です。
陸軍中央はあまり戦争拡大を望んでいない(予算等)のに、現地派遣軍がどんどん拡大していったというのはよく聞く話ですが、ではなぜ陸軍中央が現地を抑えられなかったという点を組織論からアプローチしています。
現地で名を挙げた司令官(会社でいうなら支社長)が参謀本部(会社でいうなら本社の企画部)に迎えられ、予算等で現地を制限しようとしても、かつての部下が言うことを聞かない。
部下は上司が現地で名をあげ中央で出世したのをしっており、まさしくあなたを真似ただけですとうそぶく。また現場にいるものは、戦死したものが無駄死にしないためにもという意識があったようです。ここまで予算をつぎ込んだのだから引けないというのは会社でもよく見られる姿だと思います。
また逆に中央で統制していた参謀本部の人間が現地の師団長になると今度は、立場が変わりどんどん戦線を拡大していく。
これも会社でよくあることだと思います。本店の副部長クラスが支社長に栄転し、支社長として中央の企画部のかつての部下の課長クラスに直接無理難題を持ち込む姿は会社でもよくあることではないでしょうか。
組織って難しい。
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