映画の「日本の一番長い日」を見た。半藤利一の「日本の一番長い日」を映画化したもの。
1967年にも映画化されており,それを再び2015年に制作された映画。戦争の記憶もまださめきれぬ1967年版に比べ,役者の演技があまりリアルでない等の評価があるようだが、結構重厚な演技だと思う。
阿南陸相を役所広司が演じている。「連合艦隊司令長官 山本五十六」では役所広司は海軍大将を演じていたが、今回は陸軍大将。
昭和天皇をもっくんが演じており、話し方・玉音放送の声等がかなり似ていて、もっくんってすごいなぁと思いました。あまりジャニーズの俳優の演技は好きではないが、もっくんのこの演技はすごい。
宮城事件の首謀者の一人である畑中少佐を松坂桃李が演じている。松坂桃李の演技はネット上では賛否両論があるようですが、私は結構好きです。陸軍省の作戦室?で井田中佐等と談笑している畑中少佐がどんどん狂気?に駆られていく姿を熱演している。
松坂桃李って変わった名前だし、5レンジャー出身のイケメン俳優ってイメージが強かったですが、イメージががらりと変わりました。血管を浮き出して怒り狂う姿、狂気が行き過ぎて?近衛師団長をあっさり撃ち殺した後「この方が早かったから」とうそぶく姿、連隊長に「これ以上反乱を続けるなら私を斬れ」と言われ、無表情で銃に手をかける姿。放送局で放送されない原稿を読み上げる姿etc。
話の根幹には関係ないところで、特攻の発案者の大西中将等や松山ケンイチ演じる佐々木武雄予備役大尉等が出てくる。話が変わるが、昔はまっていたドラマのラブラブエイリアンに出てくる太田莉菜と松田龍平夫婦と小雪と結婚した松山ケンイチ夫婦って似ていると思います。
NHKで機転を利かせた職員として戸田恵梨香も出ていましたね。米内海相がこれを敗北としてなにを敗北というのかといった際に、阿南陸相が「局地的会戦には負けたがこの戦争には負けていない」というやりとりがなんとなく心に残っています。
映画の一番最初と序盤に出てきた東条英機もけっこう似ていたと思います。最初の東条英機が扉から出てくるシーンや阿南陸相が陸軍省の階段を下りるシーンがスローになっていましたが、カッコよかったです。東条英機と打ち込んでいて気付きましたが、英機だけみると「英軍の飛行機」とも見えますね。英機撃墜って新聞報道当時できたのかな・・・。
この映画は面白いですが、そこそこ歴史に詳しい?私でも一度見ただけではなかなかわかりづらかったです。
ウィキ等で人名・組織等を検索しながらこの映画を見るのが楽しいです。
畑中少佐にもう反乱行為をやめるように説得していた際に「これ以上不祥事件を繰り返すつもりか」みたいなセリフがありました。
不祥事というか反乱じゃんと思いましたが、当時は2・26事件のことを「帝都不祥事件」といっていたようで、不祥事件=2.26のようなクーデターの意味だったんですね。
陸軍省・東部軍・近衛師団・近衛師団隷下の連隊における司令官・参謀等の関係性が少しわかりづらいかも。
陸軍省軍務局は予算等の編成で巨大な権限があったが隷下の実働部隊はもっていない。戦闘行為を行う実働部隊としては東部軍があり、その下に近衛師団、近衛師団の下に連隊があると理解しています。
会社でいえば、予算編成権を握る財務企画部?あたりの課長が、支店へ出向き、支店長の印鑑を勝手に押印し、稟議を勝手に通したイメージでしょうか。連隊長は支店長押印済みの稟議を実際に実行する課長程度。
支店長押印済みの稟議を実行する課長もいれば、これはおかしいと上部の統括支店(=東部軍)に確認しにいく課長もいたといったあたりか。
宮城事件を主とした歴史映画としてみるのも面白いですが、組織論的観点からみるのも結構面白いです。ちなみに井田中佐は戦後電通の総務部長や子会社の社長を歴任したそうです。大本営参謀の瀬島龍三といい戦後実業界に言った軍人は多いみたいですね。
びっくりしたのは井田中佐は2004年までご存命だったみたいです。
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