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メンタルの弱い旦那
やんちゃな息子２人、老犬一匹をつれて
認知症の母と少し偏屈な父と同居開始
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割烹着が大活躍している
冬に暖かいのはもちろん
食べこぼしても洋服が汚れないのが非常に良い
認知症の母は
基本的には家ではずっと着ていて
特に食事のときは割烹着が必須と言っても良い
そんな割烹着
これから夕飯というときに母は脱ぎだした
それに気がついた父
「これ脱がないよ！着てな！」
と言うも
母は、それを無視して一生懸命、腕を割烹着から抜こうとしている
「なんで脱ぐんだよっ」
父が再びイライラした口調で言うも
「脱ぐわ」
当然でしょといった感じで
母は腕を抜き、頭から脱ごうとしていた
私と父は
これから夕飯を食べるから、割烹着は着ていて欲しい
しかし脱ぐのが当然だと信じている目をした母
私達の気持ちは
今の母には届かないと感じた
私達の気持ちが届かないまま
割烹着を脱ごうとしている母を無理やり止めれば
母の意思を無視することになる
日頃、思い通りにいかないことばかりであろう母
そんな母に、割烹着でさえ自由にさせてあげないのは嫌だった
「脱ぎたいんだよね、脱ごう！」
私が声をかけると
母はコクンと頷き割烹着を脱いだ
「それじゃ夕飯できたから座ろうか」
私が促すと、母は黙ってテーブルのところへ行く
そして座る直前に私がすかさず
「お母さん、食べる前にこれ着ようか！」
と１分前に脱いだ割烹着を見せると
母は「そうね」と言って、腕を通し着てくれた
さっきまで頑なに割烹着を脱ぎたがったのは何だったのだろうか
食事前に着てくれて良かったけれど
なんとも狐につままれたような気持ちになった
最近、私達家族の言葉が母に届いていないなと感じるときが増えてきた
まるで外国語を聞いているかのような反応をする母
私達が言ったことに対して頷いたりはしてくれるけれど
内容は理解していない感じ
まるで理解しようとすること自体、諦めてしまっているようだ
そんなときの母は
目の前にいるはずなのに、とても遠くにいるように感じる
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