「裸の付き合い」
という言葉があるくらい、
温泉や銭湯での人と人との付き合いは、
日本が重んじてきた伝統のひとつ。
中には
「同性同士でも面識のない人と
裸でお風呂なんて」
という国もありますが、
ドイツでは老若男女、
生まれたままの姿で
サウナを楽しみます。
(image by maroke from AdobeStock)
私が初めて行ったサウナは
脱衣室まで男女混合の施設で、
ビギナーには難易度が少々高かったので、
水着着用OKのサウナ部屋間の移動などは、
常に水着を付けていました。
（サウナ内でつけていると、
従業員に脱ぎなさいと言われます
）
施設は、大浴場のような広々した空間に
はちみつ塩やハーブサウナ、蒸気サウナ等々、
常設・日替わりメニュー各種が並んでいて、
恥ずかしささえ克服できれば
温泉好きの日本人には
たまらないセッティング 
（Foto von HUUM auf Unsplash）
ビール腹をたゆたわせながら
温水プールで泳ぐ素っ裸の中年男性や、
前も隠さずベンチに鎮座する女性、
はたまた、
基本ムダ毛は処理するドイツ人の中、
ヘアーがレア感を醸し出すアジア人と、
皆さん自由に楽しんでいます 笑。
「入浴は男女別」ということが
そもそもオプショナルではない
現代日本に生まれ育つと
少々奇妙な光景に映りますが、
カルチャーショックに
内心どぎまぎしつつも
じろじろ見ると失礼なので、
目のやり場に困りつつも
サウナからサウナへ
渡り歩くこと5時間超。
すっかりのぼせて
これ以上無理！
というところまで満喫しました。
温水プールやバー、マッサージなどもあり一日楽しめます（image by BGStock72 from AdobeStock）
ちなみにサウナ文化は
もとはアジア発祥だそうですが、
近代になってフィンランド中心に
ヨーロッパ社会に普及したらしく、
ドイツも人口約8千万超の内
約3千万人が愛好家となかなか盛ん。
私のように、
時々行くだけという人も含めれば
すそ野はたいへん広く、
それだけの人口が
「素っ裸のつきあい」に
抵抗がないという事実は
ドイツ人の
「裸ははずかしいことじゃない」
という ”裸体観” を
非常に物語っていると感じます。
（image by Victoria from AdobeStock)
ドイツは自然を愛する国。
手を加えない自然、ありのままを
美しいと感じる民族。
それは、裸体に対しても
同じなのだろうと思います。
なので、ドイツ人の肌の露出は
不思議といやらしさがなく、
むしろ健康美を感じますし、
性的なものを含め、
ナチュラルな人間の性質に
変にフタをしないせいか
さっぱりとした明るさがあります。
いうなれば、
知恵の実を食べる前の
アダムとイブのよう。
いやらしさは、あまりない (Foto von Allyssa Olaivar auf Unsplash)
ドイツのサウナ文化を知った
日本の友人たちから、
「じろじろみられたりしないの？」
「セクハラとかはないの？」
と言われたりするのですが、
じろじろみたりしたくなるのも、
こっそり触ったりしたくなるのも、
それを淫靡なものとして
隠すことからくる反動あるいは、
禁忌を侵したくなる
人間の本能のようなもので、
公然とオープンにしてしまうと
「秘密のベールを暴きたい」
という人間の本能は、
さほどくすぐられないのかも
しれません。
ドイツのヌードビーチの看板（image by Ina from AdobeStock)
日本とドイツは似ていると
大半の日本人は思っていると思いますし、
それは一面の真理ではありますが、
むしろ真逆の面も多々あって、
その一つがこの「裸体観」です。
ー ちなみに、
「郷に入れば郷に従え」は
海外生活を楽しむ秘訣を
一言に凝縮させた名言ですから
ドイツに遊びに来る人、
またドイツに住んでいる人は、
そんな日本と真逆なドイツらしさを
一度体験してみてはいかがでしょう？
柔軟性と話のネタが一つ増えること。
これがドイツ式サウナの効能です ＾＾
