今回は、巷で言われている「老後の生活はマンションが最適」説を敢えてディスってみました。
私自身、色々な住まい方を経験しました。
一戸建て、分譲マンション、賃貸マンション、アパート、色々な住まい方を経験すると、それぞれの長所短所が見えてきます。
マンションフロントや一戸建ての販売を経験してきたことで、生活する側とは違う視点で、見えてきたこともあります。
老後は、一戸建てよりマンションで過ごしたいと考える人は多くいます。
マンションという響きに憧れを抱き、一戸建てを売って市内のマンションに住み替えるも多くいます。
一般論を敢えてひっくり返すようなことを言いますが、この記事が、現役世代とは違うシニア世代の住まいのあり方を考える、前向きなきっかけになれば幸いです。
マンション暮らしの良いところも悪いところも分かった上で、良い選択をしてくださいね。
この記事は以下の方向けに書かれています。
・今はマンションに住んでいないが、老後はマンション暮らしを検討している方
入 門 的 | ★★★★☆(4.0) |
重 要 度 | ★★★☆☆(3.0) |
難 易 度 | ★★☆☆☆(2.0) |
立地が良いだけでは、生活の利便性は高まらない
交通の便の良いところに住めば、日常の移動や買い物が容易になり、車の必要性が減ることが期待されます。
このような利便性の高さが、都市部や交通アクセスの便が良い地域でのマンション生活の魅力の一つなっています。
立地のよいマンションに住むことのメリットとして、駅や買い物が近く、車が無くても困らないことがあげられますが、本当でしょうか?
⚔ディスり:利便性の高いところに住む=楽ではない
確かに、駅やバス停の近くで交通の便の良い場所に移り住めば、移動も便利です。
お店も多くあり、買い物にも便利でしょう。車もいらないかもしれません。
しかし、近隣に大型ショッピングモールがある環境なら別ですが、スーパー、百貨店等が徒歩圏内にある恵まれた立地条件とは限りません。
店から店へ移動するのに、徒歩でかなり歩かないといけないことを想定してください。都会は交通網が発達して便利そうですが、駅やバス停から目的の場所に移動する距離は、かなりあるのではないでしょうか。
田舎に育った私は、大学時代上京し、都会の郊外(私鉄の駅から徒歩15分程度)のアパートに住んでいました。当時は色々なことに興味しんしんで、それなりに大学生活、アルバイトを楽しんでいましたが、地下鉄の駅からJRの駅の間の距離の遠さにとまどったことがあります。
都会は歩く距離が長い! 足が鍛えられる! と実感しました。
郊外の一戸建てに住み車を持っていればどうでしょう? 車で移動する分、徒歩は少なく、労力も少なくて済みます。
今は、宅配やネット通販が発達し何処に住んでいてもほしい物を購入でき、送り届けてくれます。
お洒落な店、美味しい店等魅力的な店は、近くにある必要はなく、行きたいときに行けばよいのです。
マンションの建物・設備面での優位性の危うさ
一戸建てよりマンションの方が、建物の設備・機能が優れており、耐久性や耐震性、セキュリティ面が充実しているのは事実です。
マンションは、一般的に設備や機能が一戸建てに比べて優れているとされます。
耐久性と耐震性の高さ:マンションは建物自体が多層構造であり、集合住宅として設計・建築されています。そのため建物の耐久性や耐震性を重視し、地震や自然災害に対する強度が高い設計となっています。
セキュリティ面の充実:マンションは共用のエントランスや、セキュリティ設備が充実しています。
例えば、エントランスには防犯カメラやオートロックなどが設置され、また非常時の通報設備により、警報が鳴った場合警備員が駆け付けてくれ、住民の安全を守るための対策が施されています。
共用施設の充実:マンションにより異なるものの、集会室や読書室、フィットネスジムや公園・プレイロットなどの設備が住民の利用のために提供されています。一戸建てにはない魅力でしょう。
⚔ディスり:「マンションの長寿命説」をぶった切る
マンションが持ち家よりも長寿命であるかどうかは、一概に言えることではありません。
長寿命に関して: マンションや持ち家の長寿命は、建築された年数や管理の質などに大きく左右されます。
マンションの場合、共用部分や設備のメンテナンスや修繕は管理組合や管理会社によって行われます。
一方、持ち家は、所有者自身の裁量でメンテナンスを行う必要があります。
マンションの方が、構造的に優れており建物寿命が長いことは、税法上の耐用年数や火災保険料算定基準にもあるように、一般的に認められています。
「快適に住めるよう機能しているかどうか」が大切!
「単に建物が建っている」というのと、「快適に住めるように機能している」のでは意味が違います。
人間でも、”健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間”である「健康寿命」が大切と言われていますが、建物の場合も”安全に快適に住むことができる期間”である「建物の健康寿命」を保つことが大切なのです。
建物の健康寿命は、適切に手入れ(管理)が施され、計画的に修繕が行われ、人間が快適に住める状態であるかで測られます。
一戸建てなら、個人の手入れ次第で長く快適に住まうことができます。
分譲マンションでは、いくら個人が努力していても、管理が悪ければ、どうしようもできない場合だってあるのです。
あわせて読みたい:築30年経たずして、資産価値が暴落した悪い例です。
竣工後30年以上経って、一度の大規模修繕工事を行わずとも、建物が倒れることはありませんが、安全・快適に住むことができないという点で、建物の健康寿命を使い切った悪い例です。
言わずもがな、このようなマンションに住まない方が賢明です。
どうやって良し悪しを判断するの?
購入時に不動産会社から物件についての説明を受けると思いますが、それだけでは、マンションの実態がわからないことも多いです。
紐解くヒントは、過去の理事会や総会議事録を読み込みマンションの歴史を知ること、修繕履歴を確認すること、そして最後は住んでいる住民の生の声です。
何事も、楽をして手に入れることはできないようになっているのですね。
持ち家(一戸建て)⇒ 個人の裁量次第
分譲マンション ⇒ ★管理組合の裁量次第 管理組合の良否に委ねられる(必ずしもマンションが勝っているとは言えない)
安全性に関して: マンションや持ち家の安全性も、建物の設計や建築品質、管理の質によって左右されます。
一般的に、マンションは耐震性やセキュリティ設備が充実しているとされますが、持ち家でも近年の建築基準の向上により、高い耐震性やセキュリティ対策が施された住宅が増えています。
公園が閑散としている、集会室もほとんど使われていないケースが多く見受けられます。
使わない共用設備を管理費から維持修繕費を出していることになります。
また、駐車場の空き、機械式駐車場の老朽化状況にも目を配った方がよいです。
納める管理費・修繕積立金は、使用頻度の少ない共用設備、老朽化し使われなくなった設備の維持修繕に充当される可能性があります。
それでも、区分所有者である以上、納入を拒否することはできません。
「管理費や修繕積立金を納めてさえいれば、面倒で煩雑な修繕や管理の手間から解放される」そう考える人は多いです。
しかし、共用部分の修繕や管理を行うのは住民で組織する管理組合で、組合員で構成される理事会が執行機関となります。
~管理会社に任せておけばいいではないか?~
こんな意見があります。管理会社は、管理組合から管理を委託されていますので、マンションのことは知っています。
契約で決められている通常の業務は行うでしょう。
しかし、ここでも住民の意思をはっきり管理会社に伝え、管理会社が期待に応えて稼働する態勢が整ったマンションは極一部です。
特に、築年数が経ったマンションでは、修繕箇所が増えることはもちろん、修繕の難易度自体が上がり、住民だけでは対応しきれないケースが多くみられます。
そして、修繕積立金・管理費の増額、大規模修繕工事費用の捻出のための一時金拠出により、住民の負担が増します。
費用負担もそうですが、住民同士の利害調整を図らねばならない局面では、どうしても、組合員同士の協力も必要になってきます。
お金を納めたから終わりというわけではありません。修繕や管理に関する煩わしさが付いて回るのがマンションの宿命であると思います。
⚔ディスり:「マンションは近所付き合いがなく気楽説」をぶった切る
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