加齢と共に記憶力は低下するのか

雑記

「年を取ってから全然新しいことが覚えられなくなった」
「人の名前とか最近の出来事とか、すっと思い出せなくなってきた」
「あの~、ほら、あれ。なんて言ったっけなぁ。あれなんだけど…」

年配の方がこんなセリフを口にしているのは日常でもよく見かけるシーンかと思います。
「年を取るにつれ記憶力が悪くなる」というのはもはや定説で、誰もがそう信じていることではないでしょうか。

僕も来年で40歳を迎える、世間的には立派な壮年です。
(気持ちはいつまでも少年なんですが)
まだまだ若いとの自負はあれど、やはり加齢に伴って体力が少しずつ衰え、視力が低下し、ケガの治りも悪くなってきたことは事実として受け入れています。

同年代では、冒頭のような記憶の低下を口にする人も出てくる年齢です。
「若いころと比べたら頭が悪くなった」などと。

ところがこれに関しては僕は正反対で、今のところ記憶力の衰えは全く感じていません。むしろ今がピークぐらいに感じていて、一度見たことはすぐに頭に入るし、思い出したいことのほとんどはすぐに頭に浮かぶし、脳みそは絶好調です。明らかに受験生の頃より頭が良くなっている実感があります。
当時と比べれば今の方が勉強の仕方や暗記のコツが分かっているという、技術的なアドバンテージがあることもその要因かもしれませんが。少なくとも「前よりモノが覚えられない」という現象に苦しんだことは一切ありません。

なので、この「年を取ると記憶力が悪くなる」という世間の認識は間違っているのではないかと考えています。それにあたり、何故世間では「加齢=記憶力低下」が定説となっているのかを推論してみました。

「最近物覚えが悪くなった」と悲観されている方にご一読頂ければ幸いです。

脳の運動不足

原因のひとつ目としては、まぁこれは最も多くの人が思いつく理由だと思いますが、シンプルに頭を使う習慣が減っていることではないでしょうか。

子どものうちは見るもの聞くもの全てが初めてで、常に脳が刺激されている状態です。
学校に行けば毎日新しいことを習い、テストの為にそれを何度も復習し、と日常的に頭を使うことを強いられます。進級や進学に伴って毎年環境も変わり、その都度新しい環境に適応するために周囲の人の名前や性格、その中での自分の立ち位置を考えて行動しないといけません。学業だけでなく仮にテレビゲームで遊ぶとしても、新しい世界観、システム、操作などを覚えていくことになります。

対して大人はどうでしょう。
年齢が上がるほど、新しい刺激はどんどん減っていきます。
仕事はルーティンワークになっていき、新しい仕事に取り組むとしても過去の経験でほとんど処理出来てしまいます。周囲の人間関係も固まってきて、環境が大きく変わることも無くなってきます。ゲームをしても、過去にプレイ経験のあるシリーズ作品ばかりになってきて、全く新しい世界に出会うことは滅多になくなります。

こういった状況では、日常生活において脳がフル回転する必要がなくなります。新しいことを覚えたり考えたりするより、既に自分が知っていることで対処した方が脳にとって省エネですしね。

つまり脳が慢性的な運動不足になっているということです。
その状態で「英語を新しく勉強するぞ!」と思って取り組んでも、中々覚えらないのは必然です。ずっと運動してなかった人が、いきなりスポーツの試合に出るようなものです。それを毎日部活動をしていた頃と比べて「若いころはもっと動けたのになぁ」と言っても、そりゃそうだろって話です。
年をとっても運動を続けてた人が「若いころと比べて衰えたな」と感じるのとはワケが違いますよね。

勉強に関して「衰えた」と考えている場合、そのほとんどの人が若い頃より脳を使う習慣が減っているのが原因ではないかと思います。

記憶の増えすぎ

冒頭で自分のことを脳みそ絶好調と言いましたが、実は最近、僕も人の名前を思い出せないことがたまにあります。また、自分の家の郵便番号を思い出せないときもあります。

そういう些細な「思い出せない」の積み重ねが、今回の「老化=記憶の低下」なのかを考える契機になったのですが。で、諸々の原因を考えた結果、これは脳の衰えではないという結論に自分の中では至りました。

じゃあ脳は衰えてないのになぜ思い出せないのか。それは昔に比べて頭に入っていることが増えすぎているせいです。
これも子どもと大人を比べてみれば分かりやすい話です。

例えば子どものころに覚える必要のある人の名前なんて、自分の周りの友人数名~数十名だけです。
身近な人は「ママ/パパ、じいじ/ばあば、おばさん/おじさん」ぐらいで十分、友人の家に遊びに行っても「~君のママ」でいいし、名前を憶えていない先生でも「先生」と声をかければOKです。固有名詞を覚える必要がほとんどありません。

対して大人はそういうわけにはいきません。
例えば取引先の相手でも「○○社長、○○部長」と苗字+役職で呼ぶのが一般的ですし、先輩や同僚、部下の名前も当然覚えないといけません。部下だからとて「おい部下1、部下2」と呼んでいいわけないですから。更に子どもの友達の名前、学校の先生の名前、たまに会う親戚の名前、と覚えておく必要がある人物が増えていきます。

また、過去に出会った人物も子どもと比べれば膨大な人数になります。
小学1年生から毎年新しい人の名前を10人ずつ覚えたとして、6年生で60人、中学3年生で90人、大学4年生で160人です。そんな単純な計算では絶対にありませんが。
社会人になるとその数も更に一気に増えるでしょう。しかも、その中には一度だけ名刺を交換して二度と会わないかもしれないような人も含まれます。

つまり、人の名前を思い出そうとするときに候補が多すぎるということです。人と接した機会が多いほど、交友関係が広ければ広いほど、顔と名前を一致させるのが難しくなります。
英単語を20個なら完璧に覚えられても、300個になると曖昧にしか思い出せないものが混ざってきて当然ということですね。

僕が住所についてもたまに思い出せないのも同様です。小学生のときは自分の郵便番号なんて迷わずに書けました。
その番号しか知りませんでしたから。
しかしそこから5回ほど引っ越しを経験して、その度に郵便番号も変わっているので、今思い出そうとしたときに過去のものと混ざってしまうわけです。特に近所で引っ越すと最後二桁だけ変わるとかなので、どっちが今のでどっちが昔のかが分からなくなります。

ということで、「思い出す候補が増えたせいで思い出しにくくなっている」という現象を、「最近ものが思い出しにくくなった=記憶力が落ちた」と勘違いして捉えている年配の方も多いのではないかと考えられます。

アイドルの名前が中々思い出せないなども、最新のアイドル数人だけ知っている若者と、SMAPやモーニング娘。の頃からアイドルシーンを応援してる人とでは、頭に入っている名前の総数が違いますからね。

年齢を言い訳にしてる

「30過ぎたら~がキツイ」
「40になったら~が出来なくなる」
などと年上の人から言われた経験がある人はたくさんいると思います。

僕も若いときは「そんなもんかぁ…」と思ってましたが、実際に言われたその年齢に達してみると「全然普通に出来るやんけ!」とツッコみたくなることばかりでした。
今回話題にしている「物覚えが悪くなる」なんてその最たる例です。

ではなぜそんなことを言う大人が多いのかと考えると、それはここまで挙げてきた二つの原因に加え、「自分がやりたくない、出来ないことを年齢のせいにしてしまっている」ということがあるのではないでしょうか。

後輩や部下に対して
「これは俺の能力では出来ない、これを新たに覚えるのは厳しい」
と素直に言うのは中々出来ないものです。
ましてや自分の子どもに
「ママ/パパは頭悪いし、もう努力して新しいこと覚える気もないけど、あなたは勉強頑張って」
などと口が裂けても言えません。

そんなときに
「いやぁ~昔は出来たけど、年取ってからは難しくなったなぁ…」
「お前も年取ったら分かるからさ。だから若いうちに頑張っとけ!」
などは実に尤もらしいの言い訳になります。だって、若者からしたら反論の仕様がないですから。

自分より年上の上司に
「いや、最近年齢のせいで仕事が覚えられなくて…」
とミスの言い訳をする人は恐らくいないでしょう。
「俺より若いのに何言ってんだ!?」
と一喝されて終わりです。

しかし、自分より若い人に対して、年齢というのは無敵の言い訳になります。
「20代のときは俺も出来たんけどね、でも40にもなると中々厳しいよ」
と言われた20代の青年が
「いやいや、そんなわけないでしょ!」
とは返せませんよね。
「へぇ~そうなんですか…大変ですね、自分も若いうちに頑張っときます」
ぐらいの返事が関の山で、実際に年齢のせいで出来てないのか、その人の努力不足で出来ていないのかなど確認する方法がありません。

また他人に対する言い訳だけでなく、自分に対する言い訳として年齢を挙げている人もいると思います。
新しいことに挑戦はしたいけど、上手く出来る自信が無い、努力する気が湧いてこない。
そんなときに
「もういい年だから出来なくても仕方ないか」
「あと何年若かったら出来てたのにな」
そう言い聞かせている人も、多かれ少なかれ存在するのではないでしょうか。

何の理由もなく挑戦を諦めるのは、自分の無能や怠惰を認めることに等しく、それを受け入れるのは精神的に辛いことです。「年だから仕方ない」という大義名分が出来れば、自分を責める必要が無くなって、いくらか気分も楽になることでしょう。

だから実際は能力や記憶力が衰えているということはなく、不満のある現状に対する言い訳として「能力が低下したことにしておいている」ということです。

やる前から色々悩むより、とりあえず頑張ってみませんか?

ということで、上記した三点が、「加齢=記憶の衰え」という世間の印象の大きな原因かなと考えたわけです。
脳や記憶力の衰えは本人の認識やサボりが原因で、生物学的な必然では無いということですね。年齢に関わらずしっかり脳を使おうと思えば使えるし、使えば使うほど記憶力は強化されるはずです。

もちろん、僕もさらに年を取って60代、70代に突入したらどうなってしまうか分かりません。
「もうジジイだから全然頭回らねぇ」って文句を言ってるかもしれません。
「まだまだ新しいこといくらでも覚えられるよ!」と言えるジジイになれるように最善を尽くすつもりですが。

しかし、少なくとも30代で記憶力が衰えたり、勉強が苦手になったりすることはありません。
実際の自分の状態からそれは断言できるので、30代で新しい学習を始めようと思ってる方、今からでも全然大丈夫です!しっかりやればどんどん頭は良くなるし、英語も確実に喋れるようになります!自信を持ってください!

そしてこのままのペースでいけば40代でもまだまだ大丈夫だと感じています。なので40代で勉強に困ってる方、新しく勉強を始める方、一緒に頑張りましょう!
前の記事で書きましたが、僕は今年から翻訳者を目指して勉強と挑戦を開始します。世間的には相当遅いスタートかもしれませんが、諦めなければ出来ると自分を信じています。

僕は40代はとりあえず翻訳の勉強をするつもりですが、50代に入ったらまた新しいことに挑戦しようと思っています。なので今50代以上で何か挑戦しようと思っておられる諸先輩方がおられたら、全力で応援したいと思います。50歳でも60歳でもきっとまだまだ頭は回るはずだし、使えば使うほど元気に動いてくれるはずです。

年寄りが増えていく日本ですから、
「もう年取って何も出来ん…」ではなく
「年取って経験も増えてますます頭も良くなった!今年は何を頑張ろうか!」
と言うような元気でポジティブな老人が増えていけばいいですね。

30年後ぐらいにその先頭を走れるよう、僕も精進していきます。



プロ家庭教師&オンライン英語講師として関西で活動。
皆さんの学習(主に英語)に役立ちそうな情報を発信していきます。
英語関係保有資格「英語検定一級/通訳案内士/TOEIC980」
twitter→https://twitter.com/Yuya92345039

yuyaをフォローする
雑記
ブログランキング

yuyaをフォローする

コメント

タイトルとURLをコピーしました