最近ネット配信が普及し、各国のドラマや映画が全世界に発信されるようになってきました。韓国ドラマ好きな私にとっては、自分が秀作と思うドラマが全世界で観られているのはとてもうれしいし、同時に日本語字幕をつけることに重い責任も感じています。

 

前回書いたように2011年、私の夢でもあった韓国ドラマや映画に日本語字幕をつける人、映像字幕翻訳家になることがついに叶ったのですびっくりマーク

 

韓国ドラマにハマった2004年から、ずっとテレビやDVDで日本語字幕つきの韓国作品を観てきたわけですが、韓国語を習い始めてからは字幕に違和感を感じることや韓国語の内容がすごく省略されていて不満を抱くことが多くなりました。

韓ドラファンのみならず、海外の映画やドラマを日本語字幕で観ている人たちの中で原語が少し分かる方々は同じ思いをしていることでしょう。

もちろん、作品に入り込んで観ていると気がつかないと思いますが。

 

なので、今回はまずその謎を1つ明かしますね。

 

耳で聴くスピードと、目で読むスピードの違い

実は字幕の基本ルールとして、字数制限があります。私が字幕翻訳を始めた時、最初に教わったことです。人が1秒間に読める文字数は決まっていて、長い文章ならその前後2文字くらいは許容範囲だと。これは訳す言語によっても違うでしょう。

おそらく意識しないと分からないと思いますが、実は日本語ってとっても長いんですよ。例えば「ありがとうございます」は10文字ですが、韓国語は「コマウォヨ」「カムサムニダ」、英語なら「サンキュー」。文字だけでも日本語は長いですよね。特に敬語が長いです。「お見舞い申し上げます」「いらっしゃいました」などなど。

 

しかし韓国語で「コマウォヨ」と言うと0.5秒くらいかな?つまり原則では2文字で訳さないといけません(1秒を4文字とした場合)。多少のオーバーには目をつぶるとしても「ありがとうございます」は長すぎます。8文字オーバーですから。

なので、「恐縮です」「助かります」あるいは「どうも」など、別の短い言葉に置き換えるのです。

※ただし「ありがとうございます」などパっと見てわかる挨拶などはかなりのオーバーでも許容されることが多いです。

 

それから、韓国人の名前を含めたカタカナも文字にすると長くて困ります。

例えば「チャン・ギョンヒョンさん」なんて11.5文字(中黒は半角)も取られるし

「コミュニケーション」「キャピタル・コーポレーション(会社名の例)」なんて

もう泣きたくなります泣だから、カタカナも割と許容範囲が広いですが、何とか縮める努力をするわけです。

 

加えて、特に最近の役者さんに多いのですが、すごく早口です。原語を聞いてるとよくそんなに速く口が回るな~と思うほどです。特にケンカのシーンなどでは早口の応酬なので苦労します。長めのセリフの場合は大体、直訳した文章の半分か3分の1くらいにしないといけなくなるので、どうしても内容を全部は文字にできないんです。

こういう時は、最低限 必要な内容だけを訳すか、全体を意訳することになります。だから、「もっとたくさんしゃべってるのに~。言ってることと訳が違う」と思われても仕方ないんですよね。。。

 

こうして苦労する分、やりがいがあるわけで、「どうすればこの内容を端的に伝えられるか」を考えるには日本語力、つまり国語力が必要となってきます。

これはどこの国の言語にしろ、日本語に訳す翻訳者全員が感じていると思います。

今はいい翻訳機があるので、ある程度の内容は誰でも分かりますが、決められた字数内で、役者さんの言ってること、あるいは言いたいことを正確に伝えなければなりません。なので、私は日本語を検索することのほうが多いですね。意外と覚え間違いしているフレーズとか、間違った使い方をしている言葉って多いんですよ。

例)〇 雪辱を果たす × 雪辱を晴らす(屈辱を晴らすの間違い)

  〇 力不足      × 役不足(韓国語の역부족の直訳)

 

もう一つ日本語にする時、苦労するのは専門用語医療ドラマ法廷もの刑事ものその他、各種業界の専門的な言葉は、直訳で通じることもありますが違うことも多いです。特に医療用語は医者になれるんじゃないかと思うほど(なれません!)勉強しましたよ。病名や薬の名前、手術器具の名前なんかは、国によって呼び方が違うので、一度、韓国のサイトで英語にしてから英語名を日本サイトで検索します。特に緊迫している場面では早口なので、内容を縮めるには、どんな病気でどんな手術が必要でどんな薬を使うかまで理解しないと、要約できません。

おかげで、だいぶ医療用語を覚えたため、病院に行った時お医者さんが使う専門用語が聞き直さなくても分かったり…便利な点もあります。

 

あと、刑事ドラマは殺人を扱うことが多いので、殺害、自殺方法とかも調べたりしますガーン 首を絞める縄の結び方とか、毒薬の種類とか、韓国と日本で呼び方が違うものを検索しているため、もしも私が事故や事件に巻き込まれて、第三者に私のパソコンの検索履歴を見られたら、相当ヤバイです笑

 

映像字幕翻訳は訳す人によって表現の仕方が違いますが、言葉遣いひとつでその人のキャラクターが変わってしまうので、私はとても気を使います。この人には自分のことを「僕」と言わせるか「俺」と言わせるか。女性なら柔らかい言葉遣いにするかズバッと言わせるか。ある意味、言葉の演出家なのです(カッコつけすぎ!?)役者さんの表情とか口調で感情を読み取り、その人になり切って訳すのですが、私は感情移入が激しいタイプなのでてへぺろ 実際に観る人と同じ気持ちになり、訳しながら号泣したりしてます笑。放送、配信されたのを観てもまた泣きますがアセアセ

 

字幕翻訳家になって、たかだか12年しか経っていないのに、偉そうなことを書きましたが、いい作品を1人でも多くの人に観てほしいと思って訳していることをご理解いただけたらと思います。

 

また、次からは翻訳家になって感じた韓国語の面白さや不思議な点などを、お伝えできればと思ってるので、もし興味があれば見てくださいね!!

 

それでは、また~パー

 

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