6299777190465681 関節リウマチの予防と制御のためのライフスタイル:リハビリ・運動編 | 感染症・リウマチ内科のメモ

関節リウマチの予防と制御のためのライフスタイル:リハビリ・運動編

リウマチ・免疫

前回につづきまして関節リウマチにおけるライフスタイルの影響で、今回はリハビリ・運動についてです。関節リウマチは炎症、関節の腫れが強いときは安静にするほうが良いのですが、治療により活動性が収まってくるときはなるべく体を動かす、運動を行う方がよいでしょう。特に高齢の方ではずっと無動でいることによるフレイル(虚弱)進行も問題となります。運動とリウマチ性疾患にはどのような推奨やエビデンスがあるのでしょうか。

関節リウマチに対する運動、リハビリテーション、食事、および追加の統合的介入に関する米国リウマチ学会ガイドライン2022 年

2022 American College of Rheumatology Guideline for Exercise, Rehabilitation, Diet, and Additional Integrative Interventions for Rheumatoid Arthritis (Arthritis Rheumatol. 2023 Aug;75(8):1299-1311.

運動

関節リウマチ患者の身体機能と疼痛の改善をもたらすことを示唆する中程度のエビデンスに基づき、運動をしないよりも、継続的に定期的な運動を続けることを強く推奨する
・運動の種類、頻度、強度、および期間は正式に定義されていない
条件付きで以下
運動をしないよりも有酸素運動を継続的に行う(RA身体機能の改善をもたらす低いエビデンス)
まったく運動をしないよりも水中運動を行うことを勧める
エクササイズを行わないよりも、レジスタンスエクササイズを行うことを勧める
運動しないよりも心身の運動に取り組むことを勧める

リハビリテーション

条件付きで以下
・包括的な作業療法・理学療法への参加 (作業療法士や理学療法士による評価とアプローチ
・手の罹患がある患者の場合、ハンドセラピー、手のエクササイズを行う
・手や手首の罹患・変形のある場合、副木、装具や圧迫の使用(圧迫手袋、テーピングなど)
・足や足首に罹患がある場合、装具やテーピングの使用
・膝に罹患ある場合、装具の使用
・関節保護技術を使用する(罹患関節の作業方法や動作パターンを変更する、休息する、代替の筋肉群を使用するなど)
活動と休息のバランスをとって活動をする、アクティビティペーシング、エネルギー節約、活動の修正、疲労管理テクニックを使用する

・補助器具の使用(例、杖、歩行器、車椅子、三輪車、スクーターなど)
・適応型機器の使用(例、柄の長い器具、靴下補助具、ボタンフック、リーチャー、ピルカッター、携帯電話ホルダーなど)
環境の適応を行う(例、トイレ、シャワー、手すり、スロープ、階段昇降機、住宅の改造など)
・現在雇用中やその希望の方へ、職業リハビリテーションの利用、職場評価や修正

リウマチ性疾患および筋骨格系疾患の進行を防ぐためのライフスタイル行動と仕事への参加に関する欧州EULAR 推奨事項 2021年

2021 EULAR recommendations regarding lifestyle behaviours and work participation to prevent progression of rheumatic and musculoskeletal diseases (Ann Rheum Dis. 2023 Jan;82(1):48-56.

運動は、リウマチ性疾患(以下RMD)の症状や進行を含め、これらにだけでなく多くの健康問題のアウトカムに有益である
運動は RMDの疼痛、機能、疲労、健康関連の生活の質に有益であるというのが一般的なコンセンサスがある
・証拠は長期的利益と比較して短期(6~12か月)の利益の方が強力だが、長期的利益は一般集団のさまざまな健康結果に関して実証されており、それによりRMDを持つ人でも利益を推定することができる

RMD患者は、痛み、機能、生活の質に利点があるため、運動する必要がある
RMD患者は、運動不足を避ける必要がある。自己の能力に応じて定期的に運動する
RMD患者は、少なくとも中程度の強度を目指して有酸素運動と筋力強化運動の両方を行う必要がある
有酸素運動と筋力強化運動の両方が RMD 患者にとって有益であることを示す証拠がある
・RMD 患者は、少なくとも中程度の強度の有酸素運動 (最大心拍数の64%~76%)を週に少なくとも150分行う、そして週に 2回の強化運動(個人1回の最大筋力one-repetition maximal effortの50%~69%)を行うことを目指すこと

RMDを持つ人々には、運動は安全であり、運動を始めるのに遅すぎるということはない、とアドバイスされるべき
運動は、単独またはグループで、さまざまな設定で実行できる。単独で行う運動よりもグループエクササイズの方がわずかな利点がある
過体重または肥満のRMD患者は、健康的な食事と身体活動の増加を通じて、制御された意図的な減量を達成するために医療専門家と協力する必要がある
・減量は RMD 特有の転帰や他の健康関連の転帰を改善する可能性がある

※成人では、BMI が 25 kg/m 2以上の場合は過体重とみなされ、30 kg/m 2以上の場合は肥満とみなされます

まとめ

リウマチ性疾患患者は、痛み、機能、生活の質に利点があるため、運動不足を避け、運動する必要がある
少なくとも中程度の強度を目指して有酸素運動と筋力強化運動の両方を行う
リハビリテーションは作業療法士や理学療法士による包括的な評価とアプローチを行うこと
罹患ある関節には関節保護技術を使用する、補助器具の使用する、環境の適応を行う
活動と休息のバランスをとって活動をする

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