腸閉塞(イレウス)の母の食事とQOL―ストーマ(人工肛門)造設から半年。お正月を通り抜け

母とイレウスと食事

2024年が明けまして、気づけば半月以上が経っておりました。

遅くなりましたが、ブログ更新のスタートを切ることも出来ましたので、本年もどうぞよろしくお願いいたします!

新年のスタートも遅かったのですが、それ以前からブログの更新は途絶えており、気づけば3ヵ月もの時間が過ぎておりました。この間の大腸がんステージ4の母の健康状態はと申しますと、お陰様で抗がん剤の効果が出ているようで腫瘍マーカーの値は下がっています。

だからといって副作用が深刻化するでもなく、体調はまずまず良好。ちょっとの不安やちょっとしたトラブルはいつも何かしらあったりはしましたが、基本的には平穏無事。言ってみれば幸せな時間を過ごしていたように思います。

とくに、年末年始は夫を引き連れての〝家族団欒〟〝家族で過ごす元旦〟を、心置きなく母と楽しむことができました。数品だけではありますが、今年は初の試みで、おせち料理を手作りしました。母にも他家族にも大好評で、手間暇かけて作った甲斐がありました。

ご存じでしょうか、実はお正月の料理は腸閉塞を引き起こしやすい食べ物が多いということを。お餅に始まり、煮豆に、昆布巻き、煮しめに入っている根菜類などです。毎年食べていたものが食べれず寂しがっている母を見ていると、その分他のものは今まで以上に美味しく食べさせてあげたくて、時間も手間もかかるおせち料理の手作りにも挑戦する気になれました(もちろん、母だけでなく家族みんなを喜ばせたくて)。母の家での元旦の食卓には、手作りのだて巻き、えびのうま煮、栗きんとん、紅白なます、あとは数の子、かまぼことおせち料理が並び、メインにはすき焼き!お正月らしく豪華な食卓に、母は大喜びでした。

母の好きなだて巻きは、手作りしたら他家族からも好評でした。
海老のうま煮。有頭を買うつもりが何故か頭がついていないものを購入してしまうという謎のミスはあったものの(調理する際になって初めて頭がないことに気づきビックリ!)、美味しくできていました。
栗きんとんは母というより義母の好物。栗の甘露煮から手作り。白砂糖でない分茶色味がかってしまいましたが、手作りならではの飽きの来ない味わいでこちらも好評。栗とサツマイモは腸閉塞にはやや注意食品なのですが、一度にたくさん食べるものではないので大丈夫。


病気になってからの母と過ごす時間は、「に始まり、に終わる」といっても過言ではないほど、食べること、食べるものにまつわることで溢れています。私の頭の中も、母に食べさせる食べもののことでいっぱいになっています。

ということで、この溢れんばかりでいっぱいいっぱいになっている母の食事に対する想いを、ブログにアウトプットしてみようかと思い立ち、この度【母とイレウスと食事】というカテゴリーを新たに作ってみました。(「イレウス」とは「腸閉塞」のことで⦅厳密には「イレウス」と「腸閉塞」は違う病気なのですが、詳しくは後ほど⦆、腸の中の流れが悪くなる病気です。)



それでは、スマホ内に溜まりに溜まったこの半年間の食卓風景を見返しながら、母の食事に関するあれこれをお話ししたいと思います……が、その前に、母の食事情と切っても切れない母のお腹のことを、まずは話させて下さい。とくに、常に母のお腹事情、食事情についてまわる「腸閉塞」について。

ということで今回は、「腸閉塞」「イレウス」についての解説も含め、母のお腹のことと、そんな母の最近の様子をお伝えします。腸閉塞またはイレウスの方やそのご家族、どなたかのご参考になれば幸いです。

腸閉塞(イレウス)って???

母が大腸がんのステージ4で、ストーマ(人工肛門)を造設したということ以外に、母のお腹の話をするのは意外にも今回が初めてだったかと思いますが、母のお腹のことをお話しするのであれば、絶対に無視できないのが「腸閉塞」のこと。ということで、「腸閉塞」また「イレウス」について、簡単な解説からさせていただきます。

ところで、「腸閉塞」はよく聞きますが、「『イレウス』って???」とちんぷんかんぷんな方も少なくないかと思います。私自身、「イレウス」という言葉を初めて耳にしたのは、母が大腸がんになり、ストーマ(人工肛門)造設の手術を終え、退院するその日、病院の看護師さんたちを交え、ケアマネや訪問看護師さんと初めてお会いし、母の今後のケアについて話し合うという場でのことでした。

「では、イレウス食ですね。」

訪問看護師さんが何気なく放ったその言葉を耳にした私「えっ???イレ……食?何ですか?」

「イ、レ、ウ、ス、食です。」

「イレウス……?」

〝イレウス食〟とは、腸閉塞を予防するための消化にいい食事のことであると教えていただくと、事前に受けていた栄養士さんからの食事指導の内容が、訪問看護師さんのいう〝イレウス食〟なるものであると理解。さらに、後ほどネットで〝イレウス食〟を検索してみて、「イレウス」とは「腸閉塞」のことであることをここで初めて知ります。また、厳密には「イレウス」と「腸閉塞」は同じではないといいます。ですが、同じ病気として「腸閉塞(イレウス)」と書かれているのを多く見かけもします。

ちなみに、〝イレウス食〟という表記は一般的には使われてないようです。いくつもの「イレウス」のことを解説しているサイトをこれまでに見ていますが、そのような表記を目にしたことはありませんでした。この訪問看護師さんは、通称で〝イレウス食〟と呼んでいるのですね。

腸閉塞(イレウス)

腸の中の食べ物の流れが途中で詰まってしまう病気。腸がねじれたり、動きが鈍かったり、大腸がんなどが原因で起こる

[医師監修・作成]腸閉塞やイレウスとはどんな病気?原因・症状・治療など | MEDLEY(メドレー)

このように、「腸閉塞(イレウス)」と表記されているので、「イレウス」と「腸閉塞」は同じ意味かと思いきや、そうじゃない。同じと思っていても差し支えないのかな?とも思いますが(これは個人の感想です)、その違いについても知っておくにこしたことはありません。

腸閉塞とイレウスの違い

ということで、腸閉塞とイレウスの違いについても耳に入れておくとしましょう。

腸閉塞とイレウスは同じ意味で使われることもあります。しかし腸閉塞とイレウスは違うものとして両者を区別する立場もあります。

腸閉塞とイレウスは腸の中の流れが止まることで症状が現れます。腸閉塞とイレウスを分ける考え方では腸閉塞とイレウスの違いは以下になります。

【腸の中の流れが止まる原因:腸閉塞とイレウスの違い】

腸閉塞:腸にものが詰まったり外側からの圧迫などの物理的な閉塞の原因がある

イレウス:腸が内や外からの刺激などで動かなくなるが、物理的な原因はない

[医師監修・作成]腸閉塞やイレウスとはどんな病気?原因・症状・治療など | MEDLEY(メドレー)

「イレウス」と「腸閉塞」その原因は違えど、両方とも腸の中の流れが止まる病気であり、お腹の張りや痛み、吐き気や嘔吐という症状が起こるといいます。

予防方法は、消化のいい食事をとること、繊維の多い野菜などを控える、よく噛む、一度に食べ過ぎないようにすることだと栄養士さんからは指導されましたが、もっと詳しく知りたいと思いネットで調べてみました。そのお話しはまた改めて。

母のお腹はイレウスで腸閉塞、でも〇〇!

予備知識もついたところで、母のお腹のことに移りますね。

担当医師の話によると、腫瘍という物理的な危険因子もあれば、腸の動きが悪くなってもいるようで、その二つの原因から腸閉塞を発症する危険性があるといいます。

それにしても、ストーマ(人工肛門)を造設したからといって、腸の流れが止まってしまう心配がなくなるわけではないなんて……手術したら腸閉塞の心配はなくなるのだと思っていました……そのことが母の食生活、ひいてはQOL(クオリティーオブライフ)をも脅かしています。(前回はQOLについて書いていました。よかったらこちらの記事も読んでみてくださいね。)

口に入れるものに常に気を遣わねばならず、また、これまで普通に食べていたものが食べられなくなってしまったりと、QOLの低下を引き起こしかねない事態なのです。お正月は大好きなお餅が食べれないことを大変残念がっていました。

食事内容には細心の注意をはらっているつもりなのですが、ときにはお通じが滞り、お腹が痛むこともあったり(今のところ短時間で解消されています)、元来の腸が弱い体質によるものなのか酸化マグネシウム錠が効き過ぎたためなのか水便になったりと、常にお腹と向き合いながらの生活なのです。

とはいえ、制限はあるものの毎回の食事やおやつを楽しむこともできていますし、幸いにも、腸を詰まらせ一大事になるようなことも今のところはなく、まずまずといったところなので、総じて深刻ではありません。

―――いえ、撤回させてください。〝まずまず〟どころか、もしかしたら母は今、これまでの人生を通してみても〝最も〟といって過言でないほど、食を楽しんでおり、また幸せそうなのです。

病気様様だね。」と嬉しそうな母。

子供の頃からお腹の調子が悪く(当時は医者に相談しても原因不明とされてしまったそうですが、母は恐らく過敏性腸症候群だったのでしょう)、下痢は日常茶飯事、出かける日は断食が当たり前、そんな母でしたが、ストーマ(人工肛門)になってからは、下痢に襲われトイレに駆け込む必要がなくなったことや(ストーマだとさほど急を要することはないようです)、下痢をしてもお腹が痛まなくなったということで、以前より気楽にものを食べることができるようになりました(相変わらず出かける日はあまり食べないようにしています)。

さらに、〝常に食事内容に注意を払わなくてはならない〟それが、かえって母のQOLを上げているのかもしれません。というのも、母はがんになる以前から体に障害があり、何かと注意が必要な術後、また化学療法中の生活やケアを、本人だけでまかなえないという事情があり、私が母の食事の支度に介入せざるを得ない状況なのです。結果、母は自分の好物が私の手により絶えず用意され振る舞われ続ける今の食生活を手に入れ、上機嫌になっています。

私には、母の口に入るものへの気配りを怠ることなどできません。恐らくやややり過ぎであるという自覚はあるものの、神経質なこの性分はどうにも変えられそうにありません。母が私を気遣い「自分でやるからいいよ」と言っても、私は私がやると引かないので、母は甘んじて受け入れざるを得ず……嬉しそうです。

お腹の調子や体の調子が悪かったり心配事があるとき以外は、母は美味しくものを食べることができ、私だけでなく訪問看護師さんや関わる全ての人に大事にされ、幸せそうです。


信じ難いことかもしれませんが、母はがんになる以前より幸せそうなのです。
恐らく本当に、幸せなのでしょう。


最後まで読んでいただきありがとうございました。

今日は母のがんサバイブ246日目。私は母の家ではなく自宅にいます。

最近では、一週間のうち3泊4日を母の家で、4泊5日を自宅で過ごすのが普通になっています。

母との時間も大事ですが、夫との時間や、自分時間も大事です。自宅で過ごす時間に、通い介護生活を頑張り抜くための英気を養っています。

つい先日は自宅で一人、片付けに燃え、たくさんの不要な服を処分してスッキリ!リフレッシュできました。


明日からまた母の家へ出動です。今週も母の好物をたくさん作って食べさせ、たくさん母を喜ばせたいです!

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