最低限使える『中古iPhone』 ※2023年1月時点

"最低限"のiPhone


さながら安物の電気ポットや使い捨ての傘のように"使えればいい"という基準でiPhoneを選ぶ人達がいる、と言ったら一部のガジェット通は笑うかもしれません。

実際"使えればいい"と考えるユーザーが一定数いなければ、昨今の中古スマホ市場の活況は説明がつきません。※1

お金の無い管理人もスマホは使えればいい、もちろん安いほどいい、つまり最低限でいい、と考えています。

しかし電気ポットなら"お湯が湧けばいい"、傘なら"雨に濡れなければいい"、スマホなら何ができれば"最低限"と言えるのでしょうか。

スマホをゲーム機だと思う人もいれば、人との関りを保つための大切な道具だと考える人もいますから、「一番安いやつをWi-Fiで使いましょう。数千円で済みます」などと無責任なことを書いて"穴の開いた傘"を勧めるのは本望ではありません。

従って次項では私が思う"最低限"ではなく、時代が求める"最低限"を提示できればと思います。

※参考文献:1

時代がスマホに求めること

本稿では5人ぐらいで議論したら「今の時代これは必要だよね」と同意が採れそうな"最低限"の基準を以下5点に定めてみました。

  1. OSバージョン
  2. 主流回線への対応
  3. SIMフリー/SIMロック解除可能端末
  4. 生体認証
  5. マイナンバーカードの読み取り(FeliCa & NFC-B)

OSバージョン

型落ちのスマホは順次OSのアップグレード対象から外されていきます。

2023年1月時点の最新iOSは16ですが、例えばiPhone 7は15まで、iPhone 6は12までしかアップグレードできません。

基本的にOSのバージョンが古くなるほど使えるアプリは減っていきます。

とはいえ人気/定番/最新スマホゲームのほとんどがiOS11からの互換性を保証しています。

公共性の高いアプリ(スマホ決済/マイナンバー関連/認証アプリ/定番ユーティリティ)を見渡してもiOS14より上を求めるアプリはそれほど見つかりません。

OSは新しいほど良いですが、"最低限"を求めるなら必ずしも最新である必要はありません。

原神:iOS9 paypay:iOS12 マイナポータル:iOS14


主流回線への対応

2022年3月 他社に先駆けてauは3Gを停波。以降5s/5c以前のiPhoneはauの回線を利用できなくなりました

iPhoneに詳しい方は「なぜ4Gに対応している5/5s/5cも使えなくなるのか」と当時疑問に思ったのではないでしょうか。

2012年9月 iPhone5の発売に合わせてau/ソフトバンクがサービスを開始した「4G LTE」は、データ通信は4Gですが通話時は3Gに切り替えるCSフォールバックという機能を採用した「3.9G」に区分される通信方式でした。

そのため3G停波に合わせてこの「4G LTE」も使えなくなったのです。

通話回線を3Gに切り替えない「VOLTE」のサービスが開始されたのは2014年から。

従って現行のau主流回線を使えるiPhoneはこの「VOLTE」に対応したiPhone6以降です。


SIMフリー/SIMロック解除可能端末

中古スマホにはSIMフリー端末とキャリア販売端末があります。

後者の場合、発売日によってSIMロックが解除できない端末が存在します。

2021年10月以降に発売された端末にはSIMロックをかけることが原則禁止となりましたが、それ以前に発売された端末を中古で買う場合もそれほど警戒する必要はありません。

有料とはいえ端末の契約者でなくてもショップに持ち込めば解除できますし、個人売買ならまだしも、今時中古ショップでSIMロック端末を掴まされることは考えにくいです。 

しかしそれが2015年以前の端末となると話は変わってきます。

総務省は2015年5月以降に発売される端末に対して、通信事業者が行っている"SIMロック"を利用者の要望があれば解除に応じるよう義務付けました。

つまりこのガイドライン施行前に発売されたiPhone6以前のキャリア販売端末は原則SIMロックの解除が不可能です。

従って自由なSIM契約ができる携帯キャリア端末はiPhone6s以降です。 


生体認証

昨今のスマホのセキュリティはガチガチです。

「パートナーのケータイを覗き見したら…」

なんて与太話はもはや通用しません。おじさんたちは気を付けてください。


ロック解除/ログイン/アプリダンロード/アプリ起動/スマホ決済。これら全てに挟まれる過剰な認証プロセスは、PIN入力よりも生体認証を前提に作られたUIであることは明白です。

iPhone5sに指紋認証「Touch ID」が初めて搭載されてから9年が経つうちに、生体認証は「パスワード入力を省く便利機能」から「パスワードそのもの」に変わりつつあります。

例えばApple Payや一部のQRコード決済は生体認証が無いと利用できません。

UIの変化に伴って生体認証を使う機会と重要性が増したこともあり、精度と速度の向上した第二世代Touch IDを搭載するiPone6s以降を最低限と定めるのが適切に思われます。

またホームボタンが廃止されたモデルには、指紋認証の代わりに顔認証「Face ID」が付いていますが、これが搭載された最初のモデルはiPhone Xです。


マイナンバーカードの読み取り(FeliCa & NFC-B)

FeliCaとは交通系ICカードや電子マネーに採用されて日本で広く普及した近距離無線通信(NFC)規格です。

また、FelicaのICチップを携帯電話に内蔵してリーダライタ/P2P/カードエミュレーションの機能を持たせることでモバイル決済を可能としたのが「おサイフケータイ」です。

「おサイフケータイ」の歴史は比較的古く、2004年のガラケー時代に始まり、2010年Androidスマホに対応しました。

一方iPhoneは2014年に発売された6/Plusに初めてNFCチップが搭載されるものの、対応はTypeA/Bのみ。日本でしか普及していないType-F (FeliCa)のエミュレートには未対応という状況でした。

ところが2016年に発売されたiPhone7は日本国内モデルのみFeliCaが"有効化"※1され、以降iPhone8/XからはNFC-A/B/FeliCaが全世界標準仕様となりました。

iPhone7以降、晴れてApple Payでのタッチ決済が日本でも可能となりましたが、paypay等のQRコードが使える今の状況で、"最低限"の基準にタッチ決済を入れるつもりはありません。

提起したい問題はマイナンバーカードについてです。

マイナンバーカードついているICチップのNFC規格はType-B※2なのですが、マイナポータルにの動作環境には「iOS 14以上がインストールされたiPhone 7以降の機種」※3と明記されています。

iPhone 7での読み取り

先述したようにiPhone6/6s/SEはTypeA/BのNFCチップを搭載しています。マインナンバーカードが読み取れないのはなぜでしょうか。

調べ始めて数時間が過ぎてようやく理解できたことは「マイナンバーカードが端末内のFeliCa SE(セキュアエレメント)へのアクセスを前提とした設計だから」※4ということでした。

これだけ聞いても意味不明だと思いますが、素人が言葉を重ねると何か間違ったことを書きそうなので詳しい説明は避けます。


総務省の発表によると2022年11月末時点でのマイナンバーカード交付枚数率は未だに53.9%とのことですが、2024年秋から紙の健康保険証は廃止、その機能をマイナンバーカードへ移行することが決まっています。

そう遠くない未来、「そこの突き当りを右に曲がってすぐ」ぐらいの未来には国民全員が持ってて当たり前のカードになるわけです。

以上がマイナンバーカードの読み取りに対応していることが"最低限"の条件と定めた理由です。


このカードは今はまだマイナポイントの手続きぐらいしかやることがなく、そのくせ画面が変わる度にいちいち読みタッチしないといけないポンコツ仕様ですが、来年にはSuicaやクレジットカード同様スマホに"格納"されて、生体認証と紐付き、早く安く確実な本人認証として民間に広く利用されていくことが予定されいます。

2023年5月11日に、まず一部のAndroid端末にマイナンバーカードが搭載可能となります。※5

一方iPhoneは、端末内のFeliCaチップにある閉じられたメモリー領域「FeliCa SE」へのアクセスをAppleがまだ承認していないため時期未定ですが、政府はこれを2023年秋の実現を目指すと発言しています。※6

実際にマイナンバーカードをiPhoneに搭載する段階がきたら動作環境が変わる可能性もありますが、現状分かっていることは、マイナンバーカードの読み取りにはNFC Type-BとFeLiCaのICチップが搭載されているiPhone7以降の端末が必要だということです。

冒頭にも述べましたが、これら全ては私がスマホに求める"最低限"ではありません。

時代が求める"最低限"です。


参考文献:1,2,3,4,5,6


結論:"最低限"はiPhone 7

モデルiOS技術革新通信業界
4s92011/10/04
510au/SB 4GLTE開始2012/09/21
5s/5c12/10TouchID(5sのみ)2013/09/20
VOLTE開始2014/06/24
6/6 Plus12NFC(×Felica)2014/09/19
SIMロック解除義務化2015/05/01
6s/6s Plus15第二世代Touch ID2015/09/25
SE152016/03/31
7/7 Plus15Felica対応(日本のみ) 耐水2016/09/16
8/8 Plus16ワイヤレス給電QI2017/09/22
X16Face ID     

もちろんiPhone 7以前のモデルでも"穴"さえ避ければ使えるし、現在も大事に使っている人に向かって型落ちだと咎める意図はありません。

これから中古スマホを買おうという方に"穴の開いた傘"をわざわざ勧めるつもりが無いということをご理解ください。


おすすめ3モデル


※価格は中古スマホ販売の【イオシス】を参考にしました

【最低限】iPhone 7 国内版 8,980円~


2016年9月16日発売
  • 中古市場に出回る数が多い=安定して安い
  • FeliCa対応 (国内版のみ)
  • iOS15であと何年戦えるかは不明

管理人も使用中 不満ナシ

【必要充分】iPhone SE 第2世代 23,800円~


2020年4月16日発売
  • 見た目はiPhone 8 頭脳はiPhone 11
  • 過不足無い規格仕様 (iOS16/ワイヤレス充電/eSIM/Wi-Fi6/Bluetooth5.0)
  • iPhone7より上のグレードを選ぶのなら、半端なナンバリングモデルで妥協するよりコスパの高いSE2をオススメ


【先行投資】iPhone SE 第3世代 38,800円~


2022年3月8日発売
  • 見た目はiPhone 8 頭脳はiPhone 13
  • 5G対応 (最低限の視点から見ればオーバースペック)
  • 先行投資と割り切れる程度の価格設定

最後に


とある日のこと。

🐰「オススメの安いiPhone教えて」

と聞かれた私は、ネットで聞きかじった知識を一通り披露しました。

そして相手が放った最初の言葉は

🐰「いや…スペックの話じゃなくてさ…」

それで話は終了、後になって「あ、しまった」と思いました。

相手は型落ちiPhoneが快適に使えるかではなくもっと根本的な部分、自分がこれから持つモノの、できること/できないことの境界を知りたかったのだと後で分かりました。

我々を取り巻くあらゆるものは複雑に入り組んだ構造をしているので、自分のコップにどれだけ水が入るのか知らないまま過ごすのが当たり前になっています。

そういうのを何も知らないまま生きられる人と、生きられない人がいるよなぁ…とその時思った。というお話でした。

当記事で扱ったiPhoneは新旧モデル別に、できること、できないことがはっきり分かれているので、スマホの最低限のラインを提示する一つの基準点として適任でした。

ここまで読んでくれた方には、Andoroidユーザーにも無関係な話題ではないことが理解いただけると思います。

以上、この記事がお金が無い誰かの測りになれば幸いです。

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