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アスベスト調査義務化とは?費用はどちら負担になるの?


アスベスト調査義務化とは?費用はどちら負担になるの?

2023年10月から施行されたアスベスト調査義務化により、建物の解体や改修時にアスベスト調査を行うことが義務付けられました。

 

健康被害を未然に防ぐための重要なステップですが、アスベスト調査費用はお施主様が負担します。つまり、解体工事費用が高くなるため、どのような調査なのか理解しておきましょう。

 

今回は、アスベスト調査の義務化について詳しく解説します。

 

 

アスベスト調査義務化とは

アスベスト調査義務化とは

2022年4月1日から厚生労働省と環境省はアスベスト調査結果の報告制度をスタートしました。2022年4月1日以降に解体工事や改修工事を行う際には、アスベスト調査と報告が義務付けられることになりました。

 

 

解体工事の場合は、

・床面積合計が80㎡以上の場合

・請負代金の合計が100万円以上の場合

に有資格者によるアスベスト調査を行う必要があります。

 

 

また、アスベスト調査結果は一定期間保存しなければなりません。アスベスト調査結果の報告制度に違反した場合は、3ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科せられます。解体工事業者だけでなく、施主にも罰金が科せられるため注意しましょう。

 

アスベスト調査結果の報告制度を守るために、施主はアスベスト調査費用を負担したり工期への理解をしたりしなければなりません。そのため、アスベスト調査の費用、どのような工事を行うのかなど理解を深めておきましょう。

 

 

アスベスト調査とは

アスベスト調査とは

アスベスト調査は、解体工事や改修工事前に建材にアスベスト(石綿)が含まれているかを調査することをいいます。

 

アスベスト(石綿)は、建物の断熱性・防音性を向上させる目的で吹き付け作業に使用されるものですが、石綿の繊維は肺線維症や悪性中皮腫の原因になり肺がんを起こす可能性があることがWHO(世界保健機関)で判明しました。

 

アスベスト調査を行わずに解体工事を行うと、アスベストが飛散してしまい周辺住民や作業者に健康被害をもたらします。つまり大変危険です。

 

日本では2006年以降、重量の0.1%を超えるアスベスト含有製品の製造や使用が禁止されました。

 

アスベストは健康被害をもたらすため、2022年4月から解体工事や改修工事前にアスベスト調査が義務化されました。

 

 

アスベストを飛散させる恐れが高い建材

分類具体例用途
吹付材(レベル1)吹付石綿、吹付ロックウール、ひる石吹付材、パーライト吹付材天井・壁など
保温材・断熱材・耐火被覆材(レベル2)配管等の水練り保温材、煙突内の断熱材、折板屋根裏の断熱材、鉄骨梁・柱の耐火被覆板配管、屋根裏、柱の耐火被覆など
成形板など(レベル3)薄塗材C、内装薄塗材E、厚塗材C、石綿含有成形品等、けい酸カルシウム板第1種、建築用下地調整塗材、ビニル床タイル、スレート波板外壁、屋根、水回りなど

 

 

吹付材(レベル1)

吹付材(レベル1)は、アスベストとセメントを混合した建材で、主に断熱性や吸音性を高める目的で使用されていました。吹き付けた後に固まると綿のような状態になります。そのため、建物の柱や梁、壁、天井などに広く採用されていました。

 

吹付材が劣化すると、埃のように垂れ下がりやすく飛散しやすくなります。飛散した吹付材を吸い込むことで深刻な健康被害を引き起こします。そのため、解体工事・改修工事を行う前には、吹付材が使用されていないか入念なチェックが必要です。

 

 

保温材・断熱材・耐火被覆材(レベル2)

石綿を含有している断熱材や保湿材、耐火被覆材(レベル2)はアスベストを加工してシート状にしたものです。断熱性を上げるために使用されていました。

 

シート状やフェルト状になっているため、吹付材と比較すると飛散しにくいです。

 

しかし、アスベストが含まれていて危険なことには変わりはないため、解体する建物に使用されていないかチェックする必要があります。

 

 

成形板(レベル3)

石綿を含有している成形板(レベル3)は、アスベストをセメントなどと混合し、ボードやプレート状に成形した建材です。耐火性や耐水性が高いため、水回りや外壁、屋根などに使用されました。割れにくいためアスベストが飛散するリスクは低いと言えます

 

しかし、劣化や損傷している箇所からアスベストを吸い込む恐れがあるため注意が必要です。

 

 

アスベスト調査方法

アスベスト調査方法

アスベストは5STEPで調査します。

 

1.図面調査
2.現地調査
3.分析調査
4.結果判定
5.レポート作成

 

ここでは、各ステップについて詳しく解説します。

 

 

1. 図面調査

竣工図、改修図、設計図書などのスクリーニングを行い、アスベストを含む可能性のある建材が使用されているかを確認します。

 

図面調査の目的は、建物内のどの箇所にアスベスト含有建材が使用されているかを特定することです。

 

設計図、施工記録、建材リスト、改修履歴を確認します。

 

また、建物が建てられた年代や当時の建築基準を確認します。図面が不足している場合、調査が効率良く行えなくなるため、解体工事を依頼する前に図面を準備しておきましょう。

 

 

2. 現地調査

図面調査の結果を参考にしながら、現地にて目視で確認を行い、アスベスト含有の疑いがある建材を特定します。外観や内観(壁材、天井材、床材、断熱材、外壁材など)をチェックします。

 

スクーリングでは把握できなかった情報を補完し、より正確な判断を下すために必要な調査です。アスベスト含有の疑いがある建材を見つけたら、写真撮影と分析用試料の採取を行います。

 

 

3. 分析調査

建材中にアスベストが含まれているかどうかを確認します。分析調査には、次のような機器を使用します。

 

 

使用機器用途
位相差顕微鏡アスベスト繊維の確認と形態の観察
走査型電子顕微鏡(SEM)微細な繊維の詳細な構造観察と定性・定量分析
X線回折装置アスベスト含有率の定性分析および定量分析

 

 

アスベストが含まれていることが確認された場合には定量分析を行い、アスベストが含まれる割合を測定します。双眼実体顕微鏡検査で各種繊維を適切な浸液で処理し、屈折率を測定し、偏光顕微鏡による最終測定をします。

 

 

4. 結果判定

アスベスト含有試料であるか判定します。試料中に6種類のアスベスト(クリソタイル、アモサイト、クロシドライト、トレモライト、アンソフィライト、アクチノライト)のうち1種類以上の回折線ピークが認められる場合、アスベスト含有と判定されます。

 

アスベストの回折線ピークが確認された場合でも、追加で分散染色分析を行います。この結果、特定の浸液を使用した標本から計数した合計3,000粒子の中に石綿繊維が4繊維以上確認されれば、アスベスト含有試料と判定します。

 

また、X線回折分析でアスベストの回折線ピークが認められなかった場合でも、分散染色分析で同じ基準を満たせばアスベスト含有試料と判断されることを理解しておきましょう。

 

 

5.レポート作成

アスベスト調査結果のレポートを作成して、労働基準監督署と地方自治体の両方に報告します。アスベスト調査結果のレポートは業者が作成します。

 

アスベスト調査結果のレポートを受け取ったら保管義務があるため、3年間紛失しないように大切に保管しましょう。

 

 

アスベスト調査費用の平均相場

アスベスト調査費用は施主負担となりますが、アスベスト含有の有無で変動します。そのため、アスベスト調査費用の平均相場を把握しておきましょう。

 

 

内容平均相場
図面調査20,000円~30,000円
現場調査20,000円~50,000円
定性分析30,000円~100,000円
定量分析30,000円~100,000円
粉じん濃度測定5,000円~30,000円
報告書の作成30,000円~50,000円

 

 

※あくまでも参考価格です。解体工事業者や現場状況により料金体系が異なるため、詳細金額を知りたい場合はお見積りを取得してください。

 

 

アスベスト調査義務化に関してよくある質問

最後にアスベスト調査義務化に関してよくある質問をご紹介します。

 

 

Q. 規制違反の場合、施主にも責任が問われる?

アスベスト調査結果の報告制度に違反した場合、施主にも責任が問われる可能性があります。

アスベスト調査を行わずにアスベストが飛散し、近隣住民に健康被害が出た場合は損害賠償責任を問われることがあります。

 

例えば、解体費用を安く抑えるために違法業者に発注した場合、「選定の過失」として責任が問われるでしょう。そのため信頼性の高い業者を選ぶことが大切です。

 

Q. 補助金や助成金は使用できますか?

アスベスト調査に関する補助金制度は、自治体によって内容が異なります。

 

助成対象や助成金額、申請条件など細かく定められているケースが多いため、事前に確認してみてください。例えば、東京都目黒区では次のような補助金が用意されています。

対象者区内に建築物を所有する者

分譲集合住宅の管理組合の代表者

中小企業の事業者

区長が認めた者

対象建築物平成18年8月31日以前に建築された建物

戸建住宅、集合住宅(マンション)、事務所、工場、店舗、賃貸住宅など

申請期限調査完了後1年以内
助成内容分析調査費用の1/2を助成

戸建住宅:上限10万円

分譲集合住宅・事業用建築物:上限20万円

 

アスベスト調査に関する補助金制度について詳しく知りたい方は、下記の記事をお読みください。
関連記事:『アスベスト解体工事の補助金まとめ | 申請窓口や支給要件も解説

 

 

Q.施主が注意すべき点は?

アスベスト調査で除去が必要になった場合は、通常の解体費用の2倍ほど料金が高くなります。なぜなら、アスベスト除去時には防護服を着用しなければならないためです。

 

また、飛散防止のための封じ込め作業(養生)が必要になります。

 

廃棄物処理には厳しい規制があり、特別な許可を持つ業者に依頼しなければなりません。
通常の解体より慎重な作業が求められるため、作業期間が長くなります。

 

30坪や50坪の解体費用相場を参考にすると、想像以上の高さに驚いてしまいかねません。そのため、アスベストの除去が必要な場合は解体費用が高くなることを理解しておきましょう。

 

アスベストの解体費用相場について詳しく知りたい方は、下記の記事をお読みください。
関連記事:『アスベストの解体費用相場は?場所別の目安や安くするコツも紹介

 

 

Q.アスベスト調査会社の選び方は?

アスベスト調査会社を選ぶ際は、3つの基準を満たしているかを確認しましょう。

 

・適切な料金が提示されているか

・アスベスト調査報告書の作成実績

・建築物石綿含有建材調査者などアスベスト調査員が在籍しているか

 

以上のように、料金の透明性や報告書作成の実績、資格保有者の在籍状況を確認し、信頼できる解体業者を選ぶことが大切です。

 

信頼できる解体業者の選び方について詳しく知りたい場合は、下記の記事をお読みください。
関連記事:『家の解体業者の損しない選び方!トラブルを避ける方法も解説

 

 

Q.複数社から見積もりを取得すべきですか?

 

アスベスト調査会社を選ぶ際には、複数の会社から見積もりを取得しましょう。

アスベスト調査会社により調査方法、調査費用が異なります。そのため、1社だけの見積もりでは調査方法や金額の妥当性を判断することが難しい場合があります。そのため、2社以上から見積もりを取得して比較しましょう。これにより、最適な選択が可能になり、より安心して調査を依頼できるようになります。

 

解体工事業者選びの手間を省きたい方は、全国の評判が良い解体工事業者をまとめた記事を参考に依頼先を決めてみてください。

関連記事:『【日本全国版】解体工事業者ランキング!Google口コミ高評価を厳選

 

 

まとめ

2022年4月1日から、厚生労働省と環境省はアスベスト調査結果の報告制度をスタートさせました。これにより、アスベスト調査と報告が義務付けられました。アスベスト調査費用は施主負担です。

 

アスベスト調査義務化に違反した場合、施主にも責任が問われる可能性があるため、料金を安く値切るのはやめましょう。アスベストが飛散し、近隣住民に健康被害が出た場合は損害賠償責任を問われることがあるため、信頼できる業者に依頼してください。

 

東京都目黒区の株式会社上池解体興業(BOCCOS/ボッコス)では、アスベスト調査だけでなく、補助金申請サポートなどワンストップサービスを提供しています。アスベスト調査に補助金・助成金を使用したい方はサポート致しますので、まずはお気軽にご相談ください。

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