英検1級を圧倒したこの一冊【81】85点の言葉-知的で口べたなあなたに(萬流コピー塾) | ひとときのときのひと

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広告業界で鍛えたから、読み応えのある文が書ける。
外資系で英語を再開し、アラカンでも英検1級1発合格。
警備業界にいたから、この国の安全について語りたい。

そんな人間が、ためになる言葉を発信します。


まずは英語から。

 ここでは、英検1級1発合格術にこだわらず本ブログ筆者が見つけた注目の1冊、必読の数行を紹介しています。

 

 第80冊目は「85点の言葉-知的で口べたなあなたに(萬流コピー塾)」

 

 

です。1989年初版の本ですが、アマゾンを通じて購入できるものの、実質絶版となっているようです。

 

 しかし、著者の手元には初版本があって、今でも時々読み返しています。

 

 コピーつまり広告文章のことを扱っている本なのに、一体英語学習と何の関係があるのか?そう感じる方も少なくないかも知れません。

 

 もともと、この本は、副題にもあるように著者の糸井氏、当時の広告界において圧倒的なパワーを持っていた糸井氏が一種遊び心で始めた萬流コピー塾(週刊文春に掲載)の講義?をまとめた本なのです。

 

 つまり、ある商品を提示して読者からその宣伝文句を募集する。そして俳句教室のように「家元」である糸井氏が優秀作や佳作を選び出して解説とともに毎週掲載していくという一種の「読み物」だったのです。

 

 しかも、この本で扱っている「お題」の商品やサービスは、「ギター」や「ジーンズ」はともかくとしても「やきそば」や「かつ丼」のようなおおよそ本気で広告をするとは考えられないものがお題として掲げられていました。

 

 つまり、この読みものは本格的な広告文章指南ではなく、当時のコピーライターブームに「乗っかって」の言葉遊びの集いといってもいいかもしれません。とはいっても、読者がハガキ一枚にこのお題に関して「広告的に」「ごく短い言葉で」表現を競い合うのは、少なくとも当時は「国民的」な熱を発していました。

 

 たとえば、「ジーンズ」というお題の時

 

「いつまでも青春を」とか「丈夫で長持ち、しかも経済的」といった作品は、「家元」糸井氏から「ふつうすぎる」とか「同巧多数」と整理されています。はっきり言って「没」(誌上では「餅」というランク付けですが)になっています。

 

 反対に

「洗濯機のアゴを鍛える」

とか

「団塊の私服」

といったコピーに松竹梅、三段階の「梅」が与えられています。佳作ということでしょう。

 

 また、「落語」というお題では

「ただ、おもしろえだけじゃ、つまんないだろ」

に「松」という最優秀ランクが与えられています。

 

 本ブログ筆者が気に入っているのは「ピアノ」というお題で

 

「四十九日前、じいちゃんの棺桶を下した窓から、今日晴れてピアノを釣り上げた」

 

というものです。

 

 一回読んでみると、「?」かもしれませんが、繰り返し読んでいるうちに人の「生」と「死」の交錯する劇的なストーリーがたったこの一行で語られているではありませんか。

 

 ではどのようにしてこのような人の心を動かすコピーが生まれるのかにつき、糸井氏はこの本の中でコラムをわざわざ設けて、一種の「秘伝」的な要素を明らかにしています。

 

 そのコラムを少し引用してみます。ちなみにここでは花束をつくるとき「定石」とされている「バラとカスミソウ」が陳腐で自己満足的なコピーのたとえとして使われています。その点を注意してお読みください。

 

 つまり「バラとカスミソウ」は、誰の心も打たないけれど値段がよくわかるというスタイルをしているのです。(中略)良くも悪くも、このスタイルは実用性が高いだけに簡単に捨てることができません。(中略)でも、人から「うまいこと言いよるな」といわれたときには、要注意。このスタイルから脱出する時期なのです。

 

 いかがでしょうか。

 

 ここからは本ブログ筆者なりの解説をしてみます。

 

 上に例を挙げた「ジーンズ」の「いつまでも青春を」というコピーは、まさに「バラとカスミソウ」的な定番です。間違ってはいない。でも、「ピン」と来るものが希薄です。

 

 その点、殆ど同じことを言っているけれども「団塊の私服」の方が、「確かに団塊の世代って、学生運動があって、フォークブームがあって、そういえばそうだよな」と「ピン」と来るところがより濃厚ではないでしょうか。

 

 それは情報の送り手が安易に「定石」「定番」に頼ることなく、「受け手」のことをより一層考えているからなのです。どうやったら、「受け手」が「ピン」と来るかを何度も繰り返し考えたり感じているから、相手に「届く」コピーができあがるのです。

 

 日本語でさえも、こんなにコミュニケーションにおいて相手を「ピン」と来させるのが難しい。ましてや、英語ではどうでしょうか。

 

 いやいや、英会話を始めることすら難しがっているのに、もっと高い壁を設けないでくれ。

 

 そうお感じになる方もいらっしゃるかも知れせん。

 

 しかし、今はちょっとした英語ならスマホやPCの「自動翻訳」でいくらでの「通じ」させることはできます。つまり、「バラとカスミソウ」的な英語は、無料で造作なくできる時代になってしまっているのです。

 

 にもかかわらず、相変わらずそうした「通じる」ことにこだわった一周遅れの英語術を勉強して何になるのでしょう。

 

 もっと先の「相手」をくすっとさせたり、ドキリとさせる(既に紹介した「ピアノ」のコピーのように)、サービス精神旺盛な英語を目指すのが「いま」なのではないでしょうか。

 

 したがって、英語の資格試験など、そういった資格試験の先生になるような方は別にして、一般の方はさっさと見切りをつける方がいいに決まっています。

 

 TOEICだろうが、英検だろうが、どんなに「実務的」になっても、「実務」とは違います。そんな架空の世界にいつまでの沼っている。別に間違いとまではいいませんが、奇妙な世界ではないかと思います。詳しくは、↓もお読みください。

 

 

 

 

 

 

 以上、参考書に書かれていないかもしれませんが、圧倒される本を求めている方の参考になれば、幸いに思います。

 

 

 

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