大叔母を今も見守っている、若い頃の恋人の話

2024年3月10日日曜日

日記

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Aちゃんは、私の祖父の末の妹(=大叔母)である。
私の母から見ればAちゃんは叔母だが、子供の頃に同居していた事もあり、年の離れた姉妹のような間柄らしい。
私自身は彼女と付き合いはないが、母から聞くAちゃんの印象はファンキーで興味深い。

母が子どもの頃は、東京の下町に祖父の一家みんなで暮らしていたそうだ。
両親、子供(私の祖父母やAちゃん達)、孫(私の母達)の三世代大家族である。
ポンプで井戸から水を汲んだり、家の外で七輪で魚を焼いたりするような、古き昭和の団地であったという。母が5~6歳の時の記憶なので、昭和30年頃の話である。

そこへ進駐軍関係の人と付き合っていた20歳頃のAちゃんが、彼氏の派手な外車で乗り付けてくる姿はかなり目立っていたようだ。
「Aちゃん可愛かったからね。周りがほっとかなかったんだろうね」
子どもの目から見ても恋多き女だったようである。

彼との恋はやがて終わり、Aちゃんは別の人と結婚して数十年たったが、最近になって母との電話中にその彼の話題が出たという。
通訳で来ていた外国人の彼は、その後日本で手広く事業をやって成功しているらしい。

そして、Aちゃんが引っ越すたびに近くに現れて、離れた所から見守ってくれているそうだ。先日も、家の下の通りに立って見上げていたと。
でも見ているだけで、直接話したりはしないのだそうだ。

Aちゃんは現在80代で一人暮らしをしている。
激しい性格のため、結婚生活は順調ではなかった。
息子のお嫁さんとも折り合いが悪く、「嫁が私のものを盗むので、もう一緒には暮らせない。引っ越した今の家にも勝手に入ってきて泥棒していく」と母に話していたそうだ。

さらに、Aちゃん名義の銀行の貸金庫の中身までお嫁さんが手をつけていると言う。
「さすがにそれは、ねえ…?本人以外が勝手に貸金庫を開けられるわけないし」と母。
うーん、そういうことか…。
そんなAちゃんを見守ってくれているという、昔の恋人の話。
せつないけれど、こういう形で思い出せるのは幸せかもしれない。

その後しばらくして、Aちゃんは介護施設に入居したと母から聞いた。
遠方なので、母も今後は滅多に会えないだろうと。

そこにも、彼は姿を見せに来てくれるのだろうか。

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70年代生まれのアラフィフ女子。 インドア派。

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