コンデンサーに加えた交流電圧・電流〔4〕(交流の電圧波形と電流波形のイメージ)

ここでは、交流電圧源を接続したコンデンサーに流れる電流の波形を、計算式からではなく波形のイメージで考えます。

想定する回路と電圧波形

想定する回路は前回と同じで、周波数:50Hz、実効値:100Vrmsの交流電圧源に、「50Hzで抵抗値:100Ω」になる「容量値:31.8μF」のコンデンサーを接続します。

まず、回路図左側の電圧源「\(V(t)=V_{peak}\sin (\omega t) \) 」の波形を下に示します。

これは「Vpeak=141(V)」「ω=2πf=2π✕50=100π (rad/s) 」としたときのグラフです。

この電圧源を接続したコンデンサーに流れる電流の波形は、下のようになります。

これらの波形を使い、まずは「経過時間:0ms」の波形から見ていきます。

経過時間:0ms

前の項と同じ波形を、もう一度下に示します。

上方の青い線のグラフが電圧、下方側の赤い線のグラフが電流の波形です。

「経過時間:0ms」時に、電圧は最大傾斜で上昇しています。

この状態は、コンデンサーに流入する電流が最大になっていることを意味するので、下方の赤い太線はこのとき最大になります。

これは、前回使用した電圧と電流の関係を表す下の式からも分かります。

$$I(t)=C \displaystyle\frac{dV(t)}{dt}$$

「経過時間:0ms」以降は、電圧が上昇する傾斜が緩くなり始めるので、コンデンサーに流入する電流は減り始めます。

このときの電圧波形と電流波形の位相を比較すると、電圧に対して電流は「\( \displaystyle\frac{\pi}{2}(⇒90°) \) 」進んでいます。

経過時間:5ms

次に、5ms経過後の電圧と電流の波形を下に示します。

「経過時間:5ms」で電圧値が最大になり、電圧は上昇から下降に転じます。

そうすると、コンデンサーに流れる電流は流入から流出に転じるので、下方のグラフの赤い太線のように、プラスからマイナスに移行します。

このときの電圧波形と電流波形の位相を比較すると、電圧に対して電流はやはり「\( \displaystyle\frac{\pi}{2}(⇒90°) \) 」進んでいます。

経過時間:10ms

次は、10ms経過後の電圧と電流の波形です。

「経過時間:10ms」では電圧が最大傾斜で下降しています。

この状態は、コンデンサーから流れ出す電流が最大になっていることを意味するので、下方の赤い太線はこのときマイナス側の最大になります。

これも下の式のイメージと一致します。

$$I(t)=C \displaystyle\frac{dV(t)}{dt}$$

このときの電圧波形と電流波形の位相を比較すると、電圧に対して電流はこれまで同様、「\( \displaystyle\frac{\pi}{2}(⇒90°) \) 」進んでいます。

経過時間:15ms

最後は、15ms経過後の電圧と電流の波形です。

「経過時間:15ms」では電圧値が最小になり、電圧は下降から上昇に転じます。

そうすると、コンデンサーに流れる電流は流出から流入に転じるので、下方のグラフの赤い太線のように、マイナスからプラスに移行します。

このときの電圧波形と電流波形の位相を比較すると、電圧に対して電流はこれまでと同じ「\( \displaystyle\frac{\pi}{2}(⇒90°) \) 」進んでいます。

まとめ

今回も波形の周期:20msを4分割し、5msごとに電圧と電流の波形を確認しました。

今回の結果をまとめると、交流電圧源を接続したコンデンサーに流れる電流波形は、電圧に対して常に「\( \displaystyle\frac{\pi}{2}(⇒90°) \) 」進んでいました。

前々回、交流電流源をコンデンサーに接続したときには、電流波形に対して電圧波形は「\( \displaystyle\frac{\pi}{2}(⇒90°) \) 」遅れていました。

結局、コンデンサーに接続するのが電流源でも電圧源でも関係なく、電流波形は電圧波形に対して「\( \displaystyle\frac{\pi}{2}(⇒90°) \) 」位相が進みます。

ただ、なんとなく「コンデンサーは位相が進む」と思っていると、電圧に対してだったか、電流に対してだったか分からなくなるので、関係式やイメージで導けるようにしておくと良いと思います。

この後はコイルについて書きますが、その前に少し小ネタを挟む予定です。

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