クワガタ~スズメバチ等の覚書

   Photo & Text by こよみ

PC版テンプレート画像は
朽木屑を運ぶオレゴンルリクワガタ♂

オレゴンルリクワガタ・3-飼育に見る生涯

2024-05-06 15:00:47 | オレゴンルリクワガタ(CA)

飼育に見るオレゴンルリクワガタの生涯

これは、15ヶ月の飼育に見たオレゴンルリクワガタplatycerus oregonensis coerulescens

幼虫〜蛹〜羽化〜産卵までの大筋を「生涯」としてまとめたものです。

よって、各成長ステージ等の数値には暫定的なものもあります。

*飼育管理温度は、他種との関係で年通15〜24℃くらい

*カテゴリーから入ると飼育過程等に繋がります

↓ オス 2024年3月撮影

↓ メス 2024年3月撮影

↓ 前記事

 

オレゴンルリクワガタ - クワガタ~スズメバチ等の覚書

オレゴンルリクワガタplatycerusoregonensisWestwood,1844分布:カナダ南部〜アメリカ合衆国カリフォルニア州(メキシコ湾に沿った低地〜低山地)体長:オス11.0〜16.0㎜メ...

goo blog

 
 

オレゴンルリクワガタ・2-知られざる生態 - クワガタ~スズメバチ等の覚書

はじめにここでいう「オレゴンルリ」とはオレゴンルリクワガタplatycerusoregonensiscoerulescensのことで「ルリ」とは、日本のルリクワガタPlatycerusdelicatulusdelicatul...

goo blog

 

 

幼虫期間:10~12ヵ月くらい

幼虫は割り出しや、マット交換などの環境の変化に弱い印象を受けました。

可能な限り大きな材を使い、羽化まで割り出さないのがベストのように思います。

ただし、羽化して蛹室から自力で脱出した雌雄がいる場合は

既に産卵を始めている可能性もあり、割り出し材に卵が紛れ込んでいる場合があります。

↓ 終齢幼虫

↓ 2024年1月14日 前蛹に向けて体のケアをしている様子

↓ 2024年2月25日撮影 蛹室内のメス 

 

蛹期間:約14日程度

蛹の期間は2週間と短いものでした(メス)

↓ 2024年3月1日 蛹化

↓ 2024年3月15日羽化 (撮影16日)

↓ こちらは、オスの新成虫

 

テネラル:不明

羽化から蛹室を脱出するまでの期間をテネラルとしましたが

外から見える蛹室は限られており、数値は暫定的です。

例えばメスの場合、羽化から1ケ月経過しても腹部は膨らんで上翅に収まっておらず

羽化から45日経過したころに蛹室から出ていました。

*これはどの種にも言えることですが、容器を触ったり叩いたりして外部から刺激を受けると

本来より早く蛹室から出てしまうこともあります。

↓ 羽化から4日経過したメス

↓ 活動中のメス、羽化から60日経過

 

後食:未確認

念のため、複数の昆虫ゼリーを与えましたが、後食の確認はできませんでした。

 

産卵:過去記事参照

交尾〜産卵形態などは過去記事参照、「カテゴリー」から入ると大筋がわかります。

↓ 2023年1月撮影

↓ 2023年2月撮影 卵と初齢幼虫(黄色いものは待ち針の頭)

赤枯れ材にも産卵

昨年の2月、産卵痕も穿孔痕も見つけることができなかった赤枯れ材ですが

念のため保管して、8か月後に割ってみると終齢幼虫が1頭出てきました。

↓ 赤枯れから終齢幼虫1頭出現 2023年10月15日撮影

 

成虫寿命:活動から1ヶ月くらい

オスのほうが短命のように感じていますが、メスは材の中で息絶えていることがあるので

本当のところはよくわかりませんでした。

 

未知種の難しさ

ホラサビの記事でも書きましたが、生態がよくわからない所謂「未知種」というやつは

いつごろ羽化するのかわからないこともあり

気長に構えていたら下画像のような結果も招いてしまいました。

↓ 2024年2月25日 羽化して行き場を失った個体(死亡) 

 気が付けば既に死亡していた(オス)

外でのオレゴンルリの発生期間は5~11月あたりまでと長く(約半年)

その間、連続的に羽化と産卵が行われているはずで

成虫の寿命が1ヶ月ほど(活動期間)であることを考えると

繁殖は発生が近い個体間で行われ、発生初期と後期の個体が出会うことはないと思われます。

↓ 穿孔した坑道から出てきて徘徊〜飛翔直前のオス:2024年3月撮影

 

補足:2024春

昨年産卵に使ったメインの材は、よく湿ったバクテリア材でしたが

幼虫の段階で多くが死亡したので、今回はやや乾燥気味のバクテリア材を使いました。

↓ 今年は、やや乾燥気味のバクテリア材をマットの上に置いた産卵セット

オレゴンルリの産卵痕の形態や、木目に対する角度(保水性)を見ると

日本のコルリクワガタ種群が好むような湿度の高さは必要ないのかもしれません。

また、他種との関係で管理温は24度くらいまで上がりました。

これがオレゴンルリの快適な温度範囲を超えていた可能性もあります。

↓ 日本のコルリクワガタ種群産卵痕:木目に対して垂直(・)

↓ オレゴンルリの産卵痕、日本のそれよりいい加減(2024年)

オレゴンルリの産卵痕は材の底面周辺と端面にまとまって見られました。

また、日本のルリクワガタ属は木目に対しほぼ垂直に材を削り産座を作りますが(保水効果)

オレゴンルリ の場合は、それよりいい加減です。

また、材の端面にも積極的に産卵しています

↓ 端面にも産卵痕あり 

↓ 親虫は材に穿孔もする

 2024年4月15日 初齢幼虫

↓ かなり小さいので注意しないと見逃してしまう

 

最後に

今回は必要に応じて過去に使用した画像も掲載しました。

オレゴンルリ、15ヶ月の飼育で生態の一部を見ることはできましたが

「繁殖」という部分では、新成虫がたくさん得られたわけではなく

失敗に近い成功といったところです。

 
参考URL:生物多様性データへの自由でオープンなアクセス

 プラティセラス・オレゴネンシス・ウェストウッド、1844年 (gbif.org)



最新の画像もっと見る

コメントを投稿