熱中症に気を付けましょう!の声掛けは大切だけど

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2024-4-19

4月も半ばを過ぎて春というよりはすっかり初夏の気候になってきました

昨年2023年は記録的な猛暑でありましたが、今年も同様の暑さになるとの予報が出ていて、どんな夏になるのか?少し怖い気もします。

すでに日中の最高気温が30度を超える真夏日も多数の地点で観測されていて、SNSではみなさんが「熱中症に気を付けましょう!」とか「水分補給をしっかりしましょう!」という声かけをしてくれています。

こうして声を掛け合って、熱中症を予防しようという風潮は大変良いことですし、熱中症に対する警戒や意識も数年前と比べて格段に高くなっていると思います。

ただ、一般の人々の場合はこれで大変良い事で何ら問題はないと思います。

しかし、スポーツの指導者、AT(アスレチックトレーナー)、学校関係者、企業の安全管理者の方々が同じように「熱中症に気を付けて!」「水分補給と休憩はこまめに!」等という意識だけで済ませているケースが多く、如何な物かと思います。

選手や子供たち労働者が熱中症の危険に晒されている団体の安全管理を担う立場の人が、気を付けるだけで済まされるわけがありません。

ATさんは選手のパフォーマンスを引き出す以前に、学校の先生は学習や教育の以前に、企業の管理者は利益を上げる以前に、「選手や子供たちや労働者の命を守る」という責任がある事を忘れてはいないでしょうか?

人が大勢集まる施設には必ず消火器が備え付けられており、AEDが配置されているところも多くありますが
そのような施設の管理者は万一の場合に備えて機材を準備しているわけです。
熱中症の危険のある団体の安全管理者が「熱中症に気を付ける」だけで済まされるのなら、「火の用心しましょう!」といえば消火器は設置しなくても良い事になりますし、「みんな頑張って!」といえばAEDも要らない事になります。

スポーツの指導者は熱中症発生の予防に注意するのはもちろん当たり前の事で、できるだけ予防した上でそれでも熱中症が発生したときに備えて、有効な応急処置ができる機材の準備と、適切な応急処置ができる知識と行動のトレーニングをしておかなければなりません。

「いや、我がチームでは万一に備えてアイスパックや経口補水液も用意してるし、119番通報のトレーニングもしているよ」という指導者様が大勢おられますが、これも大きな勘違いです。

重症熱中症になった場合に従来から言われてきた「首筋や脇の下をアイスパックで冷やすと有効」という方法は近年の研究で殆ど救命の役に立たないことが証明されていますし、只でさえ救急車の病院収容平均時間が年々延びて、令和5年には平均47分になっている上に、気候変動による猛暑で各地で熱中症が一度に発生し、熱中症による救急要請で「救急車逼迫」という状況が起こって一刻を争う病院搬送ができないばかりか他の傷病に対する救急活動にも支障をきたしている事をご存じないのでしょうか?

アメリカのスポーツ安全研究機関のKSIでは、「熱中症は倒れて10分以内に冷水で全身冷却すれば100%救命が可能」と言い切っていますし、データやエビデンスも確かなものがあります。

つまり、応急処置用のアイスバスをチームや労働環境に準備しておけば、熱中症による死者は出ないで済む上に、救急車の要請も減り社会的な負担を軽減させる事につながるのです。

特にスポーツ医学に詳しいATさんはその事は十分承知している方が多いはずです。

認識の甘い指導者やコーチがいたら、説得して熱中症の応急処置機材を準備して欲しいと思います。

予算の問題で専用機材は無理だと言われたら、ホームセンターで格安のビニールプールを買ってきて毎回準備して下さい。
空気を入れたり抜いたり、ドラム缶1.5本分の水を準備したりと、てつもない労力が必要になりますが、命と引き換えにはできません。
水の量に合わせて膨大な氷も必要になるので、コンビニ等で購入すればひと夏でP-PEC等の専用機材を買うくらいの費用が発生する事も実感頂けると思います。

手前みそで大変恐縮ですが、結局最初から専用機材であるP-PECを準備頂く事がベストな選択であると思います