ワインのデキャンタージュ(Decanting)とは、ボトルからワインをデキャンターというガラス容器に移し替える作業のことです。目的は大きく分けて「澱(おり)の除去」と「酸素との接触による香りの開花」の2つ。ワインの種類や状態によって、デキャンタージュの有無や方法が変わります。
1. デキャンタージュが必要なワインとは?
(1)熟成した赤ワイン(澱の除去)
長期熟成したワインには澱が沈殿していることが多く、これを取り除くことで口当たりを滑らかにできます。特にボルドーやバローロ、ブルネッロ・ディ・モンタルチーノなどのクラシックな赤ワインで重要になります。

(2)若い赤ワイン(香りの開花)
若いワインはタンニンが強く、閉じた状態であることが多いため、空気に触れさせることで香りを開かせます。特にカベルネ・ソーヴィニヨンやシラー、マルベックなどはデキャンタージュの恩恵を受けやすい品種です。
(3)一部のオレンジワインや白ワイン
濃厚で酸素との相性が良いオレンジワインや、リースリングの熟成ワインなどもデキャンタージュによって複雑なアロマを引き出せることがあります。
2. デキャンタージュの正しい方法
(1)準備
- ワインを静かに立てておく(2時間以上が理想)
→ 澱をボトルの底に落ち着かせる - デキャンターを用意する
→ 形状はワインの種類によって異なるが、一般的には底が広いものが酸化しやすく、底が狭いものが穏やかに酸素に触れやすい。
(2)デキャンタージュの手順
- 静かにコルクを抜く
- 熟成ワインならソムリエナイフを使い、ゆっくりと抜く。
- 若いワインなら通常のオープナーで問題なし。
- ワインをボトルの肩まで静かに注ぐ
- ボトルの肩に光を当てる(キャンドルやスマホライトが便利)
→ 澱が見えたらそこでストップ。
- ボトルの肩に光を当てる(キャンドルやスマホライトが便利)
- デキャンターにワインを注ぎ終えたら、時間をおく
- 熟成ワインならすぐに提供
- 若いワインなら30分〜2時間ほどおいて酸素と触れさせる
(3)デキャンタージュの時間目安
- 熟成ワイン → すぐに飲む
- 若いフルボディ赤ワイン → 1〜2時間
- ミディアムボディ赤ワイン → 30分〜1時間
- 白ワイン/オレンジワイン → 30分程度(必要な場合のみ)
3. デキャンタージュに向かないワイン
- 極端に熟成したワイン(30年以上)
→ 空気に触れることで急激に味が落ちることがあるため、慎重に。 - 繊細な白ワイン(シャブリ、アルバリーニョなど)
→ 香りが飛びすぎることがあるため、通常は不要。 - スパークリングワイン
→ 炭酸が抜けるため、基本的にデキャンタージュしない。
4. おすすめデキャンター
(1) リーデル「デキャンタ・アマデオ」
- エレガントなデザインで、幅広いワインに対応。
(2) Zalto(ザルト)「デキャンター No.75」
- 手吹きガラスで作られた薄手のデキャンター。
(3) IKEA「VARDAGEN(ヴァルダーゲン)」
- コスパ重視のシンプルデキャンター。2000円程度。
まとめ
デキャンタージュは、ワインをより美味しく楽しむためのテクニックの一つ。熟成ワインでは澱を取り除くために、若いワインでは香りを開かせるために行います。ワインの種類や状態に応じて、適切な方法でデキャンタージュを行いましょう!