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官能小説『危ない画像』 第1話 益荒男様 作

益荒男様 作

官能小説『危ない画像』

この小説はShyrock様のご許可を頂き掲載しています。

圭子 雅彦が父の遺品を整理していた。本や書類の殆どは既に母親が始末している。残っ
たのはパソコンやオーディオ関係で、特にパソコンは母親の手に負えなかったのであ
る。
 雅彦はまずメールから処理することにした。未読メールの殆どがいかがわしいDM
や得体の知れないウィルス付きと疑われるようなものだった。長く使っているアカウ
ント程この手のメールが勝手に送り付けられて来るものである。雅彦はそう言った数
十通のメールを一括でゴミ箱に捨てた。
 残ったメールの殆どが仕事関係だった。一通り目を通して全てに同じ文面で父の死
を伝える返信を送った。最後に「KK」と言う訳の分からないフォルダが残った。こ
こにも新しいメールが十通以上届いていた。
 雅彦が一番新しいメールを開くと父親の安否を気遣う内容が書かれていた。文面か
ら察するところ、父親とはかなり親しい間柄らしい。差出人は女である。未読メール
を次々に開いて行くと、そこには驚くべきことが書かれていた。


 「愛する賢治へ、
昨日は楽しかったわ。本当に久し振りに逢えて良かっ
  た。戻ったら腰がちょっぴりしんどかったわ(笑)
賢治は相変わらずタフねえ。
貴男の歳で抜か六なんて、そうざらにはいないわよ。
お陰でお○○こがはばったいわ(苦笑)
これで、また当分逢えなくても大丈夫(嘘々)
次の出張はいつ?どこ?
外国出張なんかあればいいのにね。
勿論、付いて行くわよ。
じゃ、また来週。いつものところで。    圭子」


 読み終わった雅彦が苦笑した。あの父親が不倫とは意外だった。そんな素振りなど
毛程も見せなかったからである。そう言えば、毎週金曜日は父親の帰りが遅かった。
恐らくそれがデートの日だったのだろう。もう何年も続いて来た習慣なので特別気に
も留めなかったのである。
 今日は金曜だから、もし、あの事故が無ければ今頃このメールの女とホテルにしけ
込んでいたに違いない。過去のメールは数百通以上ありそうなので、その全てを一度
に読むのは不可能だった。雅彦が一番古いメールを開いた。五年以上前の日付である。
その文面も既に不倫がかなり続いていることを窺わせる内容だった。つまり、雅彦の
父親は随分昔からその相手と不倫していたことになる。暫く考えてから、雅彦がこれ
までの紋切り型とは別の文面を書き始めた。


  「圭子さん、はじめまして、菅沼賢治の息子、雅彦です。
   父が随分お世話になったようで、感謝しております。
(皮肉ではありません、念のため)
   ところで、言いにくいことですが、父、賢治は今週の月
   曜日、高速道路の事故でこの世を去りました。飲酒運転
   のトラックに追突され、車が炎上してしまったのです。
   ニュースでも大きく報道されましたがご覧にならなかっ
   たみたいですね。
   僕は今、父のメールを確認して、必要な方々に父の死を
   お知らせしています。葬儀も滞りなく済み、一周忌に納
   骨の予定です。お寺は豪徳寺、井伊直弼の墓があるとこ
   ろです。納骨当日は無理だと思いますが、お時間の許す
   時にでも参ってやって下さい。父も喜ぶと思います。
   失礼とは思いましたが、圭子さんと父のやり取りは大体
   読ませて頂きました。悪しからず。
   ちなみに、このメールアカウントは当分僕が代行して管
   理します。もし何かご質問がありましたら出来る範囲で
   お答えしますので、ご遠慮無く仰って下さい。
   では、失礼致します。             雅彦」


 一通りメールチェックが終わったところに母親の麻美が顔を出した。雅彦が慌てて
メールを閉じた。父親が逝ってしまった今、母親に嫌な思いをさせる必要は無いので
ある。
 「ねえ、お茶にしない。」
 「うん。降りてく。」
 「そのパソコン、雅彦が使うんでしょ。」
 「うん。」
 「だったら、あんたが使ってるノート、私にくれない。」
 「どうするの。ママ、パソコン使えないじゃない。」
 「そうだけど、ちょっと勉強してみようと思ってさ。」
 「ああ、それならパパのノートで十分だよ。後で探してママが使えるようにして上
げる。」
 「何でもいいわ。お願いね。」
 母親が出て行ったので雅彦がパソコンを終了させた。まだデータの確認が残ってい
る。チラッと見ただけでもかなりの画像と動画ファイルがあったので、その確認にも
時間が掛かりそうだった。父親はパソコンには惜しみなく小遣いを使っていたらしく、
この機械には殆ど全ての機能が装備されている。メモリーもハードディスク容量も全
て十分すぎる位だった。中でも音楽とデジタルビデオの環境は抜群だった。DVDだ
ってパソコンの大画面で見た方が遥かにきれいである。音も昔から愛用してきた山水
の高級コンポからサラウンドで流れて来るので下手なホームシアターよりも臨場感が
あった。
 雅彦は母親が思ったより落ち込んでいないのが驚きでもあり、救いでもあった。こ
れからは母親と二人暮らしになる。いつまでもメソメソされては自分も滅入ってしま
うからである。もっとも、父親は少なくとも五年以上不倫を続けていたのだから、夫
婦と言ってもそれ程の強い結びつきはとっくの昔に無くなっていたのかも知れない。
リビングに降りて行くと麻美がお気に入りのカモミルティーとシュークリームを用意
して待っていた。
 「ねえ、もうすぐ春休みでしょ。落ち着いたら、どっか、旅行に行かない。」
 麻美がシュークリームを頬張りながら言った。雅彦の高校は来週の金曜日が終業式
である。
 「いいよ。少しは気晴らしもしなくちゃね。どこ行く。」
 「そうねえ、スキーって気分じゃないから、温泉かな。」
 「温泉じゃすること無くて退屈しそう。山奥だとインターネットも出来ないし。」
 「じゃ、海辺の温泉にしようか。それなら大丈夫でしょ。」
 「うん、ならいいかも。美味しい魚も食べられるしね。どこか探しておいて。」
 「そうするわ。三泊くらいしてもいいでしょ。」
 「いいよ。ついでにパソコン、教えて上げようか。」
 「あ、それがいい。だったら昼間も退屈しないわね。」
 雅彦は麻美が一生懸命に明るく振る舞っているのを見て目頭が熱くなった。母親と
言ってもまだ三十半ば。父親が生きている間は何となく頼り無いと思っていた雅彦で
ある。
 「じゃあ、もう少しパソコンの整理しちゃうね。」
 「もう行っちゃうの。」
 麻美が寂しそうな顔をした。
 「オッケー、もう一杯お茶付き合うよ。どうせなら、温泉の本とか無いの。二人で
選べばいいじゃない。」
 「うん、探してくる。」
 途端に麻美の顔が明るくなった。父親の本は麻美が片付けたので、その中から探す
つもりなのだろう。


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Kaede
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Kae, バイブ苦手なんですよ~! 音と近づくと空気の振動を感じるのかなあそこレーダーが、、敏感? 自分では動かせない、、ダメダメ!
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