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異常性愛~思い悩む姉弟..

感動禁断背徳
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あの日、姉ちゃんが家を出て行った時の光景は、今でもはっきりと思い出せる。ダンボール箱を抱えた姉ちゃんは、振り返りもせずに「ごめんね。元気でね。」と、作り笑いの姉ちゃん。その笑顔の裏に、何かを押し隠しているのは、子供の頃からずっと見てきた俺には分かっていた。本当は止めたかった。でも、何も言えなかった。言いたいことが喉元まで来ていたのに、俺の中にあった感情は、それを飲み込ませるには十分すぎる重さを持っていたからだ。

「あんた、宿題やったの?」
「早く寝なさいよ、明日遅れるよ。」母親の代わりに叱られたこともあったけど、それ以上に姉ちゃんのそばは安心できる場所だった。小学生の時、クラスのガキ大将にからかわれて泣いていた俺を、姉ちゃんが迎えに来てくれた。「和仁に何かしたら許さないから」とガキ大将を一喝して、そのまま手を引いて帰ってくれた。「泣いちゃダメ」俺は姉ちゃんの言葉に素直に頷き、ずっと後ろをついて歩くようなお姉ちゃん子だった。
でも、そんな穏やかな日々は、思春期を迎える頃から変わり始めた。ある日、家の中でふと姉ちゃんの横顔を見た時、胸がざわついた。何が起きたのか分からなかった。ただ、それが「姉弟」という言葉で片付けられない感情だということだけは、直感的に理解していた。姉ちゃんが誰かと話しているのを見るだけで、どうしようもない苛立ちが込み上げてくる。その一方で、姉ちゃんが俺に微笑むたび、全身が熱くなるのを感じた。俺はそんな自分が嫌だった。
「姉ちゃんは姉ちゃんだろ」そう自分に言い聞かせながらも、心はどうしようもなく彼女を求めていた。自分でも気づかないうちに、姉ちゃんを見る視線が変わっていたのだろう。姉ちゃんも同じ感覚だったのかもしれない。俺がじっと見つめると、時々目を伏せたり、わざと明るく話題を変えたりした。それでも何も言わなかったのは、彼女自身もその違和感を認めたくなかったからだろうか。お互いに触れないようにしていたその感情は、ぎりぎりのバランスで保たれていた。だが、それが一気に崩れるきっかけとなったのが、姉ちゃんの家出だった。
「元気でね。」最後にそう言った姉ちゃんの笑顔は、どこか寂しげだった。それに気づきながらも、俺は「うん」とだけ答えた。本当は「行かないで」と叫びたかったのに。

それから18年。姉ちゃんはたまに両親に連絡がある程度で、彼女がどこで何をしているのかも、ほとんど知らない。それでも、俺の胸の中にはずっと姉ちゃんの存在があり続けた。そんな日常が突然壊れたのは、警察からの一本の電話だった。両親が事故にあって死んでしまったのだ。受話器越しに聞こえた言葉に、俺は頭が真っ白になった。現実感がまるでなく、体が軽くなるような感覚に襲われた。何とか話を聞き終えて電話を切った後、俺は呆然としながらも、震える手で姉ちゃんの番号を探し出した。呼び出し音が鳴るたびに、心臓が跳ねるような鼓動を感じた。数回のコール音の後、懐かしい声が耳に飛び込んできた。
「もしもし?」
「……姉ちゃん、俺。」電話の向こうで短い沈黙が流れた後、姉ちゃんが驚いたように返してきた。
「和仁?どうしたの?」その声に、胸の奥がぎゅっと締め付けられるようだった。深く息を吸い込み、俺は両親が事故で亡くなったことを伝えた。
「……分かった。すぐに行く。」電話を切った後も、俺の手は震えていた。姉ちゃんの声を聞いただけで、今まで押し込めていた感情が一気に溢れそうになった。
数時間後、姉ちゃんが駅に降り立った。久しぶりに会った彼女は、昔の面影を残しながらも、どこか大人の女性としての雰囲気をまとっていた。その姿に胸が痛むのは、彼女が変わったからなのか、それとも変わらない想いのせいなのか分からなかった。
「和仁、久しぶり。」
「……姉ちゃん、来てくれてありがとう。」声を交わした瞬間、胸の奥にある何かが音を立てて崩れていくような感覚がした。俺たちはそのまま両親の家へ向かった。車内では、必要最低限のことしか話さなかった。それでも、俺の中では「会いたかった」「忘れられなかった」といった言葉がぐるぐると渦巻いていた。けれど、それを言葉にするには、まだ怖さが勝っていた。それからの3日間、葬儀など慌ただしかったけど姉ちゃんのおかげで全て滞りなくこなせた。その後、俺たちは両親の遺品整理を始めていた。静まり返った家の中、何度も見慣れたはずの部屋が、なぜか今は違う場所のように感じられた。押し入れを整理していると、古びた茶封筒が出てきた。
「これ、何だろう?」姉ちゃんが手に取り、中を覗き込んだ。その瞬間、彼女の手がぴたりと止まり、次に微かに震え始めたのが分かった。
「……姉ちゃん?」俺が声をかけると、彼女は返事をしないまま、震える手で封筒を強く握りしめた。そして、ふらりとその場に座り込むと、肩を震わせて泣き出した。
「……どうして……今さらこんなこ‥と……」大きな声で泣きながら、彼女は言葉にならない叫びを漏らしていた。その姿に、胸が締め付けられるような痛みが走った。
「姉ちゃん、どうした!?」俺はそばにしゃがみ込み、そっと彼女の手から封筒を取り上げた。中には古びた書類があり、そこには「養子縁組」という言葉がはっきりと書かれていた。俺たちは連れ子同士で、血の繋がりがない――その事実を今初めて知ったのだ。胸の奥で何かが崩れる音がした。安心感と戸惑い、そして言葉にならない悲しみ。今までの感情が間違いじゃなかったことへの安堵と、これからどうすればいいのか分からない迷いが入り混じっていた。姉ちゃんは床に座り込んだまま、嗚咽を漏らしていた。その姿が痛々しくて、俺はただそばに座り、肩に手を置くことしかできなかった。しばらくして、姉ちゃんの泣き声が少しずつ落ち着き、静寂が訪れた。俺たちは言葉を交わさないまま、同じ場所に座り込んでいた。
「……和仁。」姉ちゃんがぽつりと俺の名前を呼んだ。その声は震えていたけれど、どこか吹っ切れたような響きもあった。
「俺、考えてたんだ。」姉ちゃんが顔を上げるのを待たずに、俺は静かに言葉を続けた。
「この家に俺たちを縛るものは、もう何も無いよ。」姉ちゃんは、じっと俺の目を見つめた。
「……だからさ、どこか遠くへ行こう。誰も俺たちを知らない場所で、やり直そう。」その言葉に、姉ちゃんの目が見開かれる。戸惑いと恐れ、そしてどこか救いを求めるような感情が、彼女の表情に浮かんでいた。
「……本気で言ってるの?」
「あぁ。本気だよ。姉ちゃんと一緒にいたい。それだけだ。」言葉にして初めて、胸の奥に溜まっていた感情がすべて流れ出したような気がした。姉ちゃんは驚いたように俺を見ていたが、やがて視線を逸らし、小さく息を吐いた。
「……本当にそれでいいのね…」
「あぁ。それ以外要らない。」静かな沈黙が流れた後、姉ちゃんがそっと頷いた。その目にはまだ涙が浮かんでいたけれど、同時にどこか覚悟のようなものも感じられた。その瞬間、俺は胸の奥で長い間押さえ込んでいたものが弾け飛ぶのを感じた。気づけば、俺は姉ちゃんの手を取り、彼女を引き寄せていた。
「……和仁……」姉ちゃんが何かを言いかけたけれど、その声は俺の唇に阻まれた。
二人の唇が触れ合った瞬間、時間が止まったように感じた。長い年月をかけて押し込めていた感情が、一気に解き放たれるのを感じた。そのキスは静かで短かったが、言葉以上に多くのものを伝えていた。お互いの想いも、これまでの苦しみも、全てがその一瞬に凝縮されていた。

唇を離した後、姉ちゃんは涙を浮かべたまま微笑んだ。その表情には、迷いも恐れもなく、ただ一緒に進むという決意だけが浮かんでいた。
「…うん、どこかへ行こう。和仁と一緒なら、それでいい。」その言葉を聞いた瞬間、俺の胸の中にあった迷いが全て消え去った。俺たちはもう引き返せない――それでも、これからの未来を二人で歩むことを選んだのだ。

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