一日の中で椅子に座って作業をしていることが多い。
下手をすると、一日中椅子に座っていて、立つときは食事、トイレ、入浴のときだけということもあったりする。
これでは体に良くないと思い、私は机に向かってする作業であっても時々は立って行うようにしていた。いわゆるスタンディングデスクである。
かといって、それ専用の机を買うということはしていない。
家で使っている冷蔵庫の上が、その上に本やノートを置いて立って作業をするのにちょうどいい高さだったので、冷蔵庫の上を簡易的なスタンディングデスクとしていた。新しいものを買わずとも、利用できるものはできるだけ利用していく。
一昨日の午前中、私はいつもと同じように立って書き物をしようと思い、手にiPadとApple Pencilを持って立ち上がった。
冷蔵庫の上にiPadを置こうとする。そのとき、左手に持っていたApple Pencilを不注意で床に落としてしまった。
Apple Pencilと言っても、外見上は通常のペンと変わらない。
通常のペンを不注意で床に落としてしまうことがあるように、Apple Pencilを床に落としてしまうということも時々あった。
その時も、「いけない、いけない」と、その床に落ちたApple Pencilを拾おうとした。
だけど私は、床に転がるペンを見て、異常に気付いた。
Apple Pencilのペン先が外れ、本体側から離れた位置に転がっているのだ。今までペンを落とすことがあっても、ペン先が外れるということはなかった。
Apple PencilはiPad上で文字を書くためのペンだが、その際にペン先が摩耗で少しずつ削れていく。なので、そのペン先は消耗品として交換可能になっていた。ただし、ネジのように回して本体側に取り付けるものなので、簡単に外れるようなものでもなかった。
私は嫌な予感を感じながら、そのペンの本体と、外れたペン先を拾った。