最近、HUAWEI(ファーウェイ)製のノートパソコンが、ネットショップなどで大幅値引きで販売されています。「高性能で安いならお得!」と思って飛びつきたくなりますが、実はその裏に見過ごせない事情が隠れており、無邪気に飛びつくのはちょっと危険かもしれません。そこで、HUAWEI のノートパソコンが値下げされている理由と、購入前に絶対知っておきたい注意点をわかりやすく解説します。
なぜ今、HUAWEI製PCが安くなっているのか?

実は HUAWEI は、スマートフォンでも同じような問題を抱えていました。米国の制裁により、Google 製アプリや Play ストアを搭載できなくなり、多くの Android ユーザーが HUAWEI スマホを避けるようになったのを覚えている方もいるかもしれません。
今回の PC の件も、それと似た構図です。結論から言えば、HUAWEI 製のパソコンが安くなっている最大の理由は、「Windows ライセンスの期限切れ問題」です。HUAWEI は、米国政府による制裁リスト(エンティティリスト)に2019 年から指定されており、米企業との取引に制限がかけられています。
この影響で、Windows を提供しているマイクロソフトとのライセンス契約にも支障が出ており、ついに 2024 年 9 月、HUAWEI は公式に「2025 年 3 月以降の新製品には Windows を搭載しない」と発表しました。

この発表を受けて、今市場に出回っている HUAWEI 製の Windows 搭載PCは「在庫限り」となり、各販売店で在庫処分が進んでいます。その結果として、通常よりも大幅に値下げされた価格で販売されているのです。
Windowsが使えなくなるってどういうこと?

ここで誤解しがちなのは、「買った直後に Windows が使えなくなる」わけではないという点です。すでにプリインストールされている PC であれば、普通に使えますし、ある程度の期間はアップデートも可能だと思われます。しかし、その先が不透明なのが怖いところなんですよね。何が怖いのかというと、次のような問題が起こるかもしれないためです。
- 今後 Windows の再インストールが必要になった場合、ライセンス認証が通らない可能性がある
- マイクロソフトが新たなライセンス提供を行えない場合、正規の手段で Windows が導入できなくなる
- OS アップデートやセキュリティパッチの提供も将来的に止まる可能性がある
要は、トラブルが発生時の Windows 再インストール、重要なアップデートの更新などができない可能性が考えられるのです。パソコンは OS がなければただの箱。つまり、HUAWEI のノートパソコンを「長く使う前提」で買うのは、リスクが大きいということになりますね。
投げ売りの背景には市場の不安がある

HUAWEIのノートパソコンは、ハードウェア自体は結構優秀です。筐体デザインも悪くありませんし、ディスプレイもかなり綺麗。その他のスペックに対する価格は、他社製品と比較しても引けを取らず、カタログスペックからするとむしろ安い方です。
にもかかわらず、価格が大きく下がっているのは、今後の OS サポートが見込めないという「将来への不安」が大きな要因でしょう。
また、2025 年以降に発売される新モデルでは、自社開発の OS「HarmonyOS NEXT」や Linux ベースの OS が搭載される予定です。これらのOSでもウェブを見る程度なら問題ありません。しかし、Windows で動作するビジネス系やクリエイティブ系のアプリ(Word、Excel、PowerPoint、Adobe製品、CADソフトなど)は、当然ながら動作しません。
これらのアプリを仕事や勉強に使う人は選択肢には入れられないでしょう(もちろんこれらのアプリが「HarmonyOS NEXT」向けにリリースされれば話は別ですが、その可能性は限りなく小さいです)。
フェアに比較:どんな人に向いてる?向いてない?
とはいえ、すべての人に HUAWEI のノートパソコンが不向きというわけではありません。以下の表を参考に、自分がどのケースに当てはまるかチェックしてみてください。
利用スタイル | おすすめ度 | コメント |
---|---|---|
ネット閲覧や動画視聴だけ | △ | 当面は問題ないが、将来の対応には不安あり |
Office や Adobe などのアプリで作業する | × | 互換性やサポートの面で業務用途には不向き |
Linux など、PC に関する知識がある上級者 | ◯ | リスクを理解していればコスパは高い |
ネットや動画視聴だけなら、すべてブラウザで完結するので、大きな問題にはなりません。問題なのは、先にも述べましたが Windows 向けのアプリを使う場面ですね。万が一、Windows が使えなくなった時のことを考えるとおすすめはできません。
逆に PC をバリバリとカスタマイズして遊ぶユーザーなら、コスパよく楽しめるマシンと言えるでしょう。低コストでハイスペックなマシンが手に入るので、色々と遊べると思います。
なお、HUAWEI 製品に関しては、過去に一部の国や企業で「バックドアの可能性がある」と報じられたこともあります。これらの報道は HUAWEI 側が一貫して否定しており、明確な証拠が示されたわけではありませんが、セキュリティ上のリスクを懸念する声があるのも事実です。
一般家庭での利用で過剰に心配する必要はありませんが、機密性の高い業務や企業利用では慎重に判断した方がいいでしょう。個人的には、仕事で使う場合は避けた方が無難のような気がします。
まとめ:安さの裏にある「リスク」に要注意
HUAWEI のノートパソコンが安くなっているのは魅力的に見えますが、それにはきちんとした理由があります。2025 年 3 月以降、Windows のサポートやライセンス供給に大きな制限がかかることが確定しており、安易に手を出すと「Windows が再インストールできない」「アップデートが止まる」といった問題に直面する可能性があります。
まとめると、
- HUAWEI のノートパソコンは、Windows ライセンスの関係で、今後のサポートが期待できない
- 初心者や長期利用を前提としたユーザーにはおすすめできない
- リスクを理解し、自分で対処できるユーザーであれば購入の価値はある
価格の魅力だけで判断せず、自分にとって必要な PC の条件をよく考えたうえで判断するようにした方がいいでしょう。
コメント