0から始める著作権

  このブログでは著作権について解説していきます。

著作権の種類には何があるのか(2)

前回のブログで、貴方が自分が見た夢の内容をミニ小説にして、それをブログで公表したとき、著作者である貴方が、ミニ小説(言語の著作物)について、複製権という種類の著作権を持つことになる、という話をしました。

さて、貴方が複製権という種類の著作権を持ったのは、夢の内容をミニ小説にしたときでしょうか、それともそれをブログで公表したときでしょうか。

 

実はこれについては著作権法で定めがあります。貴方が個人として、夢の内容をミニ小説にした場合は、ミニ小説にした時点、すなわちミニ小説を創作した時点で複製権が発生します。

では、いつその複製権は消滅するのでしょうか。これも定めがあり、貴方が他界した後70年間存続します(正確には70年後の12月31日まで存続します。)。

つまり、貴方が今日ミニ小説を創作し、今後30年以上生きるとすると、貴方が持った複製権は今日から100年以上も存続するのです。結構長いですよね!

 

 

しかし、著作者が異なると、話が変わります。

以前のブログで、会社などの法人が著作者になることがあると述べました。

仮に貴方が会社を経営しており、その会社の名義でミニ小説を公表した場合、ミニ小説を創作した時点ではなく、公表した時点で複製権が発生します。この場合、複製権の存続期間は、公表後70年になります。

例えば、会社のウェブサイトに会社の名義でミニ小説を今日初めて掲載した場合、今日(公表日)から複製権が発生し、その複製権は70年間存続します(正確には70年後の12月31日まで存続します。)。

 

このように、著作者が誰であるかによって、複製権が発生する時点と、トータルの存続期間が変わってくるのです。

著作者が誰か、ということが極めて重要になっています。

 

(余談)

皆さんは、奈良時代の三世一身の法と、墾田永年私財法はご存知ですよね。中学や高校の時に出てきました。親が開墾した土地を子と孫の代(三世代)まで所有できるというのが三世一身の法です。三世代というと70~100年くらいでしょうか。ちょうど今の複製権の存続期間と一致しますね。

その後、土地の開墾を推し進めるため、大和朝廷は墾田永年私財法を制定しました。この法により開墾した土地が永久所有できるようになり、農民の開墾モチベーションが高まりました。増えた土地をどう守るか、そこで武士が台頭してきました。日本史が変わっていく大きな転換点になった法律ですね。

・・・

似ていませんか。。優れた著作物の創作を奨励するために、自分が創作した著作物の複製権は永久に自分(または会社)やその関係者のものになる。そういう時代が来るのかもしれません。

この点は、情報資本主義、権利主義社会の話に関わりますので、今後機会があれば触れていきたいと思います(^^)

 

法律・法学ランキング
法律・法学ランキング

にほんブログ村 資格ブログ 資格取得 ビジネススキルへ
にほんブログ村