読書記録

【日本ミステリの金字塔】十角館の殺人【ネタバレあり】

あらすじ

十角形の奇妙な館が建つ孤島・角島を大学ミステリ研の7人が訪れた。館を建てた建築家・中村青司は、半年前に炎上した青屋敷で焼死したという。やがて学生たちを襲う連続殺人。ミステリ史上最大級の、驚愕の結末が読者を待ち受ける! 1987年の刊行以来、多くの読者に衝撃を与え続けた名作が新装改訂版で登場。(講談社文庫)

すべてはここから。清冽なる新本格の源流!大学ミステリ研究会の七人が訪れた十角形の奇妙な館の建つ孤島・角島。メンバーが一人、また一人、殺されていく。「十角館」の刊行から二十年。あの衝撃を再び! 

Amazonより

書籍情報

作 者:綾辻 行人

出版社:講談社

発売日:1987年9月5日

『十角館の殺人』は綾辻行人が手掛ける長編推理小説である「館」シリーズの記念すべき第1作目。全10作で完結予定。

新本格ミステリの始祖

日本のミステリ界に大きな影響を与え、新本格ブームを巻き起こしたとされている1冊です。現代の日本ミステリ小説は綾辻行人以前、以後で分断されると言っても過言ではありません。

新本格ミステリとは

1987年の綾辻行人デビューが起点とされるミステリ小説のムーブメントです。綾辻や同世代の作家たちは本格ミステリの犯人探しや意外なトリックに、ユニークな探偵や舞台設定で趣向を凝らし、新たなブームを作りました。現代のミステリ小説にも影響を与えた。

登場人物の紹介

主要登場人物たちは大分県K大学の推理小説研究会のメンバーです。この研究会ではちょっとかわった伝統があります。それは「主要メンバーはそれぞれ有名な推理作家にちなんだニックネームで呼ばれている」ということです。

推理小説研究会

  • ポウ・・・・・医学部4回生。オルツィとは幼馴染。
  • カー・・・・・法学部3回生。エラリイとは衝突が多い。
  • エラリイ・・・法学部3回生。会誌『死人島』の現編集長。
  • ヴァン・・・・理学部3回生。叔父が角島を購入したことを研究会に伝える。
  • アガサ・・・・薬学部3回生。ソフト・ソバージュの長い髪をした女性。男性的な性格。
  • オルツィ・・・文学部2回生。ポウとは幼馴染。
  • ルルウ・・・・文学部2回生。会誌『死人島」の時期編集長。

青屋敷の関係者

  • 中村 青司・・建築家で十角館の設計者。半年前事件で死亡している。
  • 中村 和枝・・青司の妻。半年前の事件で死亡している。旧姓は花房。
  • 中村 千織・・青司の娘。1年前に急死した。
  • 北村・・・・・住込みの使用人夫妻。半年前の事件で死亡している。
  • 吉川 誠一・・庭師。半年前の事件では遺体が見つからず行方不明とされている。

本土にいる人物

  • 島田 潔・・・寺の三男で中村紅次郎の友人。次兄の修は大分県警警部。
  • 江南 貴明・・研究会の元会員。ニックネームは「ドイル」。
  • 守須 恭一・・江南の友人。怪文書をきっかけに事件に興味を持つ。
  • 中村 紅次郎・高校教師。中村青司の3歳下の弟。潔の大学の先輩。
  • 吉川 政子・・吉川誠一の妻。結婚前は紅次郎の紹介で青屋敷で働いていた。
  • 島田  修・・・大分県警の警部。潔の兄。

話の構成と各話のあらすじ

プロローグ、エピローグと1日目~8日目で構成されています。また、1日目~4日目までは殺人の舞台となる角島と本土での調査の両方の視点で物語が進んでいきます。

話の構成

プロローグ

第1章:1日目-島 第2章:1日目-本土

第3章:2日目-島 第4章:2日目-本土

第5章:3日目-島 第6章:3日目-本土

第7章:4日目-島 第8章:4日目-本土

第9章:5日目   第10章:6日目

第11章:7日目  第12章:8日目

エピローグ

プロローグ

この物語はこれから殺人を実行しようとする犯人による独白から始まります。そして犯人は実行を予定している計画の内容を何枚かの紙片にまとめてガラス瓶に入れます。それを海に投げて己の良否をあらゆる生命を生み出した海に託すのでした。

1日目:島

動き出す運命

ヴァンの叔父が角島を購入したことがきっかけで研究会メンバー7名は旅行で角島にある十角館を訪れます。ヴァンは準備のため一足先に角島へ上陸するが、風邪をひいてしまう。十角館は名前の通り十角形をしていて、家具から食器にいたる、あらゆるものが十角形をしているのでした。

角島訪問の目的

この角島では過去に悲惨な事件が起きています。その事件の真相は迷宮入り。ミステリ好きの彼らは事件の真相を解明するためにこの角島を訪れたのです。

事件の概要

角島には以前、青屋敷と呼ばれるものがありました。十角館と青屋敷は中村青司という建築家が設計したもので妻の和枝と使用人の北村夫妻、そして庭師の吉川の5人で暮らしていました。しかし、青屋敷で謎の炎上が発生して庭師以外の4人は遺体で発見され、その体内からは大量の睡眠薬が検出されます。遺体が見つからない庭師の吉川が犯人では?と思われますが、証拠もなく事件は未解決のまま。

角島の探索

研究会メンバーは未解決事件を解決するため、島を探索しますが手がかりをみつけることはできません。そんな中オルツィは死者の追悼のために島を訪れたという。ただ、その死者が誰であるのかはこの時点では明かされていません。

1日目:本土

謎の手紙

「お前たちが殺した千織は、私の娘だった」と記された手紙が元推理小説研究会の江南のもとに届きます。彼のニックネームは「ドイル」。差出人には「中村青司」と書かれているが、心当たりがない。

中村千織とは

中村千織は元推理小説研究会のメンバーですでに亡くなっている。江南はこの事件もあって推理小説研究会を辞めたのでした。千織の死因は急性アルコール中毒による持病の心臓発作。江南は用があって途中で退席したため、当時の詳しい状況は知りません。彼は千織の葬式に参加しましたが、喪主は父の青司ではなく彼女の祖父だったとのこと。

島田潔との出会い

千織の祖父宅に連絡をとり、青司の弟である紅次郎の住所を聞き出すことに成功する。紅次郎を尋ねるとなんと紅次郎の元にも手紙が届いていたことが判明。しかし、青司の遺体は自分が確認した、青司の生存はありえないと一蹴される。先客として紅次郎宅にいた紅次郎の友人である島田潔とともに退席する。その後、江南は暇で興味を持ったという島田と事件について話し合います。

青屋敷炎上事件の謎

警察にツテがあるという島田は事件の概要を話します。警察の見解では庭師の吉川が犯人だということ。しかし、いくつかの疑問点もある。

①青司の妻・和枝の左手首か切り取られていたが、なぜ切り取ったのか、またどこへやったのか。

②逃走経路について、島に一隻しかないモーターボートは入江に残されていたため、犯人は泳いで本土に渡るしかないが、九月下旬の海をわざわざ泳ぐだろうか。

③和枝の殺害を皮切りに殺人が行われますが、最後の青司が殺害されるまでは一日か二日のタイムラグがあるのはなぜか。

吉川の動機として考えられるのは二つ。青司の財産目当てか、もしくは和枝への横恋慕。

守須恭一

江南と同様に途中退席した守須恭一の元にも江南と同じ手紙が届く。そんな中江南から電話がかかってくる。彼は島田とともに守須の家を訪れます。守須は紅次郎が犯人ではと疑いますが、事件の夜から翌朝にかけて自分と一緒だったと島田が証言します。守須も推理小説研究会のメンバーが角島に行っていることを知っていますが、彼は悪趣味ということで断ったのでした。守須から①江南と島田は三次会に参加したメンバーの家を全て確認する②安心院に住む吉川の妻をたずねることを提案されます。その提案を受け入れた江南と島田は守須も誘いますが、国東の磨崖仏の絵を描きに毎日行っていることを理由に断られます。

2日目:島

朝、ホールにあるテーブルに奇妙なプレートが置いてあります。プレートには『第一の被害者』、『第二の被害者』、『第三の被害者』、『第四の被害者』、『最後の被害者』、『探偵』、『殺人犯人』と書かれています。誰が置いたのかと聞いても名乗り出る者はいません。その後、この件を気にする人はいませんでした。ただ一人オルツィを除いては…

ヴァンは前日に引き続き体調がよくありませんでした。熱もあり風邪のようです。前日同様、早々に自分の部屋へと引き上げていくのでした。そんな中、カーはヴァンがプレートを置いた犯人なのではと疑いますが、みんなが彼をかばい大事には至りませんでした。

2日目:本土

手紙の確認と吉川の妻を訪問

江南は三次会に参加したメンバー全員にあの手紙が届いていることを確認する。その後、島田と合流して、吉川政子の元を訪ねます。政子は連絡がないため、吉川がすでに死んでいると考えています。また、角島の事件も吉川は犯人ではないと信じていました。さらに青司には財産が残っていなかったためそれが動機による殺人も否定する。

青司と紅次郎の不仲

江南と島田は吉川政子宅をあとにすると紅次郎を訪問しますが出てきません。紅次郎は青司より和枝の死にショックを受けていたため、和枝の不義の相手は紅次郎ではないかそれが原因で青司と紅次郎は不仲になったのではと推理する。

守須の推理

江南と島田は本日の報告をするため守須宅を訪れる。すると、守須は青司とされている焼死体は、実は吉川で青司が生きているのではと青司生存説を提示。島田もこの意見に賛同します。動機については島田が「千織が実は紅次郎と和枝の娘で青司の娘ではなかった」という説を提示。ところがここで、守須は急に態度を変え、あまり詮索しないほうがいいとこれ以上の捜査を反対し、自分は降りるといいます。江南は彼の態度に疑問を感じつつも、島田に付き添って捜査を続けることにします。

3日目:島

オルツィの死

朝、アガサがオルツィの部屋の名札から『第一の被害者』というぽレートが貼られていることに気が付きます。アガサの悲鳴を聞き他のメンバーも駆けつけてオルツィの部屋に入ります。するとそこには絞殺されたオルツィの遺体がベッドに横たわっていました。さらにオルツィの左手首がありません。まるで和枝の殺人に見立てているようでした。ポウは誰もオルツィの遺体に近づけさせようとせず状況確認を行います。死後四~五時間が経過していて、全員が寝ていてアリバイはありません。また動機はカーがオルツィに告白して振られたことしか思い当たらず、当然、彼もそれを否定。そんな中、エラリイは外部犯の可能性を提示する。その外部犯とは中村青司のことで彼は生きておりこの島のどこかに隠れていると考えていました。

カーの死

夜、これからのことを相談するため全員がホールに集まり、人数分のコーヒーがアガサによって準備される。すると、コーヒーを飲んだカーが突如苦しみ出します。ポウは毒が原因だと考えますが、種類が分からないため対処のしようがなく、カーは息を引き取ります。状況からして、コーヒーを淹れたアガサにしか犯行は不可能ということになります。

しかし、カップをとった順番や全て同じ形をしていることから、どうやってアガサが毒を回避したのかという問題が浮上。ただ、これにアガサは黙っていません。あえて不利な状況を作り出すのは不自然だと反論。また、カプセルを使えば犯行が可能な人物が増えるため結論は出ません。あらかじめ毒が塗ってあり、カップに何か目印があるのではと調べますが、そういったものは見当たりません。疑われたことでアガサはヒステリックを起こし部屋に先に戻ります。

3日目:本土

江南と島田は角島に近いS町を訪れて付近の住人や漁師から話を聞きますが、有力な証言は得られません。帰ろうとしたその時、二人は一人の若者に声を掛けられます。彼は父親と共に推理小説研究会のメンバーを角島に送った本人で、今度の火曜日に迎えに行くのだといいます。また、彼によると今ぐらいの気候であればモーターボートで本土と島を行き来することも可能だということが判明します。

4日目:島

血まみれの手首

オルツィと同様、カーの部屋には『第二の被害者』と書かれたプレートがつけられていました。プレートを処分しようとなりましたが、なんと引き出しの中には六枚残されていました。つまり、プレートはもう一組あり犯人が持っているものと推測されます。

また浴室から血まみれの手首が発見され、それはオルツィではなくカーのものであると判明。しかし、切り取る理由が分かりません。

地下室の発見

その後、5人は青屋敷の焼け跡に行って地下室を探します。すると焼け落ちた壁の一部に動かした跡があり、持ち上げると地下室へと向かう階段を発見。エラリイが先陣を切って中に入りますが体制を崩して中に落ちてしまいます。足元にテグスが張ってあるのをポウが見つけます。テグスを避けて下に降りるとエラリイは足を挫いていたものの無事でした。夕食後、前日に比べてヒステリックさが増しているアガサにポウは睡眠薬を飲んで寝ることを勧めます。最初アガサは難色を示すが、ポウが先に飲んだことで自分も飲んで部屋に戻ります。

4日目:本土

紅次郎宅へ訪問

江南と島田は再び紅次郎を訪ねます。一昨日の不在の件を質問すると「家にはいたが論文のために居留守をしていた」と言います。加えて島田は「千織が紅次郎の娘ではないか」と聞きますが紅次郎は否定する。さらに青屋敷が燃える前日の夜に青司から紅次郎に連絡があり事件発生を知っていたのではないか。和枝の左手首も送られてきていたのではないか。と質問を続けます。というのも青屋敷が燃える前日の夜に島田と紅次郎は一緒に酒を飲んでいたのです。そのとき普段めったに酒を飲まない紅次郎は酔いつぶれて「和枝、許してくれ、私を許してくれ」と繰り返していた。ここまでの島田の推理を聞いた紅次郎はついに事実だと認めます。

守須が江南宅を訪問

守須は江南宅を訪ねますが不在だったため向かいの喫茶店で待つことにします。しばらくすると守須のバイクを見つけた江南たちがやってきます。江南の部屋に移動して紅次郎から聞かされてた話と青屋敷炎上事件は青司が図った無理心中だったことを守須に伝えます。千織は紅次郎と和枝との間にできた娘で彼女が亡くなると青司は和枝の殺害を決心します。和枝の左手首が紅次郎の元に送られてきた時に紅次郎は青司へ電話をします。その時に青司は自身も死ぬつもりだと話していたことから青司生存説はありえないと紅次郎は主張していたのでした。また紅次郎は和枝の左手首を庭に埋めたと自供した。これで青屋敷炎上事件の真相が明らかになりましたが、送られてきた手紙と吉川の行方が謎のままです。あとは研究会のメンバーが角島から帰ってきたら事情を聞くことでかたがつきました。

5日目

ルルウとアガサの死

朝目覚めるとルルウは中村千織が青司の娘だと気づきます。一方そのころアガサは洗面所で口紅を塗っていました。そしてヴァンが目覚めると洗面所のドアが空いていることに気づいて、中を見てみるとアガサの死体がありました。アガサの死因は青酸による毒殺でした。さらにルルウが起きてこないので呼びに行くと部屋には「第三の被害者」とかけられていました。つまり、アガサは4番目の被害者だったのです。ルルウは部屋にいなかったためエラリイとポウは手分けしてルルウを探します。しばらくしてエラリイが青屋敷跡でルルウの遺体を発見します。死因は撲殺で死後5〜6時間が経過していました。

これまでの状況

残るプレートは「最後の被害者」「探偵」「犯人」です。しかし、誰も犯人だとは名乗り出ません。状況を整理していく中でカーが亡くなった時のカップを改めて調べてみることになりました。すろと、十角形のカップの中に一つだけ十一角形のカップがあることが判明します。これにより誰にでも犯行が可能だということになります。

謎の足跡

突然雨が降り出し、エラリイは足跡のことを思い出してルルウの遺体があった場所へ飛び出していきます。エラリイとポウとヴァンの3人は雨で足跡が消えてしまう前に記憶します。その結果、自分たちやルルウの足跡を消すと犯人のものと思われる足跡のみが残りました。その足跡は階段とルルウの死体の往復しかしておらず、しかも階段の下には海しかありません。地上方面へ戻ればいいのにどうして海の方へ戻ったのでしょう。ここでエラリイは犯人が外部犯でゴムボートを使い角島付近にある猫島と角島を行き来したと推理します。そして、犯人は青司でルルウに姿とゴムボートを発見されたので殺害したと考えます。

ポウの死

エラリイの推理を聞いていると、突然タバコを吸っていたポウが苦しみ出してそのまま亡くなってしまいます。ポウの死因も青酸による毒殺でした。ポウが持っていたタバコの一本に青酸が塗られたものが混ざっていたのです。

残ったエラリイとヴァン

エラリイは青司が犯人だと断言します。青司なら十角館のマスターキーを持っているから自由に立ち回れると推理します。一方、ヴァンは十一角形のカップに着目して十一番目の部屋があるのではと考えます。そこで館内を捜索すると厨房の床下収納庫の底板に穴があり、そこに十一角形のカップを合わせると地下隠し部屋へと続く階段が出現しました。二人は降りていきますが、強烈な異臭に顔をしかめ、驚愕します。そこには半ば白骨と化した人年の死体がありました。そしてその夜、十角館は燃え上がるのでした。

6日目 ※衝撃の一行

十角館全焼

朝、守須に電話がかかってくる。内容は十角館が燃えてそこに来ていた全員が亡くなってしまったというものでした。守須は江南に電話して状況を説明します。2人はS町へ向かい、島田も呼びます。守須は青司の生存を、島田は紅次郎を疑います。しばらくすると警察の船が戻ってきたため3人は警察に合流する。捜査官の中に島田の次兄である島田修がいたため事件の内容を教えてもらいます。すると遺体は一体を除いて焼かれる前に死んでいる一体については焼死で自殺の可能性が高いとのこと。さらにその焼死体は松浦純也という人物だと判明。江南の証言から松浦のニックネームはエラリイだとわかる。

衝撃の事実

島田修は江南から推理研究会の一部のメンバーには海外の有名小説家の名前をニックネームにして呼びあっていたことを知らされる。

島田:「江南君にも、研究会に入っていた時分にはあったんですかな、同じようなカタカナの呼び名が」 

江南:「ええ、まあ」

島田:「何といったんです」 

江南「恥ずかしながら、ドイルです。コナン・ドイル」

島田:「ほほう。大家の名ですな。守須君はじゃあ、モーリス・ルブランあたりですか」

綾辻行人. 十角館の殺人〈新装改訂版〉 「館」シリーズ (講談社文庫) (pp.319-320). 講談社. Kindle 版.

7日目

この事件は新聞で大々的に報じられます。また紙面に実名が掲載されたことで、それぞれの実名が判明します。さらに地下室から白骨化の進んだ変死体が発見され、行方不明となっていた吉川のものであるとの見方が強まっていました。

エラリイ=松浦 純也

ポウ=山崎 喜史

カー=鈴木 哲郎

アガサ=岩崎 杳子

オルツィ=大野 由美

ルルウ=東 一

8日目

警察の事情聴取

警察は推理小説研究会の会員を10人ほど部室に呼んで事情を聞きます。ここで守須は叔父に十角館へいけるように頼んだことと部屋数の関係で自分は辞退したことを話します。というのも薬室は7部屋あったのですがそのうちの1部屋はとても使える状態ではなかったことが明かされます。

守須恭一と中村千織の関係

守須と千織は研究会メンバーに秘密で付き合っていました。千織の死のきっかけとなった6人に復習しようと今回の計画を描いたのでした。

計画の全貌

守須が犯人だと確定しますが、独白のため他の人は守須が犯人とは思っていません。ずっと復讐の機会をうかがっていました。そんな中、叔父から角島を手に入れたと聞かされて今回の計画を思いつきます。まず守須はメンバーには自分も同行しているように思わせ、島の外にいる人間には自分以外の6人しか島に渡っていないようにみせる必要がありました。
そこで青司の名前で手紙を出します。守須の読み通り江南は持ち前の好奇心から調査して守須の元へ相談に来るのでした。6人が島へやって来る前日、伯父に借りた車に伯父のエンジン付きのゴムボート、ボンベなどを積み、海岸に一旦隠します。車を戻すと、一度自宅に戻り、夜に今度はバイクで海岸へ移動。隠しておいたボートで島に上陸し、十角館の使えない部屋を先に確保し、寝袋で休みます。その後は島と本土を往復して殺人とアリバイ工作を繰り返します。

エピローグ

海岸にいる守須は復讐を成し遂げたにも関わらず虚無感に襲われていました。そこに島田がやってきます。島田は警察が捜査を打ち切ってもなお事件を調査していました。守須は島田が真相にたどりついたのではと無視して水辺にいきます。すると、足元にキラリと光るものを見つけます。それは彼が海に投げた、事件の詳細を書いた紙片の入ったガラス壜でした。

彼は審判が下ったのだと観念します。壜を拾うと近くにいた一人の男の子を呼び止め、島田にこの壜を渡すようお願いするのでした。

まとめ

十角館の殺人のポイントは叙述トリックと思い込みにあります。今回登場した推理小説研究会のメンバーには有名作家のニックネームが与えられていました。江南と守須にもニックネームがあります。江南は名前の通り『コナン・ドイル』からとってドイルと呼ばれていたため、守須も『モーリス・ルブラン』だと思いこんでしまいます。そのため、守須とヴァンは別人だと考えてしまいます。さらに島と本土の往復はできないという先入観から犯人は島にいる7人と青司の中にいると思ってしまいます。また、読者の中にはヴァンと守須のタバコの銘柄が同じだから同一人物では?と気づいた人もいたそうです。私は全然わかりませんでした。

私は最初に殺されたオルツィが千織の親友だったこと、オルツィとオルツィの検死をしたポウが幼馴染だったこと、そして検死をしたポウがオルツィの遺体にメンバーの誰も近づけさせなかったことからオルツィは実は生きていて殺人をしていたのではと推理していたんですがハズレでした(笑)。

実写ドラマ化

”あの一行の衝撃”を実写化することは長年の間、不可能だといわれていました。しかし、Huluオリジナルドラマとして実写化を果たしました。

基本情報

配信サイト:Hulu

配 信 期 間:2024年3月22日

エピソード:全5話

テ ー マ 曲:低血ボルト ずっと真夜中でいいのに

キャスト

推理小説研究会

  • エラリイ・・・望月 歩
  • アガサ・・・・長濱 ねる
  • ルルウ・・・・今井 悠貴
  • ポウ・・・・・鈴木 康介
  • ヴァン・・・・小林 大斗
  • オルツィ・・・米倉 れいあ
  • カー・・・・・瑠己也
  • 中村千織・・・菊池 和澄

主要人物

  • 江南 孝明・・・奥 智哉
  • 島田 潔・・・・青木 崇高
  • 松本 邦子・・・濱田 マリ
  • 島田 修・・・・池田 鉄洋
  • 吉川 誠一・・・前川 泰之
  • 中村 和枝・・・河井 青葉
  • 吉川 政子・・・草刈 民代
  • 中村 紅次郎・・角田 晃広
  • 中村 青司・・・仲村 トオル

おわりに

日本ミステリ界の金字塔『十角館の殺人』をご紹介しました。一行ですべてがひっくり返るあの衝撃は一生モノです。まだ読んだことない人はぜひ読んでみてください。私は記憶をなくして読みたい(笑)。Huluで実写ドラマも配信されていますので小説はちょっとという人はこちらを見てみるといいかもしれません。原作を忠実に再現されていてかなりハイクオリティです。