中国のデリバリー配達員に社会保険導入の流れ

中国のデリバリー業界が新たな変革を迎えるかもしれません。

最近、中国の大手プラットフォーム企業である美団（Meituan）と京東（JD.com）は、全職のデリバリーライダー（配達員）に対して社会保険を提供することを発表しました。

この動きは、中国社会保障部門が推し進めている新しい就業形態における労働者の権利保護の政策に応じる形で、デリバリーライダーの労働権利を保障する重要な一歩として注目されています。

2025年3月1日から、京東は全時間で働く配達員に対して5つの保険と住宅積立金を提供し、パートタイムの配達員にも労災保険や健康保険を提供すると発表しました。

美団も同日、全職および安定したパートタイムの配達員に対して、2025年第2四半期から順次社会保険を提供する予定です。

この決定は、これまで労働関係が不明確で事故時の保護が不十分だったデリバリーの配達員にとって大きな意味を持つものです。

特に、労働災害のリスクを抱えながら、老後の心配もある配達員にとって、労災保険と社会保険がもたらす保障は非常に重要です。

この新たな方針は、企業にとっては人件費の増加を伴いますが、長期的には経験豊富なライダーの定着を促し、採用や研修のコストを削減することができるという見方もあります。

さらに、ライダーの職業的な認知度や帰属意識が高まり、仕事の安定性が増すことで、全体的なサービスの質向上にもつながると期待されています。

中国では、デリバリーの配達員は1000万人以上に達しており、就職難の中国では不可欠な存在となりつつあります。

美団や京東が実施する社会保険の提供は、業界全体に規範を促し、他のプラットフォームにも影響を与える可能性があります。

競争が激化する中で、これまで価格競争にとどまっていたデリバリープラットフォームの戦いが、今後は配達員の待遇改善やサービス向上に移行することになるでしょう。

このような施策がもたらす影響について、浙江大学の研究員である袁氏は、「デリバリー業界の基準が引き上げられ、企業が社会的責任を果たすことで、社会全体にも貢献する」と述べています。

また、ライダーの権利保障が進むことで、業界がより健全な方向に向かうことが期待されています。

このような動きが、今後中国の労働市場やプラットフォーム経済に与える影響はどれほど大きいかを注目されます。

参考：美团京东同天宣布将为全职骑手缴纳社保，将对外卖行业带来怎样的影响？