夢を食べる幻獣・獏とは?伝説と実在のバクの違いを解説
「バク」と聞いて、あなたは何を思い浮かべるでしょうか?
一つは、東南アジアに生息する白黒のツートンカラーの動物「マレーバク」。もう一つは、日本や中国の伝承に登場する「夢を食べる幻獣・獏(ばく)」です。
バクは、日本では悪夢を食べる神秘的な存在として語られてきました。しかし、なぜこのような伝説が生まれたのでしょうか?また、実在するバクと伝説の獏にはどのような関係があるのでしょうか?
本記事では、夢を食べる幻獣・獏の伝説と実在のバクの違いを解説していきます。
バクの伝説
起源:中国から日本へ
バクの伝説は、中国の古典にそのルーツがあります。例えば、明の時代に編纂された『本草綱目』には、バクが邪気を祓う動物として記述されています。また、唐の時代の書物には「獏の皮で作った敷物に寝ると悪夢を見ない」という記述もあります。
日本には、平安時代に中国の伝承が伝わり、「獏は悪夢を食べる存在」として定着しました。特に江戸時代の『和漢三才図会』では、「獏は人が見た悪夢を食べることで、持ち主を災いから守る」と説明されています。
夢を食べる力と信仰

日本では、「悪夢を見たときには『獏よ、私の悪夢を食べてください』と唱えれば、夢を消してくれる」という民間信仰がありました。 また、江戸時代には「獏枕(ばくまくら)」と呼ばれるお守りが存在しました。これは、獏の絵が描かれた枕や、獏の形をした彫刻を枕元に置くことで、悪夢を防ぐというものです。
このように、バクは日本人にとって「夢を食べてくれる守り神」のような存在だったのです。
実在のバクとは?
バクの種類と生態
実在するバクは、アメリカバク、マレーバク、ブラジルバクなど、世界に4種類が知られています。その中でも、日本でよく知られているのは「マレーバク」です。
マレーバクは、白と黒のツートンカラーの体を持ち、東南アジアの熱帯雨林に生息しています。見た目はカバやイノシシに似ていますが、実は馬やサイに近い動物です。
伝説との関係
では、実在するバクが「夢を食べる幻獣・獏」と結びついたのはなぜでしょうか?
一説によると、古代中国ではバクの皮が貴重な素材とされ、「バクの皮を持つと悪霊を払える」と考えられていました。そこから転じて、「バクは悪夢を食べる」という伝説が生まれたのではないかと考えられています。
現代におけるバクの影響
アニメ・ゲームに登場するバク

バクの伝説は現代のポップカルチャーにも影響を与えています。
例えば、ポケモンシリーズの「ムシャーナ」や「バクーダ」は、バクの伝説をモチーフにしています。また、妖怪ウォッチにも「バク」というキャラクターが登場し、夢に関する能力を持っています。
お守りとしてのバク
現代でも「バクの力で悪夢を祓う」という考えは残っており、日本の神社やお寺では「バクを模したお守り」を見かけることがあります。
結論:バクは幻獣か、それとも…?

バクは、現実に存在する動物でありながら、伝説の幻獣としても語り継がれています。
「夢を食べるバク」は、古代中国の信仰が日本に伝わることで独自の発展を遂げました。一方で、実在のバクも神秘的な外見を持ち、人々の想像力をかき立てる存在だったのです。
あなたも、悪夢を見たときには「獏よ、私の夢を食べてください」と唱えてみると、少し気持ちが楽になるかもしれませんね。