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秩父札所20番【岩之上堂】同じ河岸段丘の上でも「龍石寺」とは異なる趣きあり

秩父札所巡り
岩之上堂

【岩之上堂】基本情報

法王山 岩之上堂
■住所:埼玉県秩父市寺尾2169
■駐車場:あり
■電話:0494-23-9419
【御朱印受付 基本情報】
■受付時間:8:00~17:00
 ※11月~2月は16:00まで
 ※12:00~12:30は昼休憩
■定休日:なし
■御朱印料:500円
 ※2巡目以降は200円

荒川の河岸段丘の上にある寺院。発祥は定かではないが、室町時代の応仁年間(1467~1469)には兵乱のために堂宇が廃れてしまい、本尊のみが岩の上に立っていたという言い伝えが残っている。3間(約5.5m)四面で方形造りの現在の本堂は、元禄16年(1703)に村を支配していた内田政勝が再建。そういった経緯のために岩之上堂には僧侶がおらず、秩父札所で唯一の個人所有の堂宇となっている。秩父札所では最古の建物のひとつとされ、元禄年間(1688~1704)に内陣を、宝永年間(1704~1711)に彫刻をそれぞれ補修。本尊の聖観音菩薩は平安時代中期~後期の藤原時代の作とされる。なお、室町時代の長享2年(1488)の秩父札所番付では20番札所になっており、当時から番号が変わっていないのは岩之上堂のみだ。

Kとの秩父札所巡りで22番目に訪れたお寺。
荒川の西岸にあり、秩父市街から向かう場合は国道299号を北上して秩父橋を渡ったのち、荒川に向かって細い道を入った先にある。

石段を下った先にある「岩之上堂」

「岩之上堂」に着いたとき、ワタシはちょっと驚いてしまった。
ワタシの中でお寺というと石段を上って…というイメージが強かったのだが、「岩之上堂」は逆に石段を下りて観音堂に向かうようになっていたからだ。
かつては荒川の東岸から舟で川を渡り、観音堂の下にあった「乳水場」と呼ばれる奥の院から石段を上ってお参りしたとか。ただし、現在は歩道が危険なため、奥の院は非公開になっている。

駐車場近くから見た「岩之上堂」。

境内は春になると桜やコブシ、初夏はツツジ、さらには秋の紅葉など季節の花々が楽しめるという。
観音堂へと続く参道を歩いているだけでも、こちらの庭園は手入れが行き届いているという印象を受ける。

「岩之上堂」は河岸段丘の斜面にあるのだが、緑豊かで木々に囲まれているため、ここが岩の上であることを忘れてしまう。そのため、斜面にある風雅な庭園を散策しているような気分に浸れた。

秩父札所で最古とされる観音堂で目を引くのが、堂内の外陣に飾られた大きな瓔珞ようらくだ。
瓔珞とはもともと仏像の飾りなのだが、秩父札所では堂内の装飾に用いられている。これは綿と小さな布で縫った1000個の小さな猿(さるこ)をひもでつないで傘状に吊るしてあり、千疋猿とも呼ばれるものだ。
なお、堂内には他にも「観音霊験記」の扁額もあるのだが、中は撮影禁止なので要注意。

中には2間(約3.6m)ほどの石畳がある。
こちらが堂内の瓔珞。かなり大きい。
向拝の彫刻。

静かな境内でゆっくりとした時間を…

ワタシたちが「岩之上堂」に着いたのは昼休み直前の11時50分頃。すぐにお参りして御朱印をいただくというドタバタを久しぶりにやってしまった。
こちらの納経所では瓔珞でも見かけた小さな猿(さるこ)が売られていたので購入する。

「岩之上堂」の御朱印。
納経所。観音堂の左側にある。

御朱印をいただいたあとは境内を散策。
「岩之上堂」の境内はそれほど広くはなく、荒川が近くを流れているものの、その気配はあまり感じられない。時間が静かにゆっくりと流れているような落ち着いた空間だった。

散策では、まず観音堂の前の摩尼車へ。いつもKが回すのを見守っているだけだったが、今回はワタシも回す。このとき、Kは案内板に書かれた経文を、たどたどしいながらもきちんと唱えながら回していた。ワタシは…ただ回しただけだった。

観音堂の前にある摩尼車。1回まわすとお経を1巻読んだのと同じ功徳が得られるという。
観音堂の右手に並ぶ石仏。
観音堂の裏の高台にある熊野権現社。
権現社は木立の中にひっそりと立っている。

ワタシたちが「岩之上堂」を訪れたのは平日ということもあって他に参拝者は見かけず、ゆっくりと参拝と散策ができた。
近くを国道299号が通っているものの車の音が聞こえてくることもなく、本当に静かなところだった。
納経所の横にはあずまやもあるので、そちらで休みながらのんびりとした時間を過ごしてみるのもいいかもしれない。ワタシたちはバタバタと次の21番札所「観音寺」を目指してしまったが…。

納経所でいただいたおさるさん。

秩父札所34観音霊場」一覧 >

(お出かけ日:2025年2月19日)
※施設情報は2025年3月時点のものです。

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