NHK大河ドラマ『べらぼう』第11話では、浄瑠璃の名手・富本豊志太夫（演：寛一郎）が登場し、富本節「都見物彩色紅葉」を披露するシーンが大きな話題となりました。
江戸時代の粋な音楽文化を象徴する富本節とはどのようなものなのか？また、その背景には、浄瑠璃を統括していた「当道座」の存在がありました。
この記事では、これらのポイントを押さえながら、『べらぼう』をより深く楽しめる内容をお届けします！
太夫とは、能・歌舞伎・浄瑠璃などでの上級芸人のこと。富本節は、義太夫節とどう違うの？江戸の粋な音楽文化、富本豊志太夫と富本節について説明するよ。
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第11話「富本、仁義の馬面」ネタバレ感想：富本豊志太夫の漢気に惚れる
第11話では、蔦重（横浜流星）が吉原の祭りを盛り上げるため、浄瑠璃の名手・富本豊志太夫（演：寛一郎）を招こうと奮闘する姿が描かれました。しかし、富本はかつての因縁から吉原を嫌っており、出演を断ります。そこで蔦重は一計を案じ、彼を説得する作戦に出ました。
富本豊志太夫が披露した浄瑠璃
劇中で富本豊志太夫が披露したのは、富本節の代表曲「都見物彩色紅葉（みやこけんぶつ さいしきもみじ）」。江戸時代中期に人気を博したこの曲は、京の都で繰り広げられる華やかな情景を、艶やかで美しい語りと旋律で表現した作品です。富本の独特な節回しと情感たっぷりの語りは、当時の江戸一帯を一層華やかに彩りました。
浄瑠璃、なんだか風情があるね？あのりつ（安達祐実）もメロメロっぽいし、当時の娯楽の一つとして愛されていたのが伝わるなぁ…。
女郎たちが涙！富本節の美しい語りとは？
富本が浄瑠璃を披露すると、吉原の女郎たちは感動の涙を流します。彼女たちは普段、座敷芸として浄瑠璃を耳にすることはあっても、本格的な語りを目の前で聴く機会はほとんどありませんでした。そのため、富本の名演に心を揺さぶられたのです。
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蔦重はそんな彼女たちの反応を見て、富本に「あなたの語りは人を救う力がある」と説得を試みます。「女郎たちのために、祭りでその声を響かせてくれ」と懇願する蔦重の言葉に、富本も心を動かされていきました。
これは、蔦重の作戦勝ちって感じがする！直前まで女郎たちのおもてなしを受けていたから、彼女らが涙する姿を目の当たりにしたら…たまらないよね。
富本節の正本を出したい！蔦重の思惑と狙い
蔦重は、富本節の披露を単なる芸の見世物ではなく、吉原の復興を象徴するイベントにしようと考えていました。江戸の町人文化の象徴である浄瑠璃を用いることで、吉原の価値を再認識させ、町全体の活気を取り戻そうとしたのです。
また、富本豊志太夫の登場は、鳥山検校（市原隼人）が浄瑠璃の元締めである「当道座」と深い関係を持つことを浮き彫りにしました。浄瑠璃と当道座の結びつき、そして鳥山検校の影響力が今後の物語にどのように絡んでくるのか、ますます目が離せません。
｢随分とそなたに優しい男だな｣
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蔦重の策士ぶりは、見事！もう瀬川が見られないと思ってたけど、鳥山検校を訪ねるシーンで登場してくれて嬉しかったよ～。
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鳥山検校が元締め！浄瑠璃も属した組織「当道座」は、盲人の職能集団
今回、浄瑠璃の元締めが「当道座」で、そのトップである鳥山検校を訪ねたよね。当道座は盲人の人しか入れない集団ではないの？
当道座は、男性盲人の職能集団
当道座（とうどうざ）は、中世から存在した盲人の職能集団であり、江戸時代には幕府公認の組織として確立されていました。主な役割は、盲人の生業である鍼灸（しんきゅう）・按摩（あんま）・音楽などを管理することでした。
特に音楽に関しては、琵琶や琴、三味線の演奏を担うほか、語り物の芸能にも深く関与していました。当道座の最高位である「検校（けんぎょう）」は、盲人社会のリーダー的存在であり、政治的な影響力を持つこともありました。
当道座は73の位階に細かく分けられているそう！そのトップに君臨するのが「検校」で、位を上げるには莫大なお金が必要だったよ。
≫【史実検証】鳥山検校の生涯！江戸時代の盲目の役職の歴史解説はこちら
浄瑠璃の起源に盲人が関与！当道座との関係
浄瑠璃は、物語を節をつけて語る芸能であり、その起源には盲人たちが大きく関わっています。室町時代には、当道座の盲人たちが琵琶法師として活躍し、平家物語などを語り継いでいました。
江戸時代に入ると、浄瑠璃は三味線を伴う語り芸へと進化し、「義太夫節（ぎだゆうぶし）」や「富本節（とみもとぶし）」といったさまざまな流派が生まれました。当道座は、これらの浄瑠璃の流派を統括する立場にあり、興行の許可や演者の認定などを行っていました。
ただし、江戸中期以降になると、盲人以外の語り手が増え、浄瑠璃界における当道座の影響力は徐々に弱まりました。それでも、鳥山検校のような影響力を持つ検校が浄瑠璃の世界にも関与し、太夫や演奏家たちとの関係を築いていた可能性が高いと考えられます。
浄瑠璃も当道座の管理下！当道座のトップである検校は、浄瑠璃の世界でも絶大な影響力があった◎江戸の芸能界を牛耳る存在だったんだね。
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富本豊志太夫の歌に感涙！富本節『都見物彩色紅葉』あらすじ
富本節『都見物彩色紅葉（みやこけんぶつ さいしきもみじ）』は、明和8年（1771年）に初演された浄瑠璃作品です。江戸時代の芸能界では、義太夫節が力強い語りで武士や庶民に人気を博していましたが、富本節はそれとは異なり、優雅で艶やかな語り口が特徴の浄瑠璃として発展しました。
この作品は、江戸の歌舞伎座である中村座で舞踊劇としても上演され、しっとりとした恋物語と華やかな舞台演出で話題を呼びました。富本節は特に粋な大人の恋愛模様を描くことが得意な流派であり、『都見物彩色紅葉』もその代表作の一つとして親しまれています。
京都の秋を舞台にしたロマンチックな話。ちょっと大人の恋愛ストーリーって感じがする…！
物語の舞台は、秋の京都。色鮮やかな紅葉に染まる都を背景に、一組の男女の恋が描かれます。
- ヒロイン：小琴（おこと）
京都の大原から都に炭や薪を売りに来る黒木売り（大原女）で、素朴ながら色香のある女性。庶民ながらも気品があり、美しい声で歌を詠む才能を持つ。 - ヒロインの相手：彦惣（ひこそう）
都見物左衛門は、都見物（＝京都観光）に来ていた風流な若者で、旅の途中で小琴と出会う。洒脱な性格で、京都の文化を楽しんでいる。
小琴と彦惣は偶然出会い、言葉を交わすうちに次第に惹かれ合います。しかし、身分の違いが二人の恋を邪魔し、さまざまな試練が訪れることに。物語のクライマックスでは、情熱的な濡れ場（恋愛の場面）が艶やかに描かれ、当時の観客にとって憧れの恋愛模様として人気を博しました。
タイトルにある「彩色紅葉」が示す通り、物語の背景には色鮮やかな紅葉の景色が広がり、季節は秋。提灯の灯りが揺れる夜の洛中で行われる灯籠踊り（灯籠流しの踊り）の場面など、風雅な行事も織り込まれ、ロマンチックな雰囲気を盛り上げます。
富本節の繊細な旋律とともに語られることで、情感豊かな恋の物語が、より一層美しく響き渡る演目として高い評価を受けています。
恋愛だけじゃなくて、身分違いの切ない要素がある！当時の人たちも、こういうドラマチックな物語に憧れてたのかも！
富本豊志太夫の声に吉原の情景が重なっている演出は、何を示しているのか？このストーリーを知っていれば、じんわり来るね。
江戸時代の人々が夢見た都での恋物語が、富本節の美しい旋律とともに語られた『都見物彩色紅葉』だったのです。
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【解説】富本節「都見物彩色紅葉」歌詞の意味と正本（台本）の内容
蔦重が、正本の版元になりたいと申し出た富本節。正本は本家から認められているってことで、売上が違うって言っていたよね。
正本＝根拠となる原本！公式に認められた台本
『都見物彩色紅葉』の正本（台本）は、江戸時代に刊行され、庶民も手に取れる形で流通しました。当時の浄瑠璃や歌舞伎は、劇場で観るだけでなく、こうした正本を通じて家でも楽しめる娯楽でした。
富本節の詞章は、和歌や風雅な比喩を多用した粋な語り口が特徴です。義太夫節が力強くドラマチックな表現を得意とするのに対し、富本節は優雅で情感豊かな言葉選びが魅力とされていました。
また、歌舞伎の舞台とも密接に関わりがあり、富本節の詞章をもとにした舞踊劇が演じられることも多かったと言われています。
｢太夫の歌は難しく、付け焼き刃でできることではないですが、精いっぱいやらせてもらいました」と豊志太夫役の #寛一郎さん。門之助役の #濱尾ノリタカ さんは
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稽古を経て踊りをマスターし撮影に臨みました。
インスタには別カットも😉
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江戸の人たちって、こういう物語を家で読んで楽しんでたんだね。正本は今のドラマのシナリオ、脚本みたいなもの。
歌詞解説：冒頭とラストの内容
富本節の詞章は、比喩表現や情景描写が豊かで、恋の駆け引きを美しく詠んでいるのが特徴です。
冒頭の歌詞
【解説】
- 「千草の中に恋草」
→ たくさんの草花の中でも「恋草」は特別。つまり、多くの人の中でただ一人の相手を想う気持ちを表している。 - 「月の桂の男ぶり」
→ 「月の桂」は理想の美しい男性の象徴。ヒロイン・小琴にとって、彦惣は憧れの存在ということ。 - 「恋の闇、恋の黒木のくらがり」
→ 「恋の闇」は、恋の迷いを表し、「黒木のくらがり」は、ヒロインが黒木売りであることと、「先の見えない恋」の掛詞になっている。
詩的な言葉で恋の駆け引きが描かれてるね！江戸時代のラブソングみたいなものかな？
クライマックスの歌詞
【解説】
- 「妻恋ふ鹿の夜声」
→ 秋の夜、鹿が妻を求めて鳴く情景。これは、日本の和歌でもよく使われる表現で、離れた恋人を想う気持ちの象徴として知られている。 - ここでは、彦惣が小琴への想いを募らせる切なさとリンクしており、観客も共感しやすい情景として描かれている。
鹿の鳴き声で恋の切なさを表現するなんて風流！和歌の世界観とつながってるのが面白いね。
富本節の詞章は、こうした情景と心情を繊細に重ねることで、優雅で粋な語りを生み出しています。『都見物彩色紅葉』はまさに、江戸時代の美しい恋愛物語の真髄を感じられる一作と言えるでしょう！
#大河べらぼう 第11回｢富本、仁義の馬面｣
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本日登場！
富本豊志太夫(午之助) #寛一郎
市川門之助 #濱尾ノリタカ https://t.co/3PnZrKb37e pic.twitter.com/BzbbRCj2fw
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【考察】蔦重は芸能界でも影響力大！大河ドラマと史実の違い
吉原の遊女たちは、座敷での宴席で浄瑠璃や長唄を披露することが多く、富本節もその一つとして親しまれていました。特に、富本節の艶やかな節回しや、しっとりとした情感のこもった語りは、遊女たちの情緒と重なる部分があったと言われています。
しかし、当時の浄瑠璃界では義太夫節が主流であり、富本節はまだ新しい流派でした。そのため、「粋で新しいもの好き」の吉原の花魁や振袖新造たちにとって、富本節は先進的でおしゃれな芸能として受け入れられていた可能性があります。
吉原の遊女たちも、流行の音楽に敏感だったんだね。江戸は流行の発信源。新しいもの好きな江戸っ子らしさが出てる…！
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🦊地本問屋の座を狙う蔦重
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劇中の富本豊志太夫の演出と、実際の富本節の語りの違い
劇中では、富本豊志太夫（演：寛一郎）が感情豊かに語るシーンが印象的でした。実際の富本節は、義太夫節ほどの激しい抑揚はなく、どちらかといえば「上品で粋な節回し」が特徴とされています。
劇中では、遊女たちが涙を流して富本節を聴き入るシーンがありましたが、当時の座敷では、もっと娯楽として軽やかに楽しむ場面も多かったかもしれません。
また、富本節は三味線の音色とともに楽しむものであり、演者一人で表現するものではなく、音楽との調和が重視されていました。ドラマの演出では、視聴者に分かりやすく伝えるためにより劇的なパフォーマンスになっていたと考えられます。
確かに、りつさんと次郎兵衛さんと一緒に初めて見た小屋での富本節は庶民の娯楽で、皆が楽しそうに見てたよね。
蔦屋重三郎が正本出版を手掛けた背景
蔦屋重三郎は、浄瑠璃の正本（台本）や、歌舞伎の狂言本（シナリオ本）を積極的に出版していました。その背景には、以下のような狙いがあったと考えられます。
- 庶民に浄瑠璃を広める狙い
富本節の正本を出版することで、江戸の庶民が家でも楽しめるようにした。この時代は、芝居や浄瑠璃を観に行けない人々も多く、正本を読むことで、気軽に名作を楽しめる仕組みを作ったのです。 - 新しい芸能のプロモーション
富本節は、義太夫節ほどの知名度がなかったため、正本の出版を通じて「この新しい芸能をもっと広めよう」という狙いがあった可能性があります。蔦屋重三郎は、単なる本屋ではなく、文化を広めるプロデューサー的な存在だったため、浄瑠璃の普及にも力を入れたのでしょう。 - 吉原との結びつき
吉原では、遊女たちが浄瑠璃を披露することが多く、その題材としても富本節は重要でした。吉原と深い関係を持つ蔦屋重三郎が、遊女たちの求める芸能文化を正本として提供したことは、出版事業の成功につながったと考えられます。
11話で、太夫から正本出版のOKをもらった蔦重。ここから、出版だけでなく芸能界でも影響力のある存在になっていくんだね。
正に、エンタメ業界の仕掛け人！鱗形屋さんに「蔦重の方を助けてやりたい」と言った太夫にも惚れちゃうよね◎
こうした背景を知ると、『べらぼう』の中で描かれる蔦重の行動が、単なる商売ではなく、江戸文化を支えた重要な役割だったことがよく分かりますね＾＾
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『べらぼう』第11話ネタバレ感想まとめ：富本豊志太夫と富本節に注目
『べらぼう』第11話では、浄瑠璃の名手・富本豊志太夫の登場とともに、江戸時代の芸能文化や当道座の影響力が深く描かれました。今回のエピソードを通じて、江戸の人々が浄瑠璃をどのように楽しんでいたのか、また蔦屋重三郎がどのように文化を広めようとしていたのかが見えてきます。
- 当道座が浄瑠璃を管理していた歴史的背景を知ると、ドラマの深みが増す！
- 富本節『都見物彩色紅葉』の粋な詞章や物語を知ると、江戸の人々の恋愛観が見えてくる！
- ドラマと史実の違いを楽しみながら、今後の展開にも注目！
歴史を知ると、ドラマのシーンがもっと面白くなる！今後、どんな浄瑠璃が出てくるのか楽しみだし、『べらぼう』を通じて江戸文化の奥深さにも触れていこう。
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≫『べらぼう』12話ネタバレ感想！新之助とうつせみのその後は？足抜けした遊女の史実を解説
参考文献・出典：Wikipedia「当道座」当道座の起源・制度、「べらぼうコラム #9」ステラnet（NHK出版）当道座の制度・検校、当道座と浄瑠璃支配の議論、『浄瑠璃の富本節』誕生した背景：東洋経済オンライン、美術展ナビ、JBpress「富本節とは」富本節の特徴評価、国文学研究資料館「国書データベース（黒木文庫）彦惣頭巾小琴帽子／都見物彩色紅葉』の表題
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