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試し編みが楽しい

 指先の試し編みたち。
 試作の途中で「なんか違うな」とほどいたのは2〜3回くらい。中央のとんがりコーンをほどかずに残してあるのは、まあ、けっこう編んだしおもしろいし。もしかしたら将来、何かの役に……立つ場合などあるのか……

 なんでこんなことやってんだ、とは思う。
 編み物のデザイナーであれば試作に試作を重ねるのは当たり前だと思うが、手持ちの手袋を真似て編んでみようという思いつきでここまでやるくらいなら、ゲージをとって手持ちの本に載っている手袋を自分サイズに変えた方がよほど早いのではないか。

 だが、なんだこれどうやってるんだと考えながら試してみるのが楽しい。物欲に突き動かされて編み物をしているのに、新たな楽しみを発見してしまったというわけだ。
 と、妙な方向に進んでいきそうだが、苦行だと感じずに試作を繰り返してようやく指先の編み方が見えてきた。
 改めて手袋を観察して、作り目を1周8目に変更した。それで16目まで増やした状態がこの写真である。1周を前回のとんがりコーンと同じ目数になるまで編んでこのカーブ。手袋の指先としてはまあ妥当ではないだろうか。しかも両端の目の様子が手持ちの手袋と似ている。
 たぶんこれでいいと思う。ていうか、ここまで似た感じになったからこれでいいや。

 それであとは、端の目のぽこっと目立つ部分をどうするか。
 おそらくここは、かけ目で妙な工夫をしたせいではないかと考えている。

 今回は以下の図のように編んだのだが、「○」が通常のかけ目、「★」は思いつきでやってみたかけ目である。
 段の最初でかけ目をして目を増やしていくうえで悩んだのが、「かけ目をする前の状態で、段の最初が裏目の場合にどうするか」だった。

 段の最初でかけ目をし、その次に表目を編む場合は問題ないのだが、かけ目の次が裏目の場合、このかけ目の部分に穴があいた。
 それを防ぐためにはかけ目を次の段でねじり目で編めばいいのかとも思ったが、次の段ではこのかけ目は裏目になるので浮き目。
 かけた時点か、浮き目の時点か、どっちが原因かわからないがとにかく穴があく。

 どうすればいいか。

 編み物の構造も技術もろくに知らないが、「かけ目の隣も上も浮き目」であるのがよくないんだろうか、とうっすら思った。糸をかけるだけの目が固定されていない気がしたので、裏目のようなかけ目があれば少しは目が安定するのではないかと考えた。
 それで、段の最初でかけ目をする代わりに、段の最後にかけ目で裏目をつくった。わたしの裏目の定義(?)は「棒針にかかった目の根元に糸が渡っている」というもの。だから、糸をこうかけた。
 こうすれば次の段の最初は表目になるので、表目で編み、次の目は浮き目。これでしっくりくる気がする。根元にかかった糸の方向など細かい部分はともかく(よくわかっていない)、見た目がなんかそんな感じだからこれでいいかなと雑な発想。

 そんな具合にやってみたら端がぽこっと目立つことになったわけで、これは方法の問題なのか、自分の技量の問題なのか。どっちだ。
 まだまだ試行錯誤は続く。