比較のために編んでは伏せ止めをして糸を切って溜め込んでしまった指先の今後をどうしたものか。
ふと思い出すのは有吉佐和子の『恍惚の人』に出てくる入れ歯の話。ボケてしまった爺さんの部屋でその娘と主人公が発見した、入れ歯が山ほど入った箱。入れ歯が合わないといっては歯医者を変えて作り直し、果ては自作まで始めたという爺さんのこだわりの成れの果て。文章で読んだだけでもびっくりしたので、実際にそんなものを見たら腰を抜かすだろう。
手袋のパーツの試し編みはそういう事態を引き起こしはしないだろう、と思う。だが「なんだろうこれは」と思われることは間違いないし、ことによっては「途中で諦めたものがこんなに」などと思われてしまうだろうか。それはちょっと嫌だな。まあ、他人に見つかった時点でわたしは完全にボケているか死んでいるかだから別にいいけど。
いや、でもこの手袋に関しては「挫折したのかな」と思われるのはいやだな……
素人の推測と仮定と試作でようやく、指の編み方はこれでよかろうという結論が出た。
書き方に自信のない編み図。
前回の図と違うのは、「★」のあたりである。
前回の図にある「★」は「段の最後で裏目のようなかけ目をする」という意味で、それを次の段で表編みする、という流れだった。
それでちょっと納得いかない部分があったので改めて考え直し、3回くらい試し編みをして、「★」のかけ目を段の最初に変更した。糸のかけ方もこうだ。
糸のかけ方そのものは、前回の場合(以下の写真)と同じ。前回はこのあとに編み地を裏返して表編みをしていたが、今回は糸をかけるタイミングを段の最初に変えたので表編みはしない。普通のかけ目と同じ扱い。で、こうなった。 前回の方法ではマルで囲った部分のようにぽこっと盛り上がる糸があったのだが、今回(写真の右側)はそれが解決。そうだよ、こうなってほしかったんだよ。
あとは細い毛糸でうまく編めるか。編み方としてはこれで落着してもそれが問題。太い毛糸だからうまくいくことってありそうなんだよな……。
とりあえず指を編むか!と思うがもういっぺん編む順序(仮説)を確認。
1. 人さし指・中指・薬指を指先から編んで、必要な長さになったら目を休める
2. 1.で休めていた目を棒針に通し、3本指の状態で数段だけ筒状に編んで目を休める
3. 小指を指先から編み始め、必要な長さになったら2.で休めていた目を棒針に通す
※小指を遅れてつなげることで、小指の付け根に段差をつける
4. 3.を4本指の状態で筒状に編み、親指の付け根の段まで編んだら目を休める
5. 親指を指先から編み始め、必要な長さになったら4.で休めていた目を棒針に通す
6. 5.を5本指の状態で筒状に編み、手首まできたら2目ゴム編みを編む
7. ゴム編み部分の半分を内側に折り込み、ゴム編みのスタート位置でかがる
指先から編む方法がわかればOKだと思っていたけれど、よく考えたら指と指の間をどうつなぐかを考える必要がありそうだ。指の付け根同士を数目つなげるとしても、掌や甲とつながる部分に隙間ができるかもしれない。
手袋をまたじっくり観察しなければ。
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