自民党改憲案で米国の「グローバル・パートナー」になれるのか | たまき雄一郎ブログ

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今国会2回目となる憲法審査会が開かれました。先般の日米首脳会談で、米軍と自衛隊の指揮統制をシームレスに統合すると岸田総理は述べましたが、そのためには9条改憲が必要ではないかと自民党に投げかけました。

 

衆議院インターネット中継より

憲法審査会発言要旨(2024年4月18日)

 前回も申し上げたように、今の国会でどこまでやるのか、中谷元与党筆頭幹事には、具体的なスケジュールと具体的な改憲項目をイメージして議論を進めることを提案したい。特に、本年9月の岸田総理の任期中までに発議までたどり着きたいのなら選択肢は一つ。それは、5会派で概ね意見の集約が図られてきた「緊急事態における議員任期の特例延長規定」を中心に、テーマを拡散させず、起草委員会を設置して条文案づくりを進めていくべきと考える。


 9条改正については、我が党は反対ではないが、何度もこの場で申し上げているように、自民党の提案している「自衛隊明記論」は、違憲論の解消にはつながらず、法律的には意味がないものと考える。本当に9条改憲を考えるのであれば、もう一度、自民党内でゼロベースで改憲案を議論をやり直してはどうか。


 特に、岸田総理は日米首脳会談で、日本は米国のグローバル・パートナーになると高らかに宣言し、米軍と自衛隊の指揮統制をシームレスに統合すると述べた。であるならば、自衛隊を明確に「戦力」あるいは「軍隊」と位置付ける必要があるのではないか。


 ここでまず、橘法制局長に、自衛隊は「戦力」にあたるのか、「軍隊」なのかについて、現在の政府解釈を説明してもらいたい。

(橘局長からの説明の概要)
 自衛隊は、国際法上(ジュネーブ諸条約上)は軍隊に該当すると解されるが、憲法上自衛のための必要最小限度を超える実力を保持し得ない等の制約を課せられており、通常の観念で考える軍隊ではなく、戦力でもない。

 今、説明していただいたように、これまでの解釈は「自衛隊は国際法では軍隊に該当するが、国内法では軍隊でも戦力でもない」と言うもので、国際法と国内法で位置付けが異なる理解困難なもの。一般の方が聞いても全く理解できないし、そもそも、自衛隊をそんな曖昧な存在にしておくわけにはいかない。
 そこで、次に中谷元筆頭幹事に改めて確認したい。自民党の自衛隊明記論の改憲案が成立した場合、その自衛隊は「戦力」あるいは「軍隊」になるのか答えてほしい。


 中谷幹事が答えてくれないので私から説明すると、自民党の「自衛隊明記論」では、今と何も変わらない。つまり、自民党の「自衛隊明記論」では、国際法上は「軍隊」だが、国内法的には「軍隊」ではないという矛盾した説明が温存されるのだ。


 9条を改正する場合には、自衛隊に「戦力」としての位置付けを与える必要があるのではないか。自衛隊は「戦力」なのか否かの問題に解決策を示す改憲案でなければ、9条2項との関係で違憲論は解消されない。その意味で意味がない。


 いずれにせよ、9条をめぐるこうした本質的議論に、この国会で決着をつけるのは難しいので、まずは、議員任期の特例延長規定に絞って議論を詰めていくことを提案する。


 後で、中谷筆頭幹事から「戦力ではないが、その機能を書き込む」旨の発言があったが、趣旨がよく分からなかったので議事録を精査することとする。 

 

 次に、野党第一党である立憲民主党(の奥野委員)に質問する。
 

 立憲民主党は、長期間選挙ができない場合には、参議院の緊急集会を活用すればよいとの立場であると承知しているが、その緊急集会は、
 ①70日を超えて対応することが可能で、さらに
 ②憲法上、衆議院の優越が認められる「当初予算案」や「条約」も扱える

いわば「スーパー緊急集会」を認めるべきと考えているのか。また、それを憲法改正をせずに実現できると考えているのか、立憲民主党の考えを教えて欲しい。


 「一時的」「限定的」「暫定的」である参議院の緊急集会の権限を超える活用を考えるなら、憲法改正が必要ではないか。解釈によって権限を拡大するのは、まさに権力の濫用に繋がるのではないか。


 私たちの考えている「緊急事態条項」は、行政権を拡大させるものではなく、むしろ、大規模災害など緊急事態発生時に国会機能を維持するための条項であり、立憲民主党にも、ぜひ一緒に議論に加わっていただきたい。合意が得られるものと信じている。