■製作年:2009年
■監督グザヴィエ・ドラン
■出演:グザヴィエ・ドラン、アン・ドーヴァル、他
この映画「マイ・マザー」はグザヴィエ・ドラン監督のデビュー作、なんと19歳の時の作品です。その天才ぶりはその後の作品を見るまでもないのですが、19歳の青年の作品として見るとその語り口の豊かさに驚きを隠せません。ドラン監督について書くときは、まず、この年齢からくる驚きをどうしても書いてしまいます。映画はタイトルにあるとおり母と子の物語で、わずか19歳という年齢を考えるとかなり自伝的な要素が強いと見ることができるかもしれません。そこで気がついたこと、よくよく考えると他のドラン監督の映画も母親という存在がとても大きく描かれているのに気がつきます。
この「マイ・マザー」は母親から子供の自立という側面を真正面から描いています。ここまでストレートに描いたのははじめてです。育児を放棄した父親、それによる母子家庭、ちょっと変わった母親に振り回される息子、その息子はゲイである。そうか、グザヴィエ・ドラン監督は処女作から自分はゲイであると堂々と告白していたのです。自分はゲイですとカミングアウトすることが、彼の生きているカナダにとってどの程度偏見があるのか全くわからないのですが、ラブシーンまで盛り込んでしまうとは、すごいなと正直思いました。もちろん ( ? ) 、主演は超イケメンのドラン監督で自らラブシーンを演じているのでした。
この映画で母親を見ていると感情の起伏が激しいのがわかります。また、その子供であるドラン監督演じるユベールも、けっこうヒステリックに自分の境遇を母親に訴えかけていました。それらを見ていると感情のコントロールというのが、いかに思春期の本人とそこに差しかかった親にとって難しいかが、漠然とですが伝わってきました。私もあの年齢の時はやたら吠えていたように思います。何かにムカつき、何かに不安になる、しかし、それがわからないもどかしさ。そして不安定な気持ちを母親にぶつけてしまう愚かさ。青春の決定版、この流れは国境を越えていても同じだなとも感じました。
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