会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

不適切取引、創業家との亀裂 陰に企業グループ 王将社長射殺事件(毎日より)

不適切取引、創業家との亀裂 陰に企業グループ 王将社長射殺事件

先日容疑者が逮捕された王将フードサービス社長射殺事件で、警察が会社から巨額資金が流出した不適切取引をめぐる捜査を本格化させているという記事。

「朝雄氏(創業者)が死去し、創業家親族が94年に王将の実権を握った後に、不適切取引は始まった。大東さんが00年に4代目の社長に就任後もそれらは続いた。

関係者によると、大東さんが事態の深刻さを知ったのは01年の年末ごろ。数カ月後に償還期限を控えた社債50億円の資金調達のめどが立たなくなったと、親族から報告を受けたという。一時は会社の存続自体が危ぶまれたが、何とか償還を果たす。だが、巨額の損失計上は避けられず、親族は経理担当から外れた。」

前社長の処理方針は...

「「一刻も早く関係を断つ」「うみを出すことを辞さない」との基本方針が示された。債権の回収にはこだわらず、債権放棄したり、関係不動産を売却したりして、3年後の06年9月には一連の「処理」が終えられた。」

「だが、この「処理」の過程で会社と大株主である創業家側との亀裂は広がり、その解消に向けて大東さんらは、関係を断ったはずの男性経営者に頼ることになったという。12年11月、創業家の親族が東証に王将と男性との関係を伝え、王将は上場を断念。王将は不適切な取引について社内調査を始めた。

1年後の13年11月に報告書がまとまると、大東さんの手元と総務部に1部ずつ保管されたが、社内で共有されたり公表されたりすることはなかった。大東さんの射殺事件はその1カ月後に起きた。」

当時の状況からしてやむを得なかったのかもしれませんが、本来は、損失処理するだけでなく、それと同時に、あやしい取引に関与した役員への責任追及(刑事・民事)や、相手先からの債権回収をやるべきだったのでしょう。

同社の会計監査人は、トーマツが1985年以降継続して務めていますが、監査人としてどういう指導をしていたのでしょうか。決算数値は正しかったのでしょうか。2013年11月の報告書は、当時、入手して検討したのでしょうか。監査契約を継続したのは正しい判断だったのでしょうか。

不適切取引の相手先とされるグループの経営者が、最近よくインタビューに応じています。

「餃子の王将」社長射殺事件 取引先元代表“全く関与ない”(NHK)

「平成25年に、「王将フードサービス」の京都市の本社前で、社長だった大東隆行さん(当時72)が拳銃で撃たれて死亡した事件のあと、会社が設けた第三者委員会の調査報告書は、会社と特定の企業グループとの間で不動産売買などの不適切な取り引きが繰り返され、およそ170億円の損失を出したと指摘しています。

これについて、この企業グループを経営していた×××× 元代表(78)がNHKの取材に応じ、「取り引きは会社側から持ちかけられたもので、金額が水増しされている」と話しました。」

会社の報告書は間違っているということなのでしょうか。

「王将元社長とは友好的」企業グループ元代表、射殺事件関与を否定(朝日)

「財務担当だった創業者の次男(元専務)とも付き合いがあったという。」

「第三者委は、こうした総額約260億円の不適切取引があり、うち約170億円は回収できないまま損失処理されたと認定した。

××氏は、こうした認定について「額は全然違う。(王将側が)金額を操作して水増ししている」「後ろめたさは何もない」などと否定。個別の売買記録は残っているとした。」

「餃子の王将」殺人事件 260億円を引っ張った「キーマンX氏」の正体を明かす(現代ビジネス)

「大阪・戎橋店の火災で上階に住む中国人の建物所有者が死去した際、和解交渉、土地建物買収交渉を行ったのはX氏だった。

前述のように王将店舗の許認可の早期取得を推進し、多店舗展開を支援したのもX氏だし、会社側が暴力団関係者のゆすりたかり、設立された労働組合の対応などを委ねることもあった。その際「上杉」の名が有効だったのは言うまでもない。

だが、93年に朝雄氏が亡くなって、葬儀に友人代表として出席したX氏は、少し年下の潔氏が社長、欣吾氏が経理担当の専務となってからは、王将への関与の度合いを強め、それがX氏関連事業に270億円もの資金が流出する結果となった。

その責任を取る形で、潔、欣吾の両氏が退任し、00年から大東氏が社長に就任して再建に乗り出した。そのうえで債権放棄を柱にX氏関連会社との清算を終えた。

しかし関係は切れない。退任した潔、欣吾の両氏が取締役への復帰を画策した際、会社側はX氏に仲介を頼まなければならなかった。大東氏と加藤家が対立し、加藤家にX氏が付く体制が、13年の段階でも続いていた。

16年の第三者委員会報告書の叩き台となる調査報告書は、社内の再発防止委員会が作成し、殺害事件1ヵ月前の13年11月に完成していた。対立構図が続くなか、加藤家やX氏は報告書の表面化を望まなかっただろう。それを承知の大東氏は、取締役会での30分の閲覧で回収し、封印したという。

X氏は、バブル崩壊を救ってくれた王将から断絶されて、2000年以降、追い詰められて行く。資産の切り売りが始まり、10年、X氏がバブル時代に着工し「贅を尽したゴルフ場」と評された福岡センチュリーゴルフクラブが、民事再生法の適用を申請した。負債総額は約425億円だった。」

創業者の次男は海外にいて、警察は事情聴取できないそうです。

不適切取引の次男、海外に 王将事件、任意聴取見通し立たず(共同通信)

「「餃子の王将」社長射殺事件で、特定の企業グループとの不適切取引を王将側で主導したとされる創業者の次男が海外にいることが3日、関係者への取材で分かった。」

「全容解明に向け、創業者の長男を任意で事情聴取し、次男への聴取も検討しているが見通しは立っていない。」

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