のらねこ物語 ~ 《ぼっさむ》のだんなさん ~ | まじょねこ日記

まじょねこ日記

魔女の大切な仲間の猫たちの日常をみてください

公園は変わりなく

ただ、冷たい北風が木の葉を踊らせております

 

そんな木の葉を追いかける子供組は寒さをもろともせず広場を駆け回り

そんな北風が堪える老猫組は枯れ葉の吹き溜まりに身を寄せ合ってうずくまる

 

このところはそんな日々です

 

 

《ぼっさむ》は元来誰ともツルまないひとり猫であったため

彼女の不在を淋しがるのはもっぱら私たち猫のお世話をしている人間たちなのですが

 

一昨日・・

久しぶりに《ぼっさむ》のだんなさんが奥の広場に現れました

 

亡くなった子供たちの父親です

名前は《こどくさん》

 

《ぼっさむ》同様ひとり猫です

 

それでも子供たちがいる時分の《こどくさん》は

他の雄猫とは違って、《ぼっさむ》と共に幼い子どもたちに付ききりで面倒をみておりました

子どもたちもまた《こどくさん》を父親として大変慕っていました

 

 

 

子どもたちに起こったあまりに悲惨な出来事

 

その後、子供たちを必死に探し続けたのは《ぼっさむ》だけでなく、この父親も同様でした

《こどくさん》もまた悲しげな声で鳴いて子供を呼びながら民家の庭、草むら、森の中など、《ぼっさむ》と共に捜し続けました

・・長いこと捜していた

 

その必死の姿を

目の当たりにしていた私たち人間は

その度に涙を拭ったものです

 

どこをかしこもくまなく捜しても見つからない子供たち

1月ほども捜し続け・・

 

その後、《ぼっさむ》は《こどくさん》を遠ざけ、森の住処でひとり、子供たちを待ち続けます

 

 

その周辺にはいつも《こどくさん》の姿がありました

 

 

ひとりでいたがる《ぼっさむ》の邪魔をしないよう・・ 

そこにおりました

 

 

 

昨日、久しぶりに森の奥から《こどくさん》がやって来ましたのでご飯をあげました

 

 

こどくさん 「ねえ、 きみ  《ぼっさむ》 しらない?」

 

オダ 「しらない」

 

 

こどくさん 「《ぼっさむ》 みなかった?」

 

きらん 「みてないよ」

 

 

こどくさん 「いなくなっちゃった」

 

魔女 「《こどくさん》・・」

 

こどくさん 「もう ずっと いないんだ   さがさなきゃ」

 

魔女 「あの・・ 《ぼっさむ》はね・・  とおくに いちゃったんだ」

 

こどくさん 「とおく・・ どして?」

 

魔女 「そこが あんあしんの とこだから」

 

こどくさん 「《ぼっさむ》 とおくで どしてる?」

 

魔女 「ごはん いっぱい たべて しんぱいなく くらしてるよ」

 

こどくさん 「ほんと?!」

 

魔女 「うん、とっても げんきだよ」

 

こどくさん 「どして まじょ しってるの」

 

魔女 「まじょがね しんぱいの ないとこに つれてったの」

 

こどくさん 「しんぱいのないとこ?」

 

魔女 「そうよ あんしんのとこ」

 

 

こどくさん 「よかったあ~!」

 

 

こどくさん 「こども かえってきた?」

 

魔女 「・・う、うん」

 

こどくさん 「かえってきたんだ!」

 

魔女 「こどもも・・ いっしょに いるよ」

 

 

こどくさん 「よかった・・」

 

 

 

魔女 嘘ついた   

 

 

《こどくさん》、あなたは立派な父親でした

 

もう《ぼっさむ》とは会えないけど

あなたも元気で暮らすんだよ

 

 

 

幸せだった頃

 

《こどくさん》(奥)と《ぼっさむ》(手前)と子どもたち

 

 

《こどくさん》はいつだって子どもたちと一緒だった

 

 

 

《ぼっさむ》とふたりで懸命に子どもたちを育てていた頃の姿が目に浮かんできて・・

幸せだった頃の家族の姿が浮かんできて

 

涙が止まらなくなったから

今日はブログおしまい