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世にも不思議な物語。
出会いの数だけドラマがある。
一日一話愛の短編物語。
〜ショートストーリー〜

2.蓮の花

2022年08月11日 | 夏の物語
 子育てに悩み、あてもなくブラブラと子供3歳と5歳を連れて、歩いていた。
 古びたバス停があり、子供は椅子に座らせた。
 裏に溜め池があり、蓮の花が所々に咲いている。私はガードレールから蓮の花を見ていた。
 ふとバス停の中を見ると、おばぁさんがいつの間にかいて、子供に「あんた何歳ね?」と話しかけて、飴を渡していた。
 子供は私の顔を見て、もらっていいの?みたいな顔をして、私はおばぁさんにお辞儀をした。
 子供が3歳と5歳と手を広げて、答えていた。
 「こんな田舎まで、どうしなさったね?どっか行くのかね?」と聞いてきた。子育てと夏の暑さに疲れて、話すら出来そうにない。
 俯いていると、「まぁ色々あるさね。お母さんも頑張っとるみたいやね。飴ば食べんね。」と言って、しわくちゃの手から、塩飴を渡した。
 私は、受け取ると涙が溢れて出て来た。
 それから、色々おばぁさんと話していると心が晴れて、嫌な事も忘れることが出来た。
 バスが一台やって来て、子供と乗り込む。
 もう一度、おばぁさんに挨拶をしようとバスの中から見たが、古びたバス停の中には、誰もいなかった。

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