■中国がついに国産空母建造へ着手
【中国が初の空母建造へ 中型2隻、年内本格化 (1/2ページ)】
(産経新聞 1月4日)
【中国が初の空母建造へ 中型2隻、年内本格化 (2/2ページ)】
(産経新聞 1月4日)
中国は今年から初の国産空母の建造を本格化させるようだ。すでに初期段階の準備は始まっているが、軍事筋によると、大連で改修している旧ソ連空母ワリャーグ(5万8500トン)を練習空母として就役させ、その経験を踏まえて、2隻の中型空母(4万-6万トン級)を建造し計3隻体制で運用する予定だ。艦載する戦闘機はロシア製戦闘機スホイ33が含まれ、着艦時に用いる制動装置を複数セット購入したという。
完成すれば南シナ海などを管轄する南海艦隊に配備される予定だ。中国が海南島南端で建造中の地下式潜水艦基地の近くを拠点とし、大規模な設備が建設されているもようだ。
中国の国産空母は技術的に難しい原子力空母ではなく通常型で、艦載機は最大でも60機以下だ。2016年までに建造し、2020年には3隻での運用体制を目指す方針とされる。
艦載機は、ロシアの戦闘機スホイ27を艦載機に改良した33型機などを想定。中国筋は昨年夏の段階で「50機の33型機をロシアから購入する」と指摘していた。テスト用の艦載機は購入済みとされる。
パイロットらはウクライナで訓練を受けたうえで、すでに陸上模型での発着訓練を開始している。
ロシアの技術者が中国入りしているとの情報はこれまで何度も指摘されてきたが、技術的な問題は、艦載機を発進させるカタパルト(射出機)の開発にある。米軍の「蒸気推進式」か開発中とされる「電磁波方式」を、中国が独自で開発できるかは不明だ。ロシアには同様の技術はなく、搭載する早期警戒機の導入など問題は少なくない。
中国軍内では、宇宙開発や情報戦、潜水艦を重視する意見が根強くあった。空母建造の狙いは、対台湾ではなく、「戦わずして相手を屈服させられる」(海軍軍事学術研究所の李傑研究員)など国際社会での軍事的プレゼンスを高める効果にあるようだ。
【中国、初の空母建造へ 来年着手、15年までに中型2隻(1/2ページ)】
(朝日新聞 12月30日)
【中国、初の空母建造へ 来年着手、15年までに中型2隻(2/2ページ)】
(朝日新聞 12月30日)
中国軍が09年から、初の国産空母建造を上海で始め、2015年までに5万~6万トン級の中型艦2隻の完成を目指す。複数の軍や造船会社の関係者が明らかにした。また、遼寧省の大連港に係留されている旧ソ連軍の空母ワリャーク(6万トン級)が近く改修を終えて訓練用に就航する見通しで、艦載機パイロットの養成も始まっている。
最近、黄雪平・中国国防省報道官が建造に前向きな発言をしており、各国の関心が集まっていたが、計画の全容が明らかになるのは初めて。空母の配備で中国海軍の洋上戦闘能力が高まれば、東アジアの軍事バランスに大きな影響を与えるとみられる。
中国軍は08年秋までに「大航空母艦計画」を作成し、海軍総司令部内に専門部署を設けた。原子力ではなく、通常推進型となる。広東省湛江に司令部を置き南シナ海を管轄する南海艦隊に配備される予定で、海南島三亜に専用の埠頭(ふとう)を建設している。艦載用にロシア製戦闘機スホイ33を約50機購入する。
上海市当局者によると、上海市郊外の長江に浮かぶ長興島には、世界最大規模の造船基地が08年秋に完成した。4カ所ある大型ドックのうち1カ所が空母建造用。
一方、大連港にあるワリャークは旧ソ連時代に7割ほど建造されたもので、98年にマカオの観光会社が買い取り、02年から海軍と関係が深い大連の造船会社が改修していた。このほど訓練用として完成のめどが立った。
大連には、発着に高度な技術が求められる艦載機パイロットを養成する学校が設立された。07年からウクライナ・オデッサの海軍航空部隊トレーニングセンターで学んだ中国海軍幹部が講師となり、選抜された約50人を訓練している。ロシアなどからも講師を招いているという。
海軍少将の一人は朝日新聞の取材に対し、中国の中東からの石油輸入が増えているためマラッカ海峡やインド洋のシーレーン防衛を空母の任務に想定していると明らかにしたうえで、「米国が保有するような10万トン近い大型空母ではなく、脅威にはあたらない」と強調した。
中国は既に、ロシアから艦載用のSu33戦闘機を購入の最中調整に着手しています。
【参考エントリ】
■中国軍が艦載機の本格調達に着手か:着々と進む空母保有
【進む中国軍近代化 艦上戦闘機調達へ露製50機 空母計画に関連か】 (産経iza 11月6日)
戦力の近代化を進めている中国がロシア製の艦上戦闘機スホーイ33(SU33)を最大で50機、約25億ドルで購入する方向で最終調整していることが5日、分かった。
・Su33艦載戦闘機
また、中国海軍軍事学術研究所の李傑研究員(大佐)は、過去、中国中央テレビのインタビュー番組で、中国の空母保有について「一国の総合的実力を示すもので保有は必要」との考えを示したことがあります。
【参考エントリ】
・大連港で改修中のワリヤーク
中国による空母保有は、アラビア海~インド洋~マラッカ海峡~南シナ海~東シナ海というルートを取る日本のシーレーンに、多大な影響を及ぼし得ます。
海南島三亜への中国空母配備は、日本の安全保障にとって、この上ない脅威なのです。
日本の対艦戦闘用航空機であるF-2支援戦闘機は、当初、計141機の導入が計画されていましたが、その後の計画変更で、2002年8月の調達減少を受け、計32機を差し引いた計98機の調達となり、さらには2006年12月の安全保障会議の場で、総取得数を94機に削減された上、調達中止が決定しました。
・F-2支援戦闘機
日本の対艦攻撃能力が著しく減衰する中で、中国海軍は戦闘艦・長距離戦闘機の増強を進め、沿岸防衛海軍から外洋海軍への脱却を図っています。
つい先日、中国海軍は初の遠洋作戦となるソマリア派遣を決定し、中国艦艇がソマリア沖に展開を開始しました。
【初の遠洋作戦行動始まる 中国艦隊、ソマリア近海に】 (産経新聞 1月6日)
中国の通信社、中国新聞社によると、海賊対策のため昨年12月に海南省三亜を出航した中国海軍南海艦隊のミサイル駆逐艦など3隻が6日、ソマリア近海に到着し、自国船舶などの護衛任務をスタートさせた。
中国海軍として初めての遠洋での作戦行動で、交通運輸省によると、同海域で10日までの期間に、香港を含む15隻の中国の船舶が護衛を要請しているという。
3隻はミサイル駆逐艦「海口」「武漢」と総合補給艦「微山湖」。約70人の特殊部隊員を含め計約800人の隊員が派遣され、期間は約3カ月の予定。世界食糧計画(WFP)など国際機関の支援物資を積んだ船舶の保護にも当たる。(共同)
・派遣された中国海軍艦艇、「旅洋II型」(052C)型駆逐艦「海口」、「旅洋I型」(052B型)駆逐艦「武漢」、「微山湖」
ここで閑話休題なのですが、私は日本の空母保有に賛成ではありません。
空母保有には国力を注力するほかならず、また、軍事アレルギーの強い日本の国情を鑑みても、日本の空母保有は現実的ではありません。
今日本に求められているのは、専守防衛絶対主義と言う概念からの脱却。
つまり、冷戦構造崩壊後の世界情勢に対応するべき戦略であり、インド洋以東での中国海軍との対立軸の中で、いかに自国の国益を確保し、死守し、防止するかと言うことなのです。
その為の法案整備や意識改革が立法行政に求められているのであり、いつまでもどうでも良い国内対立で徒に国力を衰退させ、あるいは中国の後手に回るような戦略ではいけないのです。
日本の安全保障上の防衛ラインは、国境の向こう側にあるのだということを、国民一人ひとりが再確認し、それを国政にフィードバックさせなければならないのです。
【参考HP】
【参考書籍】
- 平松 茂雄
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■中国が日中合意を破り東シナ海でガス田掘削
【中国、合意破り掘削 東シナ海のガス田「樫」 (1/3ページ)】
(産経新聞 1月4日)
【中国、合意破り掘削 東シナ海のガス田「樫」 (2/3ページ)】
(産経新聞 1月4日)
【中国、合意破り掘削 東シナ海のガス田「樫」 (3/3ページ)】
(産経新聞 1月4日)
東シナ海のガス田問題で、日中両政府が平成20年6月に共同開発で合意した直後、中国が継続協議の対象となり現状を維持すべき「樫(かし)(中国名・天外天)」で新たに掘削を行っていたことが3日、分かった。明確な合意違反で日本側は抗議したが、中国側は樫での掘削を終え、生産段階に入った可能性が高い。主権と権益確保に向け、日本政府が対処方針の見直しを迫られるのは必至だ。
樫ではこれまでにも構築物(プラットホーム)から炎が出ているのが確認されていたが、日中合意後、共同開発の協議対象である4カ所のガス田で、中国側の不当な単独開発が明らかになったのは初めて。
日中両政府は20年6月、ガス田問題で合意。「翌檜(あすなろ)(同・龍井)」付近での共同開発と「白樺(しらかば)(同・春暁)」で日本の出資が決まった。樫と翌檜の本体、「楠(くすのき)(同・断橋)」は共同開発の合意に至らず、継続協議の扱いになり、両国には現状維持が求められる。
この合意直後の7月上旬ごろ、樫のプラットホーム周辺の海域が茶色く濁っているのを、海上自衛隊のP3C哨戒機が確認した。その後、変色した海域が拡大したり、海面が激しく泡立ったりしたのも把握。防衛省はこれらの情報を外務省や資源エネルギー庁に連絡した。
6月ごろ、樫のプラットホームに多数の長いパイプが置かれていたことも判明。10月にはパイプは撤去され、ボートに積み込まれたのも確認された。パイプは掘削用ドリルを通すために使われたとみられる。
時系列でみると、中国は7月ごろパイプやドリルを使い、樫で掘削を開始。掘削は最短で1カ月程度で終わるとされ、パイプが撤去されたことで、掘削を終え、石油と天然ガスの採掘に入ったとの見方が強い。
樫は白樺、平湖(中国名)とともに、石油などを中国本土に送るパイプラインでつながっている。樫では17年以降、プラットホームの煙突から炎が出ているのも確認されている。
ただ、パイプが撤去された前後から、樫の煙突から出る炎は大きくなり、色も薄い黄からオレンジに変わった。日本側はこの変化について、以前は平湖などからパイプラインで輸送され、濾過(ろか)された石油などを燃焼させていたが、樫で直接吸い上げたものを燃焼させ始めた兆候と分析している。
日本政府内には「中国側は継続協議の対象になった樫などの単独開発に固執しており、一方的に開発を進めていくとの懸念が現実化した」との指摘がある。
日本政府は、樫での掘削が日中合意に反するとして中国側に抗議したが、中国側はP3Cの警戒監視飛行を「妨害行為」などと逆抗議してきている。
【用語解説】ガス田問題
東シナ海の天然ガス田開発をめぐる日中間の対立。中国は平湖で約10年前から生産を開始。白樺では平成17年8月から掘削に着手したが、中断した。樫でも同年9月に炎が確認された。日本政府は探査の結果、白樺、楠、翌檜のガス田の地下構造が日本の主張する排他的経済水域(EEZ)の境界線「日中中間線」の日本側までつながっており、樫もつながっている「可能性がある」と結論づけた。日本政府は同年8月、帝国石油に中間線の日本側海域での試掘権を付与したが、試掘は行われていない。
【用語解説】日中合意
平成16年6月、中国による日中中間線付近でのガス田開発が発覚し、問題化。日本側の抗議を受け、同年10月から局長級協議が始まった。主権に絡むEEZの境界線について、日本側は両国の海岸線から等距離の中間線、中国側は沖縄諸島の西側まで広がる大陸棚の東端「沖縄トラフ」を主張して対立したが、境界画定を棚上げした形で20年6月に合意。了解事項として、樫、楠、翌檜は「共同開発をできるだけ早く実現するため、継続して協議を行う」と明記されたが、合意後、協議は一度も開かれていない。
中国の悪意ある合意違反は、留まるところを知りません。
チャイナリスクを鑑みた場合、中国と対等に交渉を行なうことは、中国の時間稼ぎ戦術に嵌りこみ、日本の国益を大きく損ねる行為です。
とどのつまり、資源紛争とは「やったもん勝ち」なので、このまま日本政府が無意味な「遺憾の意」を連呼して座視しているだけでは、中国の東シナ海資源の独占は、近いうちに現実のものとなってしまうでしょう。
日本に求められていることは、今すぐに商業試掘を行い、正確な埋蔵量、東シナ海ガス田の構造を把握し、中国政府の意向を憚ってばかりせずに独自の資源獲得にまい進することです。
それすら出来ないでいるならば、日本政府は眼前の資源を(勿論そこには本来の日本の独自資源をも含む)むざむざ、中国政府に掠め取られ、既成事実として突きつけられてしまいます。
日本政府には断固とした処置を望みます。
国益を死守できない国家などに、国家たる資格は無いのですから。
【参考HP】
■アジアの真実 様
【参考書籍】
- 『東シナ海が危ない!』
- 上田 愛彦
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■海自隊員死亡:自衛隊・防衛省の身内に甘い姿勢が明確に
【【海自集団暴行事件】「15対1」必要認めず 調査委が中間報告】 (産経新聞 10月22日)
広島県江田島市の海上自衛隊第1術科学校で、特殊部隊「特別警備隊(特警隊)」の養成課程にいた男性3等海曹(25)が15人を相手にした格闘訓練中に倒れ死亡した問題で、防衛省は22日、中間報告を公表した。2日後に養成課程を外れる予定だった3曹に「(訓練を)行う必要性は認めがたい」と指摘。教官2人は格闘訓練の経験が未熟で、「計画や管理が適切になされていなかった」と教官の監督責任も厳しく問う内容。制裁目的の集団暴行との見方を明確に否定するには至らなかった。
中間報告は海自呉地方総監部の事故調査委員会が養成課程の学生や教官らへの聴取をもとに作成した。
1対15の格闘訓練は学生の間に送別の「伝統」と認識されていた可能性があると指摘する一方、「(3曹が訓練を)やらないと言える雰囲気ではなかった」と証言した学生もいた。
安全管理については「(学生の)技量や人数などの点を十分に考慮したとは認められない」とした。格闘訓練の実施要領はなく、海上幕僚監部や自衛艦隊司令部による教育内容の監督に不備があることにも言及している。最終報告では訓練の意義を検証し、再発防止策をどこまで打ち出せるかが課題になる。
広島県呉市の海上自衛隊第1術科学校において、特殊部隊(特別警備隊)の課程を辞退した隊員に対する集団格闘訓練致死(当ブログでは、批判的見地から「致死」という言葉を用いさせて頂きます)事件で、防衛省の纏めた中間報告書には、個人的に大きな疑問があります。
1.1対15という格闘訓練は、生死に直接関わる業務に携わる自衛隊とはいえ、当該死亡隊員が養成課程を辞退したことを考えれば、その必要性が認められないのではないか。
2.同席した教官2名が徒手格闘訓練の教育課程を履修していなかったことは、現場責任の放棄ではないか。
3.誰の発案による訓練なのか。その際、当該死亡隊員は拒否出来る状況にあったのか。
4.単なる私的制裁ではないか。
このような疑問があるのです。
体育会系の組織において、鉄拳制裁などの「伝統」を否定する意図はありません(※適切な安全管理が行われていれば、過酷な状況に投入される自衛隊の特性を考えて、必要な訓練ではあると考えられます。)が、今回の事件は、国民の目から見て、明らかに訓練を逸脱していたと見えるのです。
中間報告を纏めた防衛省の、事件を有耶無耶にしてしまおうという意図も、次の記事からは見え隠れします。
【格闘訓練死亡「公務災害」認定へ、私的制裁の意図は否定】 (読売新聞 10月22日)
海上自衛隊第1術科学校(広島県江田島市)で先月、「特別警備隊」の養成課程にいた3等海曹の男性(25)が同僚15人との格闘訓練後に死亡した問題で、防衛省・自衛隊は22日、事故は「訓練の一環だった」として「公務災害」に認定する方向で調整に入った。
近く公表される海自事故調査委員会の中間報告や海自警務隊の捜査結果を見極めたうえで認定作業に入るが、「1対15」という無謀な格闘訓練を正規の公務と位置づけることで、今後、当事者の刑事責任の追及や真相の究明があいまいになる恐れもある。
防衛省職員給与法などでは、自衛隊員の死亡事故を公務災害に認定する基準について、〈1〉公務遂行性〈2〉公務起因性――の二つを条件にしている。先月9日に起きた事故の場合、2日後に養成課程をやめることが決まっていた3曹の男性に対し、15人の同僚が次々に徒手格闘した行為について、通常の訓練として認めるかどうかが二つの条件を満たすポイントになる。
海自事故調査委の内部調査では、15人の同僚は嫌がらせやいじめなど私的制裁の意図は否定し、「格闘は送別行事だった」などと説明しているという。
防衛省は、この調査結果や、事故が養成課程の訓練時間内に起きていることから、「送別行事だったとしても私的な行為ではなかった」として公務災害とする判断を固めた。同省によると、公務災害に認定されると、遺族に対しては補償としての一時金や葬祭補償、特別金が支給される。
「海自事故調査委の内部調査では、15人の同僚は嫌がらせやいじめなど私的制裁の意図は否定し、「格闘は送別行事だった」などと説明している」と、記事中にありますが、次に掲げる読売新聞の記事中にもあるように、事故調査委員会という防衛省の高官による事情聴取に対し、一般隊員が率直に答えられるとは思えません。
【「身内に甘い」識者ら批判 海自格闘死中間報告】 (読売新聞 10月23日)
海上自衛隊第1術科学校(江田島市)で3等海曹が格闘訓練後に死亡した問題の中間報告が公表された22日、海自呉地方総監部の事故調査委員長を務める福本出・同総監部幕僚長は「これで調査は終わったわけではない。1日も早く、国民の皆さんが納得できるような調査報告を出せるよう努力する」と述べた。一方、元海自関係者や識者からは、「身内に甘い調査に感じられる」などの声が上がった。
福本幕僚長はこの日、呉市役所を訪れ、小村和年市長に、▽訓練の必要性は認めがたい▽計画や管理が適切になされていなかった――などとする中間報告の内容を説明した。
第1術科学校元教官の男性は、中間報告について、「参加した隊員の証言など開示された情報量が少ない。内部に甘いと言われても仕方がない内容」と指摘した。特に、立ち会った教官2人が格闘課程を履修していなかったとされたことについて、男性は「未熟な教官の経験に頼った甘い判断が招いた結果ではないか。そして、なぜ仲間を死なせるまでやったのか。異常な訓練と思う」と語った。
別の元教官の男性は、「辞めることが決まっていた隊員になぜ訓練をする必要があったのか。事故調査委は形だけの調査ではなく、組織の問題点を掘り下げなければ、若い隊員の死は報われない」と語った。
第1術科学校に在籍したことがある元海上自衛官の男性は「事故調査委の高官の事情聴取に、階級の低い隊員が率直に答えられるとは思えない」と調査への疑問を示し、「本当に、亡くなった3等海曹が『やる』と言ったのだろうか。断れなかっただけではないか」と語った。
以上に見るように、元自衛官からも、今回の中間報告に対し、疑問の声が上がっています。
特殊な職種であり訓練に危険が付きまとう自衛隊において、適切な安全管理を怠り、訓練で死傷してしまっては、元も子もないのです。
訓練で死傷してしまっては実戦で意味が無いわけで、それによって失う経済的・人的損失と、教育にかけた必要な時間がすべて無駄になってしまう上、自衛隊に対する国民の信頼が大きく揺らいでしまうのです。
【防衛大臣臨時記者会見概要(10月22日)】 (防衛省HP)(抜粋)
Q:中間報告が出ましたけれども、受け止めを聞かせて下さい。
A:事実関係をできるだけしっかりと書くということが重要だと思っていましたので、一応そういう形にはなっているというふうに思っています。
Q:大臣が先だって示された訓練からは逸脱しているのではないかという認識がこの報告書には出てきませんけれども。
A:そこは書いてあると私は思っております。要するに、訓練の部分でも辞める二日前にそういった訓練をするということが極めて異例ということも含めて考えれば、かなりそこは逸脱していると言っても仕方がないのかなと、これは当然であろうというふうに思っております。
Q:監督責任を含めて関係者の処分というのは、現時点でどのように考えていらっしゃいますでしょうか。
A:不具合の部分が出れば、考えるのは当たり前のことだと思いますので、今回は事実確認も含めてやっているわけですから、そこで足らざるところが出てくればそこは直していかなければいけない。その責任はどこにあるのかというのは、明確にしていかざるをえないと思います。
防衛省事故調査委員会は、再発防止に最善を尽くす為に、形式上の調査だけに留まらず、問題を深く掘り下げ、この部隊の根底からの再教育・組織改革を行わなければなりません。
防衛省事故調査委員会の調査が、単なる形式的なものに終始することは、絶対に避けなければなりません。
防衛省、自衛隊への国民の真剣な眼差しを無視することは、自衛隊の組織運営上大変問題であり、自衛隊全体の士気にも関わることです。
この事件に関し、今後も報道を注視してゆきたいと思います。
【参考エントリ】
【参考HP】
■日本国防衛省HP 『防衛大臣記者会見の概要 10月22日』
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