母性(2022年) | 勝手に映画紹介!?

母性(2022年)

母性(2022年)

 

【鑑賞日:2022年11月25日】

 

本家かまどや【公式】さん(@honke_kamadoya)のTwitter懸賞で当選したムビチケを使って、23日から公開が始まっていた「母性」を鑑賞してきた。今日は映画が安く見れる週一のシネプレックスの会員デーだったので、本来なら自腹鑑賞を優先するのだが(そうしてコツコツと、無料鑑賞のためのポイントを貯める)、他に見たい映画もなかったので、ムビチケを使って見てしまった。原作は湊かなえの同名ミステリーだそうだが、オイラは代表作の「告白」の文章にいまいちノレず(でも映画版は好き)、以降この著者は、ほとんど読んでないので、本作の原作も未読。

 

ある日、女子高生の遺体が発見されるも、他殺か自殺か…まだ判断ができなかった。そして、ある学校の職員室で、その話が話題にのぼる…なんと話に参加していた男性教諭が、前に赴任していた学校の生徒で、面識もあるとのこと。その男性教諭は生徒の自殺が信じられないようだ…。一方、教会の告解室で母親ルミ子が“私は愛能う限り、娘を大切に育ててきました”という言葉とともに、自身の結婚や娘・清佳に対する子育ての様子を、神父に語り始めた。そして波乱万丈なルミ子の人生が紐解かれるが…後に語られる清佳の証言と食い違う部分もあり…。

 

リドスコの「最後の決闘裁判」なんかでも使われていた、いわゆる“羅生門スタイル”のミステリーなのね…冒頭の女子高生の自殺→教師たちの会話→母親・ルミ子の告解→母親・ルミ子の過去という流れなんかでも、ちょっと観客を惑わすような演出になっているよね。原作読んでないからか余計に違和感。全体的にモノローグで状況をガンガン語るような演出なんだけれども、その実、情報量が少なめだったりして、登場人物たちの関係性がイマイチ把握しづらかったりもする。もちろん、そのあたりも“ミステリー”を意識してのことだと思うんだけどね…。

 

ルミ子の結婚がとんとん拍子で決まっていくあたりは…昭和のメロドラマみたいな安っぽいご都合主義感が漂うんだけれども、その一方で、実際に昭和が舞台なんだろうなと。劇中では明確な時代設定は提示されてないものの、家の中にある調度品、特にテレビとかオーディオ機器なんかで、さりげなく年代を伝えているというのが、シネフィル好みの“映画らしさ”か…?何度か、大きく時が流れるんだけれども、その都度、部屋に置いてあったテレビが変わってるので解りやすい。後に判明する、夫(父親)の経歴なんかからも、色々と時代を推測できるよね。

 

“女子高生の死”が起きた“現代パート”なんかも…最初はもっと“現実の現代”に近い時代設定なのかと思ったんだけど、過去のエピソードから逆算すると、そうでもないんだなと。劇中の登場人物がガラケーを使ってて、ダメ押しになった。やっぱり、あそこでイチイチ、年代を表記しないのが、“映画らしい奥ゆかしさ”だとオイラは思う。同じように、さりげなく“あれ、この女性キャラ…指輪してるぞ”みたいなのを気づかせるポイントとかあるじゃん。あえて説明しないけど重要じゃん。同僚と飲んでる飲み屋とかもね、最初はぜんぜん“気づかせない”んだけど実は…。

 

正直、メインのストーリーは、独身オヤジのオイラなんかから見ると、琴線に触れる部分が少ないんだけれども、職人監督・廣木隆一ならではの、“映画としての見せ方の巧さ、面白さ”というのが随所にあり…この感覚は、オッサンでは理解不能な少女漫画原作、同じ廣木監督の「ママレード・ボーイ」が意外と見れちゃった時の感覚に近いんじゃないかなと。話的にはあれだよ、女優さんがみんな怖いという。最初の戸田恵梨香と実母の大地真央の関係性からなんか気持ち悪さがあった…でも、孫への接し方を見ると、大地真央が一番まともなのかな?とも。

 

いやいや違うよ…もとをただせば、大地真央の育て方が間違っていたから、戸田恵梨香の性格もねじ曲がっておかしくなったんだよ。そこに、今度はもっとヤバイオバハン高畑淳子の血が交じり合うことで、結局…一見まともに見える永野芽郁も本当はヤバイ女だったと。そして…さらにそれが後の世代に受け継がれていくといううのが、怖いわけでして。中盤の高畑淳子が物語に深く絡みだしたあたりは、昔のピン子さんの「おしん」を思い出してしまった。あと、キティちゃんを全否定し、悪者に仕立て上げるブラックさに爆笑…よく小道具のタイアップとれたな(笑)

 

原作を読んでないからか、予備知識なしで見るには普通に楽しめるか?小説で読んでいたら“最初の戸惑い、違和感”がけっこうキモだったんだろうけど…映像で見ちゃうと、ただ話がややこしいだけにも感じる。女優さんたちの鬼気迫る感じの演技は楽しんめたし、素直にすごいなと思ったけど…でも、ムビチケが余ってるので、もう1回、見に行かなきゃいけないんだよな。「耳をすませば」の実写版を短期間に2回見た時(これもムビチケがペアで当選して、だ、自分で2枚使った)以上になんかシンドそうだな。再鑑賞して、見落としてる部分の発見があるといいな…。

 

 

監督:廣木隆一

出演:戸田恵梨香 永野芽郁 三浦誠己 中村ゆり 山下リオ 高畑淳子 大地真央 吹越満 高橋侃

 

 

【原作小説はこちら】

母性 (新潮文庫)

母性 (新潮文庫) 文庫 – 2015/6/26






 

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