わが町Ⅸ 妻殺しをたくらむ夫の眼前で妻がレイプ 大都会の闇にうごめく悪の連鎖(1997年) | 勝手に映画紹介!?

わが町Ⅸ 妻殺しをたくらむ夫の眼前で妻がレイプ 大都会の闇にうごめく悪の連鎖(1997年)

わが町Ⅸ 妻殺しをたくらむ夫の眼前で妻がレイプ 大都会の闇にうごめく悪の連鎖(1997年)

 

年末年始は休止だったBS12の「わが町」(もともとは日テレの火曜サスペンスで放送)が放送再開…残すは今週放送された9作目を含む2本となった。エド・マクベインの人気警察小説を「太陽にほえろ」などの脚本家・鎌田敏夫が日本風に翻案、主演は渡辺謙。Wikipedia調べによる当時のサブタイトルは“妻殺しをたくらむ夫の眼前で妻がレイプ 大都会の闇にうごめく悪の連鎖”なんだけど、今の放送ではそのまま使えないのか、BS12版は“被害者が残したナゾの言葉が示すものとは?”に変更されていた。原作小説は「サディーが死んだとき 87分署シリーズ」。

 

ゴルフ場経営者の古池潤三と弁護士の浜野弘文、その妻・順子が古池の所有するボートで密談…3人は資産家である古池の妻・紗耶の遺産を奪い取るため、共謀して殺しを実行しようとしていた。浜野夫妻がアリバイ作りに協力、ボートを抜け出した古池が、自宅にいる紗耶を殺す予定になっていたが…なんと、犯行を行う直前に、紗耶は自宅で別のレイプ犯に襲われていた。古池たちはこの事件を利用し、さらにアリバイを強固のものにしようと考える!やがて事件が発覚、西月島警察署の刑事たちが捜査を担当。当初はレイプ事件の延長と考えていたが…。

 

今までにないスタイルじゃないかな?最近は、日テレドラマの「invert 城塚翡翠 倒叙集」なんかでもやっていた、刑事コロンボスタイル、いわゆる倒叙モノ。犯人たちが完全犯罪を計画して、それを実行…視聴者は誰が犯人なのかわかっているんだけれども、劇中で捜査する刑事たちは、ああじゃないこうじゃないと“トンチンカンな推理を繰り広げて”、かなり遠回りして…ようやく最後に事件の真相にたどり着くという。いや、この「わが町」だと、メンバー内で一番堅物な平田満さんがいち早く“真相に近づいてる”んだけど、他の刑事が“それはない”と否定しまくる。

 

冒頭…犯人視点の犯行がけっこう詳細に描かれている。その中で、本作のキーとなる展開が描かれていて、犯人たちのターゲットである資産家の妻は、夫に殺される直前に、別のレイプ犯に襲われていた!妻を殺すために、仲間と一緒にアリバイ作りまでしている夫の前で、なんと謎のレイプ犯が、妻を襲ってたのだ。馬鹿なレイプ犯は、“事を終える”とさっさと退散。夫は、放心状態の妻を、レイプ犯の指紋がついたゴルフクラブで容赦なく殴り殺す!妻の趣味は“からくり人形”作りなんだけど…犯行直後に、人形から妻の声が流れ出すとドッキリ展開あり。

 

犯行を終えて、仲間と合流…アリバイ作りの補足を行った後に、そ知らぬ顔で自宅へ。本当は自分が“第一発見者”のフリをするつもりだったのに、なんともう事件が発覚している!ここで、謙さんたちいつもの西月島警察署の面々が画面に登場。嫁さんには“浮気相手”がいて…その相手が第一発見者だったのだ。しかも、発見時に、妻はまだ生きていて、“なな”という謎の言葉を残していたという…ただし、警察も犯人側もまったく心当たりがない。警察は“なな”という字が入った人物が犯人なのではないかと疑う。一方で、レイプ犯の可能性も追いかける。

 

犯人たちが、アリバイ証言者に仕立てた1人、弁護士の妻の同級生、高畑淳子に聞き込みに向かった刑事の佐藤B作は、いつもの“浮気癖”が出て彼女をナンパ!って…第1作目からずっと“浮気キャラ”を引っ張っていて、今はB作の嫁も浮気中で、家庭がごたついてるんだけど、懲りない性格。途中で同僚たちにもバレて…“またかよ”って呆れられる。今の世の中だったら、職権濫用で事件関係者を口説くなんて言語道断だけど、みんなで笑って許しちゃう時代だったのよね。その後に登場のレイプ犯取り調べも、可視化以前の時代を感じさせる酷さだったな。

 

っていうか、忘れたころに…高畑淳子演じる“弁護士の妻の同級生”の名前が“奈々子(ななこ)”だったことで、急に浮き立つ刑事たち!被害者の最後のメッセージ“なな=ななこ”だったのか?B作はただの浮気じゃない、容疑者として彼女を見てたのか?となるのだが…真犯人を知っている視聴者は、“そんなわけねーだろ!”とすかさずツッコミを入れたくなるのだった(笑)さて、B作の本心はいかに?さんざんシリーズで引っ張って来た“B作の浮気ネタ”の集大成な展開が本作にはあり。ここまで来るのに本来は約5年かかるのよ、鎌田敏夫脚本恐るべしだな。

 

まだまだ犯人たちの隠ぺい工作は続く…レイプ犯=殺人犯じゃないのじゃないかと悟り、最初から“遺産目当ての夫の犯行”と疑っていた平田満さんの主張に傾きかけた西月島警察署に、今度は“妻の浮気の証拠写真”を送り付け、コイツ(七瀬という名前のヤクザ=“なな”)が怪しいという主張を始めるんだけど、それがパソコンが得意な弁護士が作った合成写真だという。そんもんで、警察が騙せるわけないだろう…って騙せちゃった(笑)しかも、まんまと犯人の誘導で、そのヤクザの“なな”瀬さん射殺しちゃうし。無事に真犯人を捕まえられるのか、心配だ。

 

クライマックス、いよいよ被害者が残したメッセージ“なな”の正体が判明(判明方法もすごいことになってる)…ぜんぜん人の名前じゃねーじゃん(笑)今回もツッコミ満載で面白かったなぁ。あと、事件関係者や、その他脇役のキャスティングが、知ってる人多めだったなと…そういうところも見ていて楽しめた部分。そういえば、いつもは出番が多めの謙さんの嫁、有森也実がエンドクレジット直前の数分しか出てこない。ぜんぜん出てこないから、今回はお休みなのかと思ったら…最後の最後に出てきた。息子とキャッチボールする謙さんのシーン、意外と好きだな。

 

 

監督:吉川一義

出演:渡辺謙 平田満 川野太郎 勝部演之 松井範雄 蟹江敬三 田中隆三 国広富之 高畑淳子 姿晴香

 

 

【原作小説はこちらです】

サディーが死んだとき 87分署シリーズ (ハヤカワ・ミステリ文庫)

サディーが死んだとき 87分署シリーズ (ハヤカワ・ミステリ文庫)






 

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