哲学の科学

science of philosophy

いのちの美しさについて(9)

2021-04-17 | yy77いのちの美しさについて


選択の基準は、もちろん、生存繁殖の効率性です。数十億年にわたるコンペティションの繰り返しで選ばれた作品のすばらしさは驚異的かつ神秘的でしょう。
ダーウィンの著作(一八五九年 チャールズ・ダーウィン「生存競争における適者保存あるいは自然淘汰の作用による種の起源について」 On the Origin of Species by Means of Natural Selection, or the Preservation of Favoured Races in the Struggle for Life,1859)は家畜の品種改良からガラパゴスの歴史を俯瞰してマクロの観点で進化システムを描写しています。現代の分子生物学の発展は同じダーウィン理論を超ミクロの高分子構造の体内変化過程に適用して幹細胞や神経系、免疫系の分化、あるいは病原体やガン細胞の変異や薬剤耐性のメカニズムを解明しています。
ダーウィン以来百数十年の科学の発展で分かってきたことは、結局、生命に神秘はないということです。地球の自然過程で有機高分子は生命現象を現出させうるし、それは超長期にわたり変化し続けていかにも多様な生命風景を実現できる。それは、いかに複雑多様であっても、自然現象であって、超自然な神秘が働いていると言う必要はありません。
たしかに現在まで、この現象は地球でしか観察されていません。地球環境の特異性と言えます。しかしこのことをもって、地球だけが神秘の天体だ、ということも自己中心性(egocentrism)の誤謬でしょう。
現在までの天体観測では地球とそっくりの天体環境は見つかっていません。しかし近年の高精度天体観測と宇宙探査技術の発展をみると水や有機分子がありそうな多数の環境を発見できる技術が獲得されつつあることは間違いないでしょう。
まもなく生命のような現象が宇宙に満ち溢れている、という予想が証明される、という話の方が本当らしい。そうであれば、生命は神秘というよりもこの宇宙に存在する必然的な本質である、ということができます。

さて、生物現象に神秘はないとすると、私たちが生物を見てそれが非生物とは全然違うものだ、と思う直感はどこから来るのか?











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